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とある法務部員の備忘録。

某IT企業に務めるお気楽法務部員が、法律、ゲーム、生活、その他諸々を書き綴っております。

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企業法務キャリア論 第3回「企業法務に就職するためには」

はじめに

前回までの記事はこちら↓

 

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 今回の企業法務キャリア論の連載テーマは「企業法務に就職する方法」です。なお、今回の記事の対象者は、「企業法務としての実務経験がない方」に限定させていただきます。

 また、企業法務への就職を志望される方の中には、ロースクール修了生・司法試験受験生もいれば、全く関係の無い職種を経験された方、社会人経験がない方など、さまざまな経歴をお持ちであると想定され、それぞれの状況に合わせた就職対策が必要になると考えられます。

 そのため、企業法務への就職方法として一般論を述べつつ、これまで法務としての実務経験の方であっても、参考になりそうなことを書いていきたいと思います。

 

 

転職エージェントの活用

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 個人的に、企業法務に就職するのに一番の近道だと思っているのは、転職エージェントさんと仲良くなって、法務求人をたくさん紹介してもらい、片っ端から応募していくことです。以下、その理由です。

 

 まず、公開されている法務求人は圧倒的にその数が少ないです。試しに、リク〇ビやマ〇ナビといった大手求人サイトで、公開されている法務求人を検索すれば、求人数の少なさがよくわかると思います。法務はただでさえ人気のある職種なのに、求人数が限られているとなると、ほぼ例外なく公開求人は激戦になります。他方、転職エージェントさんは、「表には出ていない非公開求人案件」を多数抱えています。法務もそのうちの一つであり、「転職エージェントを経由しなければ応募すらできない求人」が数多くあります。

 また、法務を志望している人の転職活動をサポートしたことのあるエージェントさんでしたら、法務として内定を勝ち取るためのノウハウを豊富に有しており、非常に有益なアドバイスをたくさん貰えます。これは公開求人に自己応募する場合には得られないメリットです。

 

 個人的な体験談ですが、私が1社目の会社に法務として就職したのも、転職エージェントさんと親しくさせて頂いたのがきっかけです。その当時、法務としての経験はおろか、社会人経験もない自分を必死に売り込んで頂き、今でもめちゃくちゃ感謝しています。

 

※ あと、ちょっとイレギュラーな方法ですが、SNSTwitterなど)で弁護士や法務部員さんと交流を深め、自分を売り込むという方法もあります(最近、Twitterでアカウントを作り、いろいろつぶやきを見ているんですが、弁護士さんが、「自分の顧問先の企業で法務募集中です」とツイートしているのを見かけたりします)。

 

 

具体的な活用方法

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 続いて、転職エージェントさん経由で就職・転職活動を行うことを前提に、転職エージェントさんとのお付き合いの方法をいくつか記載したいと思います。

 

複数の転職サイトに登録する。

 別に法務に限った話ではないんですが、転職エージェント経由で就職・転職活動をする場合、複数の転職サイトに登録し、色んな転職エージェントさんにお世話になるのが常識です。転職エージェントさんもそのことは重々承知しているので、最初の面談の際に、「ほかに依頼されているエージェントさんはいらっしゃいますか?」とか、質問されると思います。ですので、複数登録していることを後ろめたく感じる必要は一切ありません。

 複数登録する理由は、紹介してもらえる求人数を増やす…という側面もありますが、自分と相性の合う転職エージェントさんと巡り合う確率を上げるという意味もあります。転職エージェントさんも人間ですから、やはり「合う・合わない」があります。私も、複数の転職エージェントさんに依頼しましたが、真摯に相談に乗って頂ける方もいれば、最初に1~2社ほど求人を紹介して頂いただけで、それ以降プッツリと連絡が途絶えてしまった方もいます。自分と相性の合うエージェントさんと巡り合えるかは運ですね。

 

やる気と熱意をアピールする。

 転職エージェントさんに転職支援をお願いすると、最初に面談を行います。希望する職種や業種、希望年収、いつまでに転職したいか…等々。詳細なヒアリングが実施され、その人の希望に合った求人を紹介してもらえるといった流れになります。

 当然ですが、転職エージェントさんは、ボランティアでやっているのではなく、仕事でやっています。ノルマもあるでしょうし、適当な人材をお客さんに紹介できません。要するに、悪い言い方をすれば、最初の面談において「品定め」をするわけです。「商品価値のある人かどうか」「企業に売り込める人材かどうか」といった具合に。

 もし、最初のヒアリングにおいて適当な受け答えをして印象を悪くすると、その後、あまり求人を紹介してもらえなくなったり、プッツリ音信不通になったりします。転職支援サービス自体は無料なので、こちらとしては文句は言えません。

 そうならないためにも、最初の面談において、やる気と熱意を見せ、「将来性のある人材」「伸びしろのある人材」と認めてもらうことが肝要です。社会人経験がなく、初めて就職する人なら、尚更そうです。ここで築いた関係性は、その後の就職・転職活動を大きく左右するものと考えてください。

