箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

コメ欄が荒れているコラボ配信を見て思ったこと

今日は本当に取り留めのない話を。

 

僕には推しのゲーム実況配信者がいて、この人を仮に「Aさん」としておく。そして、Aさんには、このところ頻繁にコラボしている配信者がいて、とりあえずこの人のことを「Bさん」と呼ぶことにする。

 

まず最初に、それぞれの特徴を掻い摘んで言うと、Aさんは物腰が柔らかく、テンションが高めというよりは落ち着いた雰囲気の配信者であり、時々毒を吐いたりするギャップが面白いと評判の配信者である。年代も30代なので、おそらく大人の視聴者が多い。

Bさんはテンションが高めの20代の配信者であり、面白い天然キャラという位置づけの配信者だと思う。頻繁に毒を吐いたり、コラボ相手のことをイジったりして他人との距離を詰めて会話を盛り上げるタイプであり、典型的な今風の若者という感じがする。

 

・・・でね。

最近、2人がコラボ配信をしている時に、複窓でBさんの配信を覗いてみたところ、コメ欄がやたらと荒れており、「おもんない」「コラボ相手がつまらない」といった罵詈雑言で溢れかえっていた。これを見て、僕は「あーやっぱりね」と納得してしまった。

 

この2人が初めてコラボしたとき、Bさんは年上のAさんを呼び捨てにしたり、挑発したり、イジったりして、会話の糸口を探しているような感じがしていて、それに対してAさんも毒を吐いたりして、一見すると「AさんとBさんのコラボ面白いやんけ!」みたいな空気もあったんだけど、どうにも僕には違和感しかなかった。

と言うのも、Aさんは時々毒を吐くからこそ面白いのであって、常にそういう状態を求めるのはAさんのキャラとは全然違うから。だけど、Bさんは、そういう距離の詰め方しか出来ないし、相手にも毒を吐かせることで会話を盛り上げる…みたいなタイプなので、根本的に2人の相性は合っていないと感じざるを得なかった。

 

結局、そういう「イジり、イジられ」という雰囲気がずっと続くわけがなく、この2人がコラボをする時は、まったりと雑談をしながら淡々とゲームをする枠に変化していった。まあ、そりゃそうなるだろうなーと。だって普段のAさんがそうなんだから。Bさんも器用な人だから、Aさんの雰囲気に合わせていたけれど。

要するに、Bさんのリスナーからすると、Aさんは刺激が少なかったわけだ。Aさんは、Bさんのことを面白可笑しくイジるわけでもないし、Bさんからしてもイジり甲斐のある相手でもない。2人が淡々とゲームをしている姿を見て、「おい、本当に心の底から楽しいと思っているか?」とコメントしたリスナーの問いかけが虚しく響いていた。

 

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僕は、ゲーム配信に刺激なんて求めていないし、自分が応援している配信者が楽しく配信出来ているのであれば、それだけでこっちも嬉しい気持ちになる。だから、その人がプレイしているゲームに全く興味が無かったとしても、コラボ相手との会話が絶望的に盛り上がらなかったとしても、僕は何とも思わないし、その人が楽しければそれで良いと思ってしまう。

 

しかし、Bさんみたいなタイプの場合、リスナーは刺激を求めるようになる。「視聴者を楽しませてくれよ」「面白い会話をしてくれよ」と、強烈な見返りを求めてくるのだ。そこには「Bさんが楽しければそれで良い」という気持ちはなく、「お客さんを楽しませるのがお前の仕事だろ」という上から目線が生まれる。実際、サブスクをしている人はそういう心情なんだろう。

 

正直こういう雰囲気が僕は嫌いだし、気持ち悪いと思ってしまう。何だか社会の縮図を見ている気がして。

 

学校でも会社でも、基本的に人間は刺激を求めていて、心のどこかで何か面白いことが起こって欲しいと願っている。そして、そう願う人間の本能は、いずれ他人への攻撃へと転化していく。自分より弱い立場にある人間を攻撃し、その人の困ったリアクションを見て退屈を紛らわせる。イジメもその一種だ。オタキングこと岡田斗司夫さんが「笑いとは他人への攻撃性の裏返しである」と言ったのは、そういう意味だろう。

だから、普段からそういう「笑い」や「刺激」を提供している配信者のもとには、日常では味わうことの出来ない刺激を求めて、他人への攻撃性を内に秘めたリスナーが集まってくる。「いつになったら、この配信は面白くなるの?」というコメントは、「いつになったら他人への攻撃を開始するの?」と言ってるのと同じだ。少なくとも僕にとっては。

 

いつの頃だったか、とある配信者が、コラボ配信の相手をイジり過ぎて、コラボ相手がブチギレてしまい、関係性が壊れてしまう・・・という場面を目撃したことがあった。

本人は「一線を超えるようなことを言ってしまったのは全面的にこっちが悪い」と釈明しつつも、「コラボ相手を面白くできるのは俺だけだから、また仲良くコラボしたい」と豪語していたのだけど、根本的にズレてるなーと思う。そりゃ配信的には面白いのかもしれないが、それはコラボ相手への攻撃と引き換えであり、コラボ相手の気持ちを犠牲にすることを前提としている。コラボ相手が嫌がっている以上、仲良く一緒にコラボすることなんて叶うはずがない。不登校のいじめられっ子に対して、「また学校に登校して、俺にイジメられて欲しい」と言ってるのと同じである。本人にそのつもりはないだろうけど。

 

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以上の話とは全然関係ないけれど、最近オリラジの中田さんが、ダウンタウン松本氏への批判を公言したことで炎上しており、奥さんである福田萌さんのTwitterアカウントにも誹謗中傷・暴言コメントが届くようになったらしい。

 

今日も今日とて、人類は誰かを攻撃している。いつまで続くんだろうか。この歴史は。