箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

情弱が会話形式でエヴァンゲリオンを解説してみるとこうなった。

エヴァンゲリオン

 今回のエントリーは、情弱である僕が、それなりに詳しい(?)友人S君とエヴァについて話した時の会話録です。基本的には僕が質問し、S君が答えるという形で構成されています。関西弁ですがご勘弁を。

 なお、僕の個人的・初歩的な疑問を基本軸としているので、世間一般的な疑問を解消しているものではなく、それゆえ「解説」にはなっていないかも知れません。また、S君の個人的解釈が含まれている可能性もあり、しかも、その全てについてソースを確認したわけではありません。予めご了承願います。

 

※1 特に明記しない限り、「旧作品」=「TVアニメ+旧劇場版 Air/まごころを君に」という意味です。

※2 今回の記事は必然的に “ネタばれ” を伴います。 

 

第1話「使徒人類補完計画

僕:じゃあ、早速やけど、使徒って何で攻めてくるの?

S君:そこからかw

僕:いや、すまんけど、相当レベル低いから覚悟しといてくれww

S君:んー、ほな、まず「使徒って何なのか」ってところから説明せなアカンな。

僕:うん。

 

S君:あるところに神様みたいな奴がおってんな。

僕:どこに?

S君:宇宙に。

僕:うん。で?

S君:で、そいつは、地球に生命体を宿したんや。そういう力を持ってた。

僕:うん。

S君:普通、一つの惑星に生命体は1種類しかおらへんねんけど、何故か地球には2種類の生命体が宿ることになってしまった。それが、アダムとリリスや。

僕:すまん、日本語でおk

S君:説明が難しいねんて。最初に「白き月」と呼ばれる物体が地球に飛来して来て、南極あたりに落下。その中に、アダムが格納されてた。このあたりは、何となくイメージしてもらわな、先に進めん。

僕:うーん。まあ、とりあえずおk。

S君:ええか?進むで? で、実はこのアダムが第1使徒。次々とネルフ本部を襲撃してきた使徒は、こいつから生まれた分身と思ってくれ。第3使徒サキエルとか。旧作品では第17使徒までおる。

僕:おお、そうやったんか。

S君:そうそう。で、「白き月」とは別に「黒き月」ってのが・・・。

僕:ちょい待ち。なんで、アダムの分身である使徒たちはネルフ本部を襲うの?

S君:それを説明するためには、もう1種類の生命体である「リリス」を説明せなアカン。

僕:続けたまえ。

S君:白き月とは別に、黒き月ってのも地球に飛来してきて、箱根あたりに落下。この中にはリリスが格納されてた。で、リリスは第2使徒やったんや。

僕:・・・うーん。うん。

S君:この時点で、第1使徒アダムとその分身たち(第3使徒〜第17使徒)、第2使徒リリス、この2種類の生命体が地球に存在した。ところが、黒き月が飛来してきた時の衝撃で、アダムとその分身たちの活動が停止してしまった。この衝撃がファースト・インパクトや。

僕:すげえご都合主義やなw 衝撃で活動停止するんかw

S君:まあなw んで、このリリスは、LCLと呼ばれる生命の源になるスープを垂れ流す。その結果誕生したのが、人類すなわちリリンや。

僕:へえー。

S君:それでさっきの話に戻るんやけど、1つの惑星に存在出来る生命体は1種類だけ。というわけで、アダムとリリスのどちらかしか存在できひん。だから、アダムから生まれた使徒たちは、リリスから生まれた人類=リリンを滅ぼそうとする。

僕:なんで、1つの惑星には1種類の生命体しか存在できひんの?

S君:なんでやったかな・・・。あ、いや、少し違うんかもな。確か、生命の実を持っているのがアダムで、知恵の実を持っているのがリリス。その2つを持つことで完全なる神になれる。アダムもリリスも完全なる神を目指していて、その目的を達成するためには、どちらかが滅ぶしかない。ってことやったと思う。

僕:急にムズくなったなw 生命の実ってなんや?ww

S君:生命の実=永遠の生命、知恵の実=脳、やったと思う。アダムとその分身たちは、生命の実を持っている反面、知恵がなく、自我しかない。リリスとリリンは、知恵は持っているけど、永遠に生きられへん。いずれにせよ生命体としては不完全なんや。

僕:うーん。お互い足りないところを埋めるために、相手の良いところを奪おうとしてるってことか?

S君:イメージとしてはそんな感じ。ここらへんは何となく理解すればええんちゃうか?