 

あまり注文をつけない。

 就職・転職の際、「最低でも年収〇〇〇万円以上」とか、「残業時間は月40時間未満」とか、色々注文をつけたくなりますよね。どうしても譲れないMUST条件があれば仕方ないですが、そうでなければ伝えない方が良いかもしれません。

 何故なら、「法務志望」というだけで結構高望みですし、求人案件数にも限りがあるため、応募できる企業を自分で狭めることにもなりかねないからです。「法務の求人は全て紹介してください」ぐらいの気概でいる方が良いと思います。

 

紹介してもらった企業はなるべく応募する。

 転職エージェントさんに紹介してもらった求人について、全て応募する必要はないのですが、無碍に断るのもあまり好ましくありません。そのため、紹介求人のうち、少しでも気になった求人は、なるべく応募するようにしましょう。法務求人は書類選考を通過するのも難しいので、そのぐらいで丁度良いと思います。

 なお、応募を断る場合、その企業に応募しない理由について、明確な回答を準備をしておいてください。「なんとなく」はダメです。

 

未経験者だからといって億劫になり過ぎない。

 「自分は法務未経験者だから…」と、億劫にならなくて大丈夫です。これまで違う職種を経験してきた人であっても、その中で得てきた経験、知識、ノウハウは、法務でも十分活かせます。

 また、これまで社会人経験がないという人でも、ロースクール修了生や司法試験受験生を積極的に採用している企業もありますので、是非とも転職エージェントさんに相談してみてください。実際、「ロースクール修了生」且つ「正規雇用としての就労経験のない人」を募集条件としている求人を見たこともあります。

 

 

就職・転職活動における注意点

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 転職エージェントさんとの面談を終え、法務求人を紹介してもって、いざ応募!という段階まで来たら、次は、エントリーシートや履歴書、職務経歴書の提出、および採用面接が待っています。ここでの注意点を以下の通りまとめさせて頂きます。

 

履歴書・職務経歴書の書き方

 「目立った学歴も資格もない…」とお嘆きのあなた。確かに、一部の大企業では、学歴フィルターがありますし、目立った資格を持っていないと何だか味気ない履歴書になっちゃいます。悩みどころですね。

 ただ、中途採用の場合、求められるのは学歴ではなく経験です。また、以前の記事でも書きましたが、法務に就職するにあたり必ずしも資格が必要になるというわけではありません。実際、僕は目立った資格を持っていませんでしたが、それが法務に就職するにあたって足かせになったとはあまり思いません。もちろん、有用な資格を持っているに越したことはないですが、仮に持っていなかったとしても、そこまで悲観的にならなくても良いというのが私の持論です。

 なお、企業によって、履歴書・職務経歴書のどの部分を重視するかは異なると思いますが、「これまで培ってきた経験や知識をどのように法務に活かしていきたいか」「法務として就職して今後何がしたいか」「どのように成長していきたいか」という部分を明確に書くことをオススメします。

 

採用面接で準備しておきたい質問項目

 書類選考を通過していざ面接。最初に人事部や法務部の方と面接して、その後役員面接といった流れになるかと思いますが、法務の採用面接において、事前に準備しておきたい質問を挙げてみます。

 なお、「これまで培ってきた経験をどのようにして今後の仕事に活かしていくか」というように、どのような職種であっても聞かれるような汎用的な質問については除外し、法務固有の質問のみを取り上げたいと思います。

 

① なぜ法務志望なのか?

 ロースクール修了生や司法試験受験生であれば、これまで法律を勉強してきた身分ですので、なぜ法務志望なのか説明しやすいと思いますが、全く関係のない職種を経験してきた人が法務を志望すると、おそらくその理由を聞かれると思います。

 基本的には自分の正直な志望理由を話せばいいと思いますが、例えば、「法律の勉強をしており、法律関係の仕事がしたかった」という曖昧な志望理由ですと、「それなら、別にパラリーガルでも公務員でも良いんじゃない?」と突っ込まれ困ることになります。「企業法務でなければならない理由」を考えておきましょう。

 

② 法務とはどのような役割だと考えているか?

 この質問は、面接でほぼ聞かれたような気がします。更に突っ込んで、「法務のスペシャリストとは?」「これからの時代に求められる法務とは?」と聞かれたこともあります。

 人それぞれ法務に対する考え方は異なると思いますが、「潤滑油のような役割」「組織全体に血液を送る心臓のような役割」というように、曖昧な回答をするとその後猛烈に突っ込まれます(笑)。長々と法務の役割を語る必要はありませんが、ある程度明確に回答できるように準備しておきましょう。

 例えば、「“予防法務” の観点から、事業部門としっかりと意思疎通を図ってリスクマネジメントを徹底することはもちろんのこと、これからの時代、法務は単にブレーキをかけるだけではなく、アクセルをかけるビジネスの牽引役も担うべきであると考えています…(以下略)」といった具合です。

