箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

iPad Proにおける「情報の一元化」について考えてみた。

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司法試験や法律実務に限った話ではないと思いますが、法学界隈の人たちは、「情報の一元化」が大好きです。

私自身も、学生時代から現在に至るまで、「情報の一元化」という言葉を何度も聞いたし、実際に一元化作業をやってきました。

 

例えば、↓ こちらの記事では、現役の弁護士の先生が、情報を一元化する有益性を説いたうえで、iPad Proを用いた勉強法を紹介されています(iPad Proを買ったばかりなので、非常に有難い記事です)。

storialaw.jp

 

なぜ、法学界隈の人達が「情報の一元化」にこだわるかと言うと、法律に関する情報の量が膨大であるうえに、酷く散逸しているからです。

 

例えば、条文は、六法や法令データベースに収録されていますが、判例を参照するためには、別途判例集などを用意する必要があります。これに加えて、基本書、法学雑誌、講義レジュメなど、参照しなければならない情報は多岐にわたります。

しかし、分厚い法律書を何冊も持ち歩くのは大変ですし、何より検索性や視認性に劣ります。そこで、これらの情報を、相互に関連させるなどして一元化しておけば、持ち運ぶ書物の量を減らすことが出来るし、必要な情報をすぐに取り出せるので、非常に効率が良いというわけです。これが一元化の目的です。

 

私も、これまで情報の一元化作業に勤しんできましたが、iPad Proという、新たな学習端末をゲットしたことに伴い、自身の作業環境を見直すことにしました。

その結果、少し考え方が変わったので、ここに書き記しておこうと思います(誰得か分かんないけど、まあいいや)。

 

「Evernote」を超える情報一元化ツールはあるのか?

私がこれまでに愛用してきた情報一元化ツールといえば、最強のクラウドメモと名高い「Evernote」です。ゾウさんマークのアプリとして有名ですね。

5年前の記事になりますが、下記のように、Evernoteの活用法について書いたこともあります。 

 

しかし、時間の流れに伴って、サービスは変わります。

2016年6月。Evernoteは、無料ベーシックプランにおける同期可能な端末台数を2台に制限する仕様変更を行いました。正直、この変更に落胆した人も多いと思います。

 

私の場合、Evernoteを同期させる端末は、パソコンとスマホだけだったので、何の問題もありませんでしたが、今回、iPad Proを購入したことによって、同期させる端末台数は3台に増えました(※)。ちっきしょぉぉー(#^ω^)

(※)会社のPCも同期できるように調整していたので本当は4台。

 

大好きなサービスなので、お布施のつもりで有料プランに申し込むことも半分本気で考えましたが、クラウドメモのためだけにお金を払うのも勿体無い。そんな頻繁に見返すわけでもないし…。

 

というわけで、Evernoteに代わるサービスはないかなぁ~と、色々探してみたところ、現状、Evernoteの代わりになるクラウドメモは、「iOSの純正メモ」じゃないかという結論に達しました。

 

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SafariでWebページを開き、メモに追加するボタンをひとつ押すだけで…

 

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あっという間に、メモにサムネ付きのURLリンクを貼ることができます。

 

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隣に、GoodnotesのPDFを開いて、PDFの一部を切り取り…

 

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これをメモ帳にペタッと貼り付けることも可能。

 

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もちろん、手書きのメモを書くこともできるし、テキストを打ち込むこともできるし、検索もサクッとできます。タグ管理とかは無理だけど、フォルダを分けて管理することは可能。

 

さらに、メモ帳は、iCloudを使って同期するので、使用している端末がmacやiPhoneだった場合、ほとんどストレスを感じることなく、どの端末からでもすぐに内容を閲覧できます。

少し触ってみた感想としては、少なくとも自分の用途だったら、iOSの純正メモで十分という印象でした。

 

「情報を一元化する必要はあるのか?」という疑問。

しかし、その一方で、私にはある疑問が。

確かに、純正メモは便利だし、情報を一元化するには最適のツールなんだけど、そこまでして情報を一元化することに意味はあるのか?…と、思えてきたのです。

 

その点で、こちらの記事を書かれた @lovemacjpさんのご指摘は、私にとってかなり鋭かったです。

lovemac.jp

 

私と同じように、Evernoteを卒業したあと、iOSの純正メモに移行されたらしいのですが、記事の最後を次のように締め括られています。

Evernote黎明期、成長期に比べ、現在ではマルチプラットフォーム・マルチデバイスで情報を共有できるサービスは充実しています。また、僕の中でキーワードでもあった「一元化」については、アプリではなく「端末に一元化されている」と言えると思う。「この写真はiPhoneにしかない」とか「あっちのパソコンでしかメール見れないんで」とかだと一元化とは言えないわけですが、このマルチデバイス全盛時代に全てのデバイスで情報が同期されているというのはもはや常識であります。それはつまり、「情報の一元化」と同義ではないでしょうか。アプリ単体に一元化されている必要性は、よくよく考えればないものです。逆に、餅は餅屋的なほうが、情報が適切に分離され、見通しのよい、使い勝手の良い情報管理方法と言えるのではないでしょうか。

(太字は筆者によるもの)

 

そう。これなんですよ。

 

スマホやタブレットは、ファイル管理を端末単位ではなく、アプリ単位で行っています。そのため、デスクトップにファイルを保存したり、異なるフォルダに移動させるといったことはできず、ファイルの保存・編集場所はアプリに固定されています。

その結果、情報はアプリごとに集積されることになり、情報の散逸化を招いていました。だから、これを1ヵ所に集めることにもそれなりの意味があったのです。少なくとも従来までは。

 

しかし、@lovemacjpさんもおっしゃっているように、現在は、異なる端末間であっても、クラウドサービスなどを使って、柔軟に情報を共有することが可能です。

そうすると、「あのファイルはパソコンでしか開けない」とか、「あのアプリはiPhoneでしか起動できない」っていう事態は起こりづらく、限りなく端末の差は小さくなっています。「端末に一元化されている」という主張も頷けますね。

 

しかも、iPadの場合、パソコンと同じように…というわけにはいきませんが、Split Viewを使って、異なるアプリを同時に立ち上げることが可能です。

少しずつではありますが、端末間の垣根だけでなく、アプリ間の垣根も小さくなっていると言えます。

 

以上をまとめると、我々を取り巻く現状は、「どの端末を使っても、アクセスできる情報に差がなく、しかも、アプリ間の垣根を超えて、横断的に情報を引き出すことが可能な状況」と言えます。

ここまで考えますと、「アプリ単体に一元化されている必要性は、よくよく考えればない」という主張もよく分かりますね。実際、iPad Proを使っていて、「情報を一元化したい」と思う場面に遭遇することは減ったように思います。

 

まとめ

「餅は餅屋」という言葉のとおり、それぞれの用途に適したアプリを使う方が、現環境下における情報管理としては正解なんだろうなと思います。

 

例えば、私の場合、書籍や論文PDF等をまとめた情報は、「Goodnotes4」だけで完結しています。iCloudを使って、すぐに他端末と同期できるので、メモ帳などに情報を移す必要がないのです。

「Liquid Text」や「Flexcil」も併用しようかと考えましたが、操作が直感的ではなかったので、結局、Goodnotes4だけ使っています。

 

しばらくは、こんな感じでやっていこうかな、と。

情報の一元化は、それ自体を目的化するものではないし、とりあえず頭の片隅に置いておきます。