僕:なんでそれが相手を滅ぼすことになるのかイマイチ分からんけど、まあええわ。

S君:じゃあ続けるで。んで、アダムとその分身たちは、ファースト・インパクトの影響によって、深い眠りに着いちゃったんやけど、「裏死海文書」と呼ばれる預言書の中に、いずれ使徒が眠りから覚めて、人類を滅ぼそうとする、みたいな事が書かれてあったんや。

僕:死海文書は聞いたことあるぞ。ゼーレが持ってるやつやろ?

S君:せや。んで、何だかんだあってゼーレは南極で眠るアダムとロンギヌスの槍を発見。アダムを卵の状態まで戻そうとしたんや。

僕:なんか聞いたことあるんやけど、そこもよく分からんのよなぁ。まず、なんでアダムを卵の状態まで戻そうとしたん?

S君:それが重要やねん。使徒とアダムが接触すると、サード・インパクトが起こっちゃうって裏死海文書には書いてあって、接触されると困るから、まずアダムを隠そうとした。だから卵の状態まで戻そうとした。

僕:あ、なるほどね。サード・インパクトを防ぐためか。

S君:この時にセカンド・インパクトが起こるんやけど、とりあえず説明を省くわ。んで、使徒は眠りから覚めてアダムのところに行こうとするんやけど、アダムは隠されてて会えない。というわけで、アダムに近い存在であるリリスを感知したんや。

僕:あー。だから、ネルフ本部を襲撃するんかー。

S君:うん。ネルフ本部は黒き月の上にあるからな。

僕:何で、使徒リリスのところに行こうとするん?

S君:というか、使徒リリスのことをアダムと勘違いしてる。アダムと接触すればサード・インパクトが起こって、リリンは滅びるから、それが目的。第17使徒である渚カヲルも、リリス接触するまではアダムやと思ってたしな。

僕:なるほど。

S君:とりあえず、使徒が襲ってくる理由はそんな感じかな。

 

僕:んで、ゼーレの老害 老人たちは何が目的なの?シナリオって何?

S君:人類補完計画やね。

僕:聞いたことあるけど、イマイチ分からん。

S君:ゼーレの目的である人類補完計画ってのは、要するにこういう事や。リリンすなわち人類は、生命体としては不完全であり、むちゃくちゃ脆弱な生き物やった。そんな不完全且つ脆弱な生き物である人間を、再びリリスに原点回帰させ、全てを一つにする。そうすることによって、他者の存在に恐怖することもなく、皆ハッピーになれるよっていう壮大なプラン。

僕:はい???

S君:まあ、意味分からんよなw というか、人類補完計画を知ってるのは、ゼーレやネルフの一部関係者だけ。葛城ミサト加持リョウジも、計画の全容は知らなかった。一部の老人たちの間だけで極秘裏に進んでいたんや。しかも自分たちの望みを叶えるために、全人類を巻き込んで。とんでもないエゴイスト集団とも言えるわけや。

僕:うーん。とりあえず、「全人類を一つにしよう」という計画のために、ゼーレはネルフを動かしてたってわけか。

S君:そういうこと。ところが、ネルフの司令官である碇ゲンドウは別の目的を持ってた。

僕:よく聞くけど、それもよく分からん。

S君:ここらへんは、旧約聖書の話も絡んでいて、説明するのが激ムズなんや。何ていうか、ゼーレは、知恵の実を食べてしまった原罪を抱える人間を、全ての生命体が誕生する前の状態に戻し、全く新しい生命体を誕生させようとしていた。逆に、碇ゲンドウは、知恵の実を持つ人類を、人工的に進化させて神になろうとしていた。ゼーレは全てをリセットしたいのに対して、碇ゲンドウは新しいステージへの進化。全く逆の立場やってん。

僕:なんで、碇ゲンドウは神になりたいの?

S君:碇ユイに会いたいから。

僕:え・・・それだけ?w

S君:まあ、人類が不完全な個体生物であり、碇ゲンドウは、「個」では生きていけないと思っていた部分も大きいが、一番の理由は碇ユイに会いたいからやろうな。

僕:ほえー。そうやったんか。

S君:ゼーレと碇ゲンドウの目的は真逆のものであり、本来相容れへん。でも、碇ゲンドウがゼーレの指示に従ったのは、途中までのプロセスが同じやからやねん。

僕:そうなん?