 

③ 「〇〇〇…」という状況になったらどうする?系

 簡単な事例問題です。これも法務としては結構あるあるの質問ですね。法務としての感覚を試しています。業種などによって事例は異なりますので、対策はとりづらいかもしれません。

 ちなみに私は、「もし、取引先が反社会的勢力だったらどうしますか?」「△△△というウェブサービスについて、法的問題点はあると思いますか?」というような質問をされたことがあります。ここでは、結論よりも、結論に至った論理過程を見ていますので、「取引を中止します」「違法だと思います」と、結論だけ言ってもダメです。なぜ取引を中止するのか、なぜ違法だと思うのか、その理由を論理的に説明できるように準備しておく必要があります。

 

④ 今後、司法試験を再受験する予定はあるか?

 今まで司法試験を目指していた人であれば、もしかしたら聞かれるかもしれません。ちょっと困る質問ですね。

 もし、将来的に再度司法試験を目指すつもりがあるなら、正直に回答しても良いと思います。資格を取得することを積極的に推奨している企業もありますので、その場合はプラスに働くと思います。但し、「すぐに辞められたら困る」と考える企業がほとんどですので、「自身のキャリアを考えたときに、もしかすると再受験するかもしれませんが、法務として経験を積むことが最優先だと考えています」というように、企業法務としてのキャリア構築を優先的に考えていることをちゃんと伝えるべきです。

 なお、目指していない場合であっても、「再受験はしません」と素っ気なく返答するのではなく、「国際法務にも精通した法務パーソンになりたいので、英米法の勉強をしています」といった具合に、現在進行形で取り組んでいる別の事を話しましょう。法務は就職してからも勉強ですので、成長意欲・向上心のある人は得てして評価されます。

 

⑤ どのような分野に挑戦していきたいのか?

 これも結構聞かれる質問です。法務として就職すると、最初は契約書のチェックなど定型的な業務を任され、仕事に慣れてくると、徐々に色んな仕事を任せられるようになっていきます。そのため、企業としては、どういった分野に興味があるのか事前に知っておきたいという背景があります。

 正直に自分がやりたいと思っている業務内容を答えれば良いんですが、個人的に失敗だったかな…と思ったのが、とある面接の折、「M&Aをやってみたいです」と答えたときでした。すると、法務部長さんが「M&Aって答える人本当に多いね」と表情を曇らせたことがありました。本当にやってみたいと思っていたので、間違った回答ではないと思ってますが、「聞き飽きた」って感じだったかもしれません(笑)。

 

 

就職活動までに習得しておきたい知識・スキル

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 最後に、法務に就職するにあたって、事前に習得しておきたい知識・スキルを書いてみたいと思います。

 

法律

 まあ、これは当たり前ですね(笑)。

 なお、これまで本格的に法律を勉強したことがない方は、とにかく民法を理解しましょう。民法を理解すると、それ以外の法律がグッと理解しやすくなります。

 

英語

 法務を目指している人は、法律の知識や法的素養は十分に持っているので、それ以外の部分で差別化を図るのであれば、やはり英語です。

 なお、英語でビジネス会話が出来るレベルまで達している必要はありません。「英文契約書を難なく読める」「英語でメールのやり取りができる」ぐらいのレベルでも十分じゃないでしょうか。あとは、国際紛争解決やアメリカ法、アジア法などの知識があれば、大きなアドバンテージになると思います。

 以前、別の記事で、TOEICはあんまり重要じゃないかも…的なことを書きましたが、既に十分な英語力があって、TOEICを受験すれば直ぐにでも高得点が取れる人なら、受けるべきだと思います。しかし、これから英語力を伸ばそうという方は、TOEICに特化した勉強するのではなく、英文契約書など、法務に直結した英語を勉強した方が良いと思っています。

 

法務系の雑誌やブログなどから収集した情報

 現在、会社の経費でビジネスロージャーナルを購読したり、法務ブロガーさんの記事を読んだりしていますが、今から思えば、就職活動のときに、それをやっておくべきだったなと思います。それぐらい有益な情報で満ち溢れていますので。

 法務系の雑誌を読めば、今の企業法務のトレンドが分かりますし、法務ブログでは、法務パーソンの本音が聞けます。もちろん就職してからも役立つ情報ですが、実は就職活動にもめちゃくちゃ活かせるんですよね。

 

時事ネタ

 法務だけに限った話ではないですが、やはり時事ネタの知識は必須。

 法務の面接でも、いきなり「最近気になるニュースはありますか?」とか聞かれます。ニュースには一通り目は通しておきましょう。

 

 

結びに

 第3回「企業法務に就職するためには」いかがだったでしょうか?

 まだ書ききれないことが沢山あり、就職・転職活動にあたって悔しい経験もしました。また追々記事に出来たらいいなーと思います。

 今回の記事が、法務を目指している方にとって何かしらの参考になれば幸甚です!