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とある法務部員の備忘録。

某IT企業に務めるお気楽法務部員が、法律、ゲーム、生活、その他諸々を書き綴っております。

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法務系書籍レビュー(3) 「英文契約一般条項の基本原則」

一般条項を制する者は契約を制す。

 今回紹介する法務系書籍は、「英文契約一般条項の基本原則」です。

英文契約一般条項の基本原則Q&A

英文契約一般条項の基本原則Q&A

 

 

 英文契約に携わる機会の多い法務担当者さんでしたら分かると思いますが、取引の種別・ジャンルにかかわらず、一般条項って大体どれもパターン化しています。

 これって、別に英文契約に限った話ではなく、日本法に準拠し、日本語で書かれた契約書においても同じです。秘密保持(Confidentially)、契約期間(“Term” or /and “Termination”)、表明保証(Representation&Warranty)、損害賠償(Indemnification)、準拠法(Governing Law)、合意管轄裁判所(Jurisdiction)…等々。微妙な要件・文言の差異こそあれど、大きく趣旨が異なることはないでしょう(まあ、表明保証の内容や、契約期間の長さなどは取引ごとに全然違いますが…)。

 それとは逆に、個々の契約で内容が異なってしまうのが、取引に関する当事者の権利義務規定(Transaction Agreement)です。これは普遍性がないためパターン化することはできません。

 

 この書籍は、前者の一般条項のルールについて、Q&A形式で解説しています。辞書代わりというより、読み物という感じですね。

 

英文契約の概観や全体像を掴むには良い。

 さすがに、一般的な読み物として、英文契約のエッセンスを余すことなく全て解説しているものは無いと思いますが、本著作は、一般条項にフォーカスした解説書としては、非常に読みやすいのではないかと思います。

 時折、難解な契約概念(例えば、M&Aにおける “No-Talk Clause” や “Go-Shop Clause”など)がいきなり登場し、頭を悩ませますが、契約書の前文、表明保証、不可抗力、通知、正本・副本、紛争処理条項あたりの解説は、読んでいて面白いですし、今まで知らなかった知識などを補充できてタメになります。Jurisdictionの英文契約上の意味とか、勉強しなきゃ一生知らなかったでしょうね(笑)。

 

 但し、違約罰(penalty clause)や損害賠償額の予定条項(liqudated damages clause)について説明している箇所はあるものの、英文契約において特に重要な条項の一つである補償条項(Indemnification)については、何故か触れられておらず、「痒い所に手が届かない」という感は拭えません。

※ 英文契約の基礎を学びたいのであれば、本著よりも、次回紹介予定の「アメリカ契約実務の基礎」を読んだ方が良いかもしれません。