MENU

【英文契約 Part1】前文(RECITALS)から始まる英文契約

英文契約の冒頭部分

f:id:pochi-kohchou:20170518170149j:plain

 どうも、まさぽちです♬

 今回より連載企画としまして、英文契約によく出てくる条項について、色々書いてみたいと思います。第1回目のテーマは「前文」です。

 

 前文と聞くと、「日本国憲法前文」ぐらいしか思い浮かばない人も多いかもしれません。それもそのはず。日本の契約書では、契約書のタイトルのあとに簡単な記載(例えば、「A(以下「甲」という)とB(以下「乙」という)とは、●●●に関して以下のとおり契約を締結する」といったもの)がなされているだけで、取引に至った経緯や契約の位置づけなど、詳細事項を書きません。その後に続く各条項において、取引条件を詳しく規定しており、契約内容としてはそれで十分だと考えられるからです。

 なお、第1条に目的規定を定め、契約の趣旨・目的を記載する例も多いですが、これが省略されているケースもあります。

 

 他方、英文契約では「前文」と呼ばれるイントロダクション部分が存在し、「RECITALS」とか「WITNESSETH」といったタイトルで表記されています(※1・2)。

※1 ただし、「WITNESSETH」は古典的な英語のため、あまり使われないようです。

※2 必ず前文が規定されているというわけではなく、自分の携わっているIT業界では、取引内容にもよりますが、前文が規定されているのは、10通中、2~3通ぐらいという印象です。

 

 前文では、契約の基本的骨子や取引の背景、契約の目的など、「本契約は、つまりこういう契約だよ」という説明が書かれています。なぜ前文を規定するのか、その歴史的経緯や英米法上の位置づけなど、興味がある方は調べてみてください。

(そして教えて欲しいです…!笑)

 

 この前文の大きな特徴として、「WHEREAS」という独特な書き出しでパラグラフが始まるという点を挙げることができます(※3・4)。例えば、

 

WHEREAS, Buyer and Seller may from time to time agree that・・・;

WHEREAS, Seller will make the services available pursuant to this Agreement・・・;

 

といった具合です。そのため、前文のことを「Whereas clause」と呼ぶこともあります。

※3 「WHEREAS」という表現を使わないことも多いです。

※4 WHEREASのパラグラフの文末を「セミコロン(;)」とするケースもありますが、これはRECITALSを長い一文で記載していたことに由来するものだそうで、一文一文を「ピリオド(.)」で終わらせても問題ないとされていますし(参考:弁護士法人東町法律事務所コラム 第120回 英文契約書の基本の基本(Recitals編), 

http://www.higashimachi.jp/column/column120.html)、実際そのように表記している契約書の方がよく目にします。

 

 初めて英文契約を翻訳する人は「WHEREAS」という表現に戸惑うかもしれませんが、これを「一方」とか「…であるがゆえに」と訳する必要はなく、普通にそのあとに続く文章だけを翻訳すれば大丈夫です。

 そして、「WHEREAS」の結びのパラグラフに「NOW, THEREFORE, in consideration of the mutual covenants contained herein, Buyer and Seller hereby agree as follows:」(よって、本契約記載の相互の約因に基づき、買主と売主は以下の通り合意する)と記載し、そのあとに詳しい契約条項が続くという感じです。

 

【英文契約 表現集】

from time to time:随時

in consideration of~:~を約因として、~の約因に基づき

come into:発効する、効力を生じる

execute:締結する

in connection with~:~に関して、~に関連して

pursuant to~:~に従って