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【英文契約 Part 4】頻出表現のまとめ

英文契約の頻出表現

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 今回は、英文契約の頻出表現をいくつか紹介したいと思います(別の機会に、頻出単語・用語も書いてみます)。

 ただ、頻出とは言っても、筆者がよく見かける…という類のものですので、業界や契約の種類によっても違うでしょうし、締結先企業の国によっても違うと思います。その点は、何卒ご容赦ください。

 

「~に従って(~によって)」「~に基づいて」

 例えば、「本契約に従って」「第5条の約定に従って」というように、「~に従って」と表現する場合、in accordance with~ とか according to~ などと表現します。例えば以下のようなものです。

 

This Agreement shall be exclusively governed and construed in accordance with the laws of Japan.

(本契約は、専ら日本法に従って解釈及び適用されるものとする)

 

 似たような表現として、他にも、persuant to~as per~ があり、この表現を紹介されている方も多いです。あくまでも個人的な印象になってしまいますが、登場回数で言ったら in accordance with などの方が多いかな…という印象です。

 ちなみに、according to を「~によれば」という意味で覚えている方もいらっしゃると思いますが(TOEICなどでは、「~によれば」という意味で使用されることがほとんど)、契約書では、上記の意味で使用されることが多いです。

 

 もうひとつ。日本語の契約書では「~に基づいて」という表現がよく使われ、英語では based on~ と表現しますが、あまり使われている印象はありません。どちらかと言うと、「~を基にして」「~を基礎として」という意味合いが強く(加工前の素材を指すような感じですかね)、The sales volume shall be calculated based on information provided by seller.(販売量は、販売者から提供された情報を基にして計算されるものとする)といった表現なら全然あり得ます。

 日本語での「本契約に基づく」という表現は、based on this Agreement とは言わず、in accordance with this Agreement(本契約に従って)と言うか、under this Agreement(本契約の下で)と表現する方がしっくりする気がします(※)。

(※)hereunderでも同義。

 

「~の場合は」「~のときは」

 「~の場合は」という仮定条件を規定する場合、in the event that~in the event of~in case where~、といった表現を使用します。例えば以下のようなものです。

 

Either Party may terminate this Agreement in the event of a material breach of this Agreement by the other Party, which breach has not been cured within thirty (30) days of the notice from the non-breaching Party.

(各当事者は、他方当事者による重大な契約違反があった場合は、非違反当事者から是正勧告があった日から30日を過ぎても違反状態が是正されなかったときに、本契約を解除することができる)

 

 なお、これらの表現は、「~の場合に備えて」「~するといけないから」という意味合いが含まれ、「こういうケースには気を付けてね」と注意を呼び掛けるニュアンスがあると言われています。もし、そういうニュアンスを含ませたくない場合は、when節などを使った方が良いと思います。

 

「~を除く」「~を含む」

 「~を除く」「~を除外して」と言う場合、except as~except for~excepting~excluding~ などを使います。save to~save for~ といった表現も見かけますが、圧倒的にexceptの方が多い気がします。他方、「~を含む」は、including です。まあ、ここまでは一般的な表現なので、何となく分かります。

 

 これに関連して、「~を含むが、これに限られない」という表現があります。日本語の契約書でも、「A、B、C及びDを含むが、これらに限られない」というように、A~Dはあくまでも例示列挙であって、これに限定する趣旨ではない(限定列挙ではない)という点を強調・確認したいときに使用しますね。

英文契約では、including, without limitation~including, but not limited to~ と表現します(※)。例えば以下のようなものです。

 

"Personal Data" shall mean any personally identifiable data including but not limited to name, email address, or IP address.

(Personal Dataとは、個人的な身元識別情報を意味し、氏名、Eメールアドレス又はIPアドレス含むがこれらに限定されない

 

(※)illustration (and not by way of limitation) と言ったりもします。

 

「~に関して」「~について」

 「~に関して」「~について」と、何かに言及したい場合、表現方法は結構色々あります。with regard to~in regard of~regarding~with respect to~in respect of~ などと表現したり、in connection with~in relation to~ と表現したりします。

 他にも、既出の話題に言及するときは、as for~as to~ と言ったりしますし、pertaining to~ というあまり聞きなれない表現もあります。「どれを使ったらいいの?」って感じなんですが、頻出度で言いますと、with regard to~、regarding~、with respect to~、in connection with~あたりが多いような気がします。

 

「以下(下記)の」「以上(上記)の」

 日本語の契約書の場合、「以下の各号に定めるとおり」として、そのあとに細かい条件を規定することがありますが、as follow とか following と表現することが多いです。set forth below というように、below を使うこともあります。

 