S君:うん。ゼーレの目的にせよ、碇ゲンドウの目的にせよ、全ての使徒を殲滅することが絶対条件。この点で両者は一致していたから、多少「あれ?碇ゲンドウ、ちょっと行動おかしくね?怪しくね?」っていう部分があっても、使徒殲滅をネルフに委ねたんや。そこだけは裏切らへんと分かっていたから。

僕:ほうほう。それで、旧劇場版のような結末になるわけね。なんか宗教的儀式や碇シンジの精神世界がクローズアップされててよく分からんかったけど。

S君:そこは興味があったら調べたら良いと思う。ロンギヌスの槍とか生命の樹とか。まあ、概略だけ知りたいなら、①レイの裏切りによって碇ゲンドウの計画は失敗した、②ゼーレの計画が成功するかどうかは碇シンジの意思に依存していたけど、碇シンジは最終的に他者の存在を望んだために、新しい生命体に生まれ変わることなく、ゼーレの計画も失敗した、ってことやな。

僕:人類はLCLになっちゃって、死んだってことやんな?

S君:そこは解釈が分かれるみたいやな。再び個体であることを望めばATフィールドが発生して、人間に戻れる。という風に捉えるなら別に死んでないし。まあ、破滅した世界で、シンジとアスカだけが帰還したけど、お互いの事を拒絶してるから、相当破滅的なラストであることには変わりないけど。

僕:そういや、旧劇場版でよく分からん部分があってんけど。

S君:うん。

僕:渚カヲルが死んだ後、ゼーレがネルフを占拠しようとするやん?戦略自衛隊を使って。その時、エヴァパイロットを殺そうとしたのは何でなん?エヴァパイロットがおらんかったら、人類補完計画は遂行出来ないんじゃないの?

S君:うーん。エヴァは必要やけど、別にパイロットは必要ないねん。むしろ邪魔でしかない。

僕:どういうこと?

S君:エヴァはダミープラグでも動くし、実際9体の量産型はダミープラグで動いていた。もし、エヴァパイロットが搭乗していたら、パイロットの意思が関わってしまい、人類補完計画に支障が出るかも知れない。だから、碇シンジを含めパイロット全員殺そうとした。

僕:ふーん。でも、結局碇シンジは初号機に乗ったよね?

S君:そんな事もあろうかと、ゼーレは事前に保険をかけてた。碇シンジ渚カヲルを殺させたりして、自我が崩壊するように仕向けたんや。他者の存在を望まないように。結局、それも失敗やったけど。

僕:でも、エヴァ2号機は破壊しようとしたよね。

S君:最終的にサード・インパクトは、エヴァ初号機と量産型の計10体で遂行したんやけど、別に13体揃っていなくても大丈夫だということはゼーレもわかってたんちゃうか。とりあえず、歯向かってきそうな2号機は破壊しておこう、とw

僕:ホンマかいな?w

S君:いや、よくわからんww 

 

第2話「綾波レイ渚カヲル

僕:これも基本的な質問やけど、綾波レイ渚カヲルって何なん?なんで、渚カヲル碇シンジに付きまとうん?

S君:そもそも、綾波レイ渚カヲルってクローンやということは把握してるん?

僕:綾波レイ碇ユイのクローンやろ?それは把握してる。渚カヲルもクローンやったんか?

S君:まず、綾波レイから話そか。綾波レイは、肉体は碇ユイのクローンで、魂はリリスやねん。肉体については、リリスの遺伝子も半分入ってるから、正確にいうと碇ユイのクローンではないらしいが。

僕:うん?

S君:碇ユイが初号機とのシンクロ実験中に取り込まれちゃったやろ?それをサルベージしようとして肉体が復元された。けど、その肉体には魂がなかった。

僕:うん。

S君:その碇ユイのクローンである肉体に、リリスの魂を移植したものが綾波レイ。肉体さえあれば、何度でも魂を移植することによって綾波レイを作ることが可能やねん。

僕:うんうん、2回ほど死んだけど、復活してるんやんな。

S君:せやね。

僕:そもそも、何で綾波レイが必要やったん?エヴァ零号機の代わりとなるパイロットを確保するため?

S君:多分それもあるけど、サード・インパクトを起こした時に、魂の先導役が必要となるから。碇ゲンドウ綾波レイにそれを担わせようとした。裏切られたけど。

僕:ふーん。イマイチ分からんw

S君:まあ、そんなもんやと理解してくれw

僕:もう一つ。どうやってリリスの魂を移植すんの?

S君:俺もよくわからん。綾波レイの出生については謎も多く、人によって説明の仕方が微妙に違うから、そこらへんは自分で納得出来る答えを探してくれ。魂の入れ方は俺はよく分からん。

僕:おk

 

S君:じゃあ、次は渚カヲルな。渚カヲルは、アダムの魂をもった人型のクローン。アダムの魂を持ちつつ、その正体は第17使徒やった。

僕:肉体は誰のクローンなん?

