とある法務部員の備忘録。

某IT企業に務めるお気楽法務部員が、法律、ゲーム、生活、その他諸々を書き綴っております。

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少年野球チームの練習風景を見ていたら。

なんか、複雑な気持ちになったので、この記事を書いています。

 

今日、良い天気だったので、家の近くの公園までブラブラと散歩に出掛けたんです。そしたら、少年野球チームが練習してまして。休日にはよく見かける光景ですよね。「あー、良いなぁ」なんて思いながら何気なく眺めてました。

 

すると、監督さんが、子どもたちをホームベース近辺に並ばせ、ピッチャーマウンドよりも近い場所から近距離ノックを始めました。しかも、結構速い打球速度で。

その距離にして15〜16mほどでしょうか。野球は多少かじったことがある程度ですが、大人でもこの距離から速いノックを打たれると相当怖いと思います。

 

おそらく、ボールに対する恐怖心を克服させるための練習だと思うんですが、容赦のない近距離ノックが次々と繰り出され、しかも、「逃げんな、コラ!」などと怒号が飛ぶのを見て、段々と気の毒に感じると言いますか、「おいおい、なんだこの監督…」と思い始めていました。

 

そのうち、打球を左右に振るようになり、横っ飛びジャンプをして捕れ、とか言い出したんです。プロの選手が華麗に横っ飛びをして、難しい打球をキャッチしているのを何度も見たことがありますが、それを真似してやれと。それが出来ないと、「飛べ!コラ!」と怒号が飛びます(「飛べ!」ってなんだよ…)。

 

もうね。カオスですよ。子どもたちは、恐怖心で腰が引けてしまい、ノックどころじゃない。横っ飛びジャンプも、ヤケクソって感じで、打球が飛んだ方向にゴテンと転ぶだけ。そりゃそうなるよ。

 

これのどこが練習なんだ?恐怖心を克服させたいのか知らんが、余計に恐怖心を植え付けるだけなのでは?というか、まともに打球を捕れない子どもに、横っ飛びジャンプをして打球を捕れって何がしたいの?

 

という感じで胸糞悪くなり、見ていられなくなってその場を後にしました。

 

少年野球チームの監督って、近所の居酒屋のおっさんだったり、普段何をしているのか分からんおっさんだったり、飲んだくれのおっさんだったり、まあ、とにかくよく分からんおっさんであることが多いんですが、私は、自分の子どもを、そんなおっさんの元に預けて、よく分からん近距離ノックは絶対に受けさせません。かなりの高確率で、「もう行きたくない」って言われるのが目に見えてるので。

 

少年サッカーの監督とかコーチをする場合、資格が必要と聞いたんですが、なんで野球の場合はそういう制度がないんですかね。不思議です。

 

【契約書】日本国内企業間で準拠法を定める意味

日本国内企業間の準拠法について

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 日本国内企業間での契約書の規定を見ていますと、第一審の専属的合意管轄裁判所については定めがあるものの、準拠法について定めていないものを見かけることがあります。

 私は、準拠法を定めていない理由について、たぶん2つあると思っていまして、①戦略的に敢えて規定していない、②準拠法を定める必要性を感じていない、のどちらかだと思っています。以下、それぞれについて詳述します。

 

準拠法規定って不要なの?

 いったん①の理由については置くとして、まず、②の理由について考えてみることにします。

 この理由は要するに、「日本国内で、日本法人どうしが取引するんだから、準拠法は日本法に決まってんだろ」という考え方です。この点、法の適用に関する通則法第7条には、「法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。」と規定されており、法律行為(契約)の準拠法は、原則として、当事者の選択(合意)に委ねられています。

 しかし、日本法人どうしが、本国である日本以外の第三国の法を選択することは通常考えられませんよね。では、何も選択しなかったらどうなるのかと言いますと、同法第8条が「前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。」と規定していることから、通常最も密接な関係のある日本の法律が適用されることとなります。

 

 このことから、②の理由に立脚する場合、日本法に準拠することは自明であることから、通則法第8条の規定に従って日本法を適用させるか、もしくは、そんな小難しいことは考えずに、「必要ないから」という理由だけで、準拠法規定を削除しているのだと想像します。

 