The obligations of each party under this Agreement to defend, indemnify and hold harmless the other party and its respective directors, officers, employees, agents, and representatives shall be subject to the following: (a)……; (b)……

(本契約の下で各当事者が負う、他方の当事者及びその取締役、役員、従業員、代理人及び代表者を防御、補償及び免責する義務は、以下を前提条件とする。(a)…; (b)…)

 

 他方、「上述の」とか「上記の」という表現は、foregoing ですかね。aforementioned、said above、aforesaid、mentioned above などと表現することもありますが、あまり見かけません。圧倒的に foregoing が使われていると思います。

 なお、英文契約はただでさえややこしいので、「上述の」とはなるべく言わない方が良いと思います。色々な義務規定を定めたあと、いきなり the foregoing obligations とか言われると、「どの義務のことを言っているんだよ?」と激しく混乱します(;´・ω・)

 

「~にかかわらず」

 「~にかかわらず」という表現は、regardless ofneverthelessnonethelessdespitenotwithstanding などを使います。

 例えば、「上述にかかわらず」「前述にかかわらず」と言いたい場合、notwithstanding the foregoing(前述にかかわらず)、notwithstanding the above(上述にかかわらず) などと表現したりします(※)。「~の規定にかかわらず」であれば、notwithstanding the provision of~ です。notwithstandingというワード自体が馴染みの薄いものなので、ピンとこないかもしれないですが、めちゃくちゃ頻出の表現なので、これごと覚えていると便利です。

(※)the foregoing notwithstanding と言うこともできます。

 

Notwithstanding the foregoing, Article 7 shall survive termination or expiration of this Agreement for any reason.

前述にかかわらず、本契約がいかなる理由で終了し、又は解除された場合であっても、第7条の規定は、なお有効なものとして存続する)

 

その他

 上記以外で、個人的に使用する頻度が多い表現を紹介してみます。

 

▼「~に従うことを(前提)条件として」

subject to~ と表現します。「~に従って」と訳することもできるので、上記でご紹介した in accordance with~ などと類似の表現ですが、subject to は、前提条件という意味合いが強く、「その条件が成就しない限り、効果が生じない」というような意味で使用されます。

 

Subject to the terms and conditions of this Agreement, AAA hereby grants to BBB a limited, non-exclusive, non-transferable, paid-up, royalty-free license.

(本契約の諸条件に従うことを条件として、AAAは本契約に従って、限定的、非排他的、譲渡不可、支払済み、著作権使用料無料の使用許諾をBBBに付与するものとする)

 

▼ 「~の範囲内で」

⇒  「法によって許容されている範囲内で」や「本契約の目的遂行に必要な範囲内で」というように、許容範囲を制限したいときは、to the extent~ という表現を使います。例えば、to the extent permitted by law(法によって許容されている範囲内で)とか、to the extent necessary for the purposes of this Agreement(本契約の目的遂行のために必要な範囲内で)といった感じです。

ちなみに、「~の範囲に限り」と、範囲を限定する意図を強めたいのであれば、only to the extent to~ というように表現します。

 

▼ 「~とみなす」

⇒ 「~とみなす」という表現については、be regard to~be considered to~shall be deemed to~ などと表現します。deem を使うことが多いかな…という印象です。

 

The parties to this Agreement are independent contractors and nothing in this Agreement contained shall be deemed to create a joint venture or partnership between the parties in this Agreement.

(本契約の当事者は、独立した契約者であり、本契約の内容は、一切両当事者間における合弁会社又はパートナーシップを創設するものとはみなされないものとする)

 

▼ 「別段の~ない限り」「別段の~を除く」

⇒ 「別段の意思表示のない限り」や「本契約に別段の定めがある場合を除く」など、「別段の~ない限り」「別段の~を除く」と言いたい場合は、unless otherwise とか except as otherwise などと表現します。otherwise は「別段の」とか「別様の」といった意味であり、「~でない限り」という意味の unless や、「~を除く」という意味の except as とくっつけることによって、そのような意味を成します。

except as otherwise provided herein:本契約に別段の定めがある場合を除く

unless otherwise agreed in herewith:本契約で別段の合意のない限り

 

▼ 「~の如何(有無)を問わず」

⇒ 「書面・口頭の如何を問わず」とか、「事前の合意の有無を問わず」といった「~を問わず」という表現は、whether を使います。例えば、whether it is intangible form は、「有形無形を問わず」という意味です(※)

他によく見かけるのは、 whether or not という表現です。例えば、whether or not the applicable party was advised of the possibility of such loss or damages.(当該損失又は損害の可能性を該当の当事者が知らされていたか否かを問わず)といった表現の仕方をします。

(※)regardless of whether というように、regardless of(~にかかわらず)をくっつけて表現することもあります。

 

