箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

ヒカルくん、俺はそうじゃないと思うんだよ。

 前回、当ブログにおいて、VALUの炎上問題について投稿しましたが、本件について、ヒカル氏が下記インタビュー記事のとおり、メディアの取材に応じました。

 

ヒカルくん。俺は、そうじゃないと思うんだよ…。

 

 インタビュー記事を読んだ率直な感想です。またまた、企業法務をしている立場からの余計な意見となってしまうかもしれませんが、どうしても書きたいのです。ご勘弁を。

 

 インタビューの冒頭、VALU問題について謝意を示し、その経緯を説明したあと、ヒカル氏は、今後のことを聞かれて、次のように回答しています。

YouTube以外の知識の及ばない分野には二度と手を出さないと決めました。

 

 これには、理解を示せる部分とそうではない部分があります。

 まず、VALUで炎上してしまった直後ですから、自分のよく知らない分野に迂闊に首を突っ込むべきではないという心理になるのは分かるし、意気揚々と「これからも、色んなことに挑戦していきます」なんて言えないのも分かります。そんなことを言えば、「反省してねえだろ」と言われかねない。

 

 ただですね。「知識の及ばない分野」というのが、どこまでの範囲を指すのか不明ですが、ヒカル氏の動画を観ていて、私が「凄いな」「面白いな」と思ったのは、今まで誰もやらなかったことに積極的に挑戦していく姿勢です。宝くじを100万円分購入したり、売り切れになるまでガチャを引いたり。

 そこが面白いポイントでしたし、ヒカル氏の「売り」でもあったのに、「YouTube以外の知識の及ばない分野には二度と手を出さない」って、自分の良さを捨てるつもりなのか…?

 

 もうひとつ。新しい分野、自分の知識の及ばない分野に手を出したのが悪かったのではない。そこが原因だと思っているなら、はっきり間違っていると言いたい。

 VALUを始めたこともそうですし、最近で言えば、関西コレクションに出演することも別に悪いことではない。「どんなリスクがあるのか」ということをちゃんと適切に分析・確認しなかったのが原因なんです。法的リスクやレピュテーションリスクを含めて。

 

 VALUを始めた際も、VALU取引にはどんなリスクがあるのかという点を確認し、VALUを売却する行為について、「詐欺に当たる可能性がある」「炎上するおそれがある」ということが事前に分かっていたのであれば、売却行為には及ばなかったでしょうし、あんなことにはならなかった。

 また、関西コレクションの入場チケットを、同日開催のオフ会に転用することについても、事前に「関西コレクション側に対するイベント妨害になる」ということが分かっていたのであれば、別の方策を検討することだって出来たはず。

 

 どの企業だって、新しい未知の分野に挑む際、そうやってリスクを分析し、事前・事後のリスクヘッジを図ることで、危機管理を行っている。ヒカル氏が反省すべきは、リスクマネジメントの視点が欠けていたことだ。

 そして、私が想像するに、今のVAZ社にもその視点がないと思う。あれだけの売れっ子YouTuberを抱えているにもかかわらず、おそらく、動画の企画・内容についてリーガルチェックを入れていない。もし、リーガルチェックが入っているのであれば、「他人のクレジットカードを使用して買い物をする」なんて企画が通るはずがない。

 

 最近、同業であるUUUMが上場し、その際、コンプライアンスを強化していくといった所信を表明されていましたが(上場する以上、当然なんですが)、コンプライアンスやリスクマネジメントの視点が欠けたまま、YouTuberとしての活動を続けても、根本的な問題解決にはなっていないということを声を大にして言いたい。

 

ヒカルくん、俺はそうじゃないと思うよ。