S君:アダムから生み出されたもの、やったかな。アダムにダイブされた人の遺伝子情報を基に、アダムから作った。てか、ほぼアダムやな。魂の入れ方とか、綾波と同じくよく分からんからな。

僕:第1使徒アダムやのに、第17使徒なん?

S君:うーん。なんていうか、アダムから生まれたものやから、アダムそのものではないねん。

僕:ほーん。で、何で渚カヲルは造られたん?確かゼーレの少年やったよな?

S君:綾波レイと同じような感じ。ネルフにとって綾波レイが切り札だったのと同じように、ゼーレにとっての切り札がアダムの魂を持った渚カヲルだった。旧作品では、碇シンジ接触させて、最終的に殺されてるけど、これもシナリオ通り。

僕:アダムと接触しようとしたら、それは実はリリスやって、自ら死を選んだんやっけ?そこもよく分からんが。。

S君:そこでゼーレの真意を知ったからちゃう?リリスから生まれたリリンが生存を望んでおり、自分は邪魔な存在だということを知った。人類補完計画のためには、使徒は全部死ななアカンからね。でも、アダムの魂を持っているカヲルにとって、生と死はどうでもいいこと。だから、人類の手で殺されることを望んだ・・・みたいな。

僕:うーん。では、碇シンジに執着する理由は?

S君:そこは全く明かされていないからなー。元々、ゼーレの指示で碇シンジ接触したけど、碇シンジの繊細さに興味が湧いた、とか。単純に恋愛対象として碇シンジが好きだった、とか。それか、サード・インパクトの引き金になる存在であることを織り込み済みで、碇シンジの心の拠り所になりたかった・・・とか。エヴァは、視聴者の解釈に委ねようとする部分が多いアニメやけど、渚カヲル碇シンジに執着する理由についてもそうかもしれん。

僕:新劇場版では、最初から碇シンジのことを知ってたよな。

S君:そこも含めて渚カヲルは最大の謎やね。

 

第3話「旧作品と新劇場版、そして」

僕:じゃあ、旧劇場版と新劇場版って何が違うん?セントラルドグマに磔にされている使徒のことを、葛城ミサトは最初からリリスって認識してたよな。ここも旧作品とは違うし、アスカの苗字は「惣流」から「式波」に変わってるし、なんかパラレルワールドを見ている気分やねんけど。

S君:基本的な設定だけ同じで、中身は違う作品と思ったほうがいいかも。

僕:そうなん?

S君:うん。旧作品では、使徒は全部で17使徒までおるけど、新劇場版では13体しかいない。単に数が合ってないという話ではなくて、旧作品では、第1使徒はアダムやったのに、新劇場版では第1使徒渚カヲルということになってる。これは決定的な違いや。あと、セントラルドグマに磔にされている使徒は、仮面の形からリリスではなく、アダムだと言う人もおるし。そうなってくると、微妙どころか、かなり大きな違いが生じてくることになる。

僕:確かに。

S君:あと、新劇場版では、第10使徒が襲撃してきて、零号機を捕食したやろ?それを見たシンジが綾波レイを取り戻そうと初号機を覚醒させた結果、ニアサードインパクトが起こってる。旧作品では、類似の場面でサード・インパクトは起こっていない。人類補完計画を遂行するために必要となるサード・インパクトの儀式の描き方も、これだけ違う。

 

(以下、新劇場版に関する雑談が続き、『もし、記憶をリセットして、もう一度エヴァを観るなら、どの順番で観たい?』という話題になる。新劇場版に関する雑談・質疑応答部分については、別エントリーにします)

僕:もし本当にループしてるなら、別に旧作品から観なければならないという事にはならんよな。

S君:俺もそう思う。個人的には、旧→Q→序→破という順番でループしてると思ってるから、まず旧作品を観た後に、新劇場版Qを観たいかな。

僕:それで腑に落ちるかどうかを探りたいってこと?

S君:それもあるけど、矛盾点が知りたい。庵野ってわざと矛盾点を2〜3個用意したとかなんとかって言ってて、それが何なのかを考えたいな。変に旧作品の知識とか、序・破の流れを知ってると、先入観で観てまう。何も無い真っ白な状態で、旧→Qを観たら、なんか気づくこともあるんちゃうかな。

僕:なるほどねー。

S君:てか、これからエヴァを観るよって人に、「頼むから、旧作品を観た後、新劇場版Qを観てくれ」って頼んで、その感想を聞くってのも良いな。