英文契約の表現方法あれこれ

 今回紹介した表現は、「日本語の契約書でもよく登場する表現」にスポットを当てております。その他英文契約には、「日本語の契約書では、そんな表現使わねえよ」というような独特の表現や言い回しもあって、読んでいると凄い新鮮な気持ちになりますね。面白い表現などがあったら紹介したいと思います。

 ちなみに、英文契約の表現は「慣れ」だと思いますが、機械的に翻訳するのではなく、気になる表現は、先輩や知り合いの弁護士に聞いたり、ネットで調べたりしているうちに、「へぇ~そういう背景があったんだ」という驚きとともに、頭に定着しやすくなるんじゃなかなーと思っています。

 

【契約論 その5】接続詞や読点の使い方・表記にまつわる話

接続詞や読点の使い方・表記について

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 契約書には、「及び」「又は」「並びに」「若しくは」「かつ」など、細かい使い分けを要求される接続詞が頻出します。こういう接続詞の正しい使い分けは、法務1年目に徹底して叩き込まれます。もし間違って使用してしまうと、文の意味自体が変わってしまいますし、取引先から「接続詞の正しい使い分けも出来ねえのか」と思われかねません。

 これら接続詞の正しい使い方につきましては、他にも参考となる書籍やサイトがたくさんありますので、本記事では立ち入らず、その代わりに、個人的に気になっている点をいくつか書いてみたいと思います。

 

① 読点の位置並びに名詞句及び動詞句

 「及び」や「又は」という接続詞の使い方は正しいものの、読点の位置や名詞句・動詞句がごちゃごちゃになっている契約書をよく目にします。例えば、次のような文章です(適当に考えた文章なので、意味は深く考えないでください)。

 

「〇〇〇の場合、甲は、乙に対して、書面を送付するか又は電子メールを送信することによって、△△△の旨を通知するものとし、乙は、甲から当該通知を受領するまでの間、本契約の全部又は一部の解除、及び代金支払の留保をなしうる。」

 

 上記の文章でも意味は分かるため、私は、先方から上のような文章を示されても、よっぽど意味が複雑で分かりづらいものでもない限り修正はしません。ただ、読点「、」の位置と、名詞句・動詞句の使い方としては適切ではないと言いますか、文章としてごちゃごちゃのように感じます。

 まず、読点のルールとして、名詞句(又は名詞単体)を接続する場合は、最後の読点は付けず、動詞句を接続する場合は、最後の読点を付けるのが普通です(ただし、2つの文章を『かつ』を用いて接続する場合、前後に読点が入ります)。分かりやすく言うと、以下のような感じです。

 

【名詞句】

〇 書面、FAX又は電子メール

✖ 書面、FAX、又は電子メール

 

【動詞句】

〇 書面を送付し、又は電子メールを送信する。

✖ 書面を送付し又は電子メールを送信する。

 

 では、名詞句と動詞句を接続する場合はどうするのかという疑問もありますが、私は、「どちらかに統一しろ」と教わりました。確かに、名詞句なら名詞句、動詞句なら動詞句のどちらかに統一した方が、文章としても綺麗ですし、読みやすいと思いますね。

 

 このルールに則って考えますと、「書面を送付するか又は電子メールを送信することによって」という一文は、動詞句を接続しているにもかかわらず読点が付いていませんし、「本契約の全部又は一部の解除、及び代金支払の留保をなしうる」という一文は、名詞句を接続しているにもかかわらず読点が付いている点において、何だか違和感を覚える文章なんです。

 

② 漢字又は仮名

 もうひとつ気になるのは漢字と仮名の使い分けです。

 内閣法制局が定めた「法令における漢字使用等について」(昭和 56 年 10 月)によりますと、「かつ」「したがって」「ただし」「また」は、常用漢字表にあるものであっても仮名で表記するものとされています。そのため、「且つ」「従って」「但し」「又」とは書きません。他方、「及び」「並びに」「又は」「若しくは」は漢字で表記するものとされています。「なんでだよw」とツッコみたくなるんですけど、何故かそう決まっているんです。

 

 んで、提示された契約書に「但し」とか「又」と書かれていたりしても、私は修正しません。確かに使い方は正しくないんですけど、別に法的意味が変わるわけでもないし、そんな細かいところに修正を入れるメリットを感じないからです。

 ちなみに、自分が間違えることはないかと言われますと、決してそんなことはなく、ついつい「但し」とか、「従って」と書いてしまうことがあるんですね(当ブログでも、しょっちゅう『但し』とか書いていますが、法令文書ではないのでご勘弁を…w)。すると、場合によっては先方から修正が入ることもあり、「あ、そうか」と気づかされるんですが、「及び」「又は」という表記も全て「および」「または」と仮名表記に修正されていたりして、

 

分かります。ややこしいですよね。。(;^ω^)

 

 という気持ちになります(笑)。法務あるあるですね。

 

さいごに

 大切なルールなので、知識としては絶対必要ですが、接続詞の使い方が完全に間違っていない限り(意味が異なってしまわない限り)、読点の位置が多少間違っていたり、漢字・仮名表記が間違っていても、「読みづらかったりするけど、まあ、いいんじゃないか」というのが本音です。

 こういう法令文書の表記方法って、文章の体裁面を統一するための見栄えの問題と言いますか、官僚が決めたお約束事みたいなものなんで、当事者間で理解できるなら、「また」を「又」と書いたところで大した問題ではありません。

 

 ただし、自分が書いている同じ文章の中で、「ただし」と書いている部分があったり、「但し」と書いている部分があったりすると、「統一感がない文章だな」と思われますし、あまりにルールからかけ離れた表記をしていると、「これ、素人が作った文章だな」と思われるので、出来る限りルールに則って書くべきだとは思います。

 

キラキラネームを付けたことを親が後悔してはいけない。

 最近ですね。キラキラネームをつけた親の中には、そのような変わった名前を付けたことを後悔している人も少なからずいるという話を聞きました。後悔するぐらいだったら最初から付けんなよとツッコミが入りそうですが、私は、「あなたが後悔してしまったら、子どもはどうなるんだよ」と思います。

 それは、世界に1人しかいない可愛い我が子だから、特別な名前を付けてあげたいという愛情からくるものだったのかもしれない。一時の感情に流されて「何となく」付けてしまったものかもしれない。何でも良いんですけど、「絶対に後悔するな」と思いますし、「後悔しているということを絶対に子どもに伝えるな」と思っているんです。

 

 だって、ちょっと考えてみてください。キラキラネームを付けられたことを理由として、イジメられたり、就職の際に不利になったとします。場合によっては、「なんで、こんな変な名前を付けたんだ」と親を恨むかもしれないし、親と激しく衝突するかもしれない。そのときに、親から「変な名前を付けてしまったことを後悔している」なんて言われた日には、子どもはどうやって自分のアイデンティティを維持すればいいんですか?名付け親自身も「変な名前」と認識している名称を、この先もずっと背負って生きていくんですよ?

 名前は、親が子どもに最初に与えるアイデンティティですが、それを与えた当人が、それを否定するということは、「お前は俺の子じゃない」って告げられるぐらい辛いことだと思うのです。

 

 少し自分の同級生の話をしたいと思います。その同級生は「桂」という珍しい名前でした(姓ではなく名です)。「けい」ではなく「かつら」と読むため、心無い同級生から、「おい、ハゲ」とか、「お前、カツラ被ってんだろ?」と揶揄されることもありました。名前を理由としてイジメられていたのです。

 このことを重く見た担任の先生が、学級会を開き、そのようなイジメをやめるように諭していると、イジメられていたその同級生が、「皆に話したいことがあります」と手を挙げたのです。「何を話すんだろう?」と、クラス全員の視線が集中する中、ぽつりぽつりと自分の名前について語り始めました。今でも覚えています。

 

 「桂」とは、非常に丈夫な木で、道行く人の癒やしにもなっている街路樹。どっしりと構え、周囲の人を和ませることの出来る子に育って欲しいとの思いで、付けてもらった。この名前が嫌で嫌で仕方なかったが、名前の由来を知ってからは、この名に恥じない人間になりたいと思っているし、この名を付けてもらったことを感謝していると。

 「桂」という名前の由来を知って驚くとともに、その同級生の親への感謝の言葉を聞き、イジメていた人間も改悛したのか、名前を理由とするイジメはパタッとなくなりました。

 

 想像でしかありませんが、おそらく親と何度も衝突したのでしょう。「なんで、こんな変な名前を付けたんだ」と。そこで、名前の由来を聞き、親の思いを知ったことで、その同級生は、親との溝や名前に対する葛藤を乗り越えていきました。

 しかし、もし、上記同級生が、親と衝突した際、「苦労をかけさせてすまん」と謝られでもしていたら、どうなっていたでしょうか。行き場のない思いを抱え、もしかすると一生親を憎んで生きていたかもしれません。救いようのない話です。

 

 何か深い思いがあって付けたのなら、その愛情を変わらず注げばいい。特に何も考えずに付けたのだとしても、「お前の人間性を見ずに、名前で差別するような奴なんかほっとけ」と強く育てればいい。いずれにせよ、キラキラネームを付けたことをあなたが後悔してはいけない。絶対に。