 しかし、この考え方は、現在且つ目前の関係性しか見えていないと思われます。

 確かに、現在の契約当事者は日本企業どうしかもしれません。しかし、今やグローバル社会であり、いつ何時、外資系企業や外国籍企業に買収されるか分かりません。取引相手は日本企業だと思っていたのに、ふと気づいたら、アメリカに本社を置く米企業に買収されていた…なんてことも十分あり得る話です。

(参考:準拠法の指定についてです。 | ビジネス初心者のための契約書入門

 

 そして、当該アメリカ企業との間で何らかの紛争が生じたケースを想像してみて下さい。事件が提起された裁判所が、自国の国際私法に従って準拠法を決定するという「法廷地法の原則」に依拠し、準拠法は、日本における国際私法たる通則法第8条により日本法だと決定される保証はありますでしょうか?「最密接関係地」が「日本」だと言い切れますでしょうか?(例えば、同法第8条第2項によれば、特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地が「最密接関係地」と推定されています。)

 そうなんです。仮に法廷地を日本の裁判所と合意したとしても、また実際に日本の裁判所に提訴したとしても、準拠法が日本法とされる保証なんてないんですよ。また、訴訟ではなく、和解や仲裁の場合なんて尚更そうです。

 

 私は、こういったトラブルに巻き込まれるリスクを避けるために、たとえ日本企業間の契約であっても(たとえ当たり前であったとしても)、準拠法を日本法とする規定を入れます(向こうの提示した契約書に準拠法規定がなかった場合、わざわざ追加します)。

 これに対し、「合併は解除事由とされていることが多く、合併のタイミングで解除すれば良い」とか、「仮に、準拠法が外国法であっても、通則法第42条により、公序良俗に反するものは日本国内では適用できない」などと楽観視する人もいるかもしれませんが、解除はあくまでも権利であって義務ではなく、双方にメリットがあると思うのであれば契約を継続しますし、公序良俗なんていう抽象的な規範をアテにするのは危険すぎるでしょう(※)。

 

(※)ただし、米国での懲罰的損害賠償など、日本国内では公序良俗に反して無効と判断されるものもあり、仮に、米国法に準拠して、米裁判所で懲罰的損害賠償を認容する判決が得られたとしても、日本国内にある資産に対して全てを執行することはできないので、そういったリスクは考慮しなくても良いという考え方や戦略はあると思います。

 

敢えて準拠法を規定しないという戦略

 では、①の理由は何なのか。以下に書くことは、あくまでも私の想像です。

 ここまで読んで頂いた方であれば、ご想像がつくかもしれませんが、当該日本法人が、外国人投資家、外資系企業、外資系ファンド等から出資を受けており(又は受ける見込みがあり)、将来的にこういった海外企業に身売りすることを見越して、敢えて準拠法を規定しないという契約上の戦略もあるのではないかと思っているのです。

 準拠法を定めなかった場合、通則法第8条第1項の規定により、原則として、日本法が適用されることになり、その後、海外企業が合併等を原因として権利義務関係を承継し、以後取引の主体となった場合は、同法第8条第2項ないし第12条の規定により、最密接関係地が取引を行っている海外と判断される余地もあり、一石二鳥だからです。

(このへんの事情に詳しい方がいましたら、是非ともご教授賜りたいです)

 

 まあ、大半の企業が、何も考えずに準拠法を規定しているか、もしくは、何も考えずに準拠法を削除していると思いますが(違ったらすみません)、普段何気なく目にしている準拠法規定について、少し視点を変えて考えてみると面白いかもしれません。

 

英文契約解説 第2回「但書き(proviso)」

「但し」は、“ But ”とは言わない。

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 日本語の契約書でも、ずらずらと原則を述べたあと、「但し」と前置きしてから、例外を書いていることがありますよね。「Aの場合は、Bとする。但し、Cの場合はこの限りではない。」といった具合に。法律の条文でも、例外を定める場合はこのような書き方が一般的であり、「但書き」と呼ばれています。英語では「proviso」と言います。

 

 英文契約でも、このような但書きが登場するのですが、一瞬思い浮かべるのは、「but」じゃないでしょうか(私だけですか?w)。

 例えば、「I love baseball, but I haven’t played it in a while.(私は野球が好きですが、しばらくしていませんでした)」というように、最初に述べたことを否定したり、打ち消すような文が続く場合に「but」が用いられます。一見すると、「但し」と表現したい場合、「but」でも良いような気がします(私だけですか?w)。

 しかし、「but」は、「しかし」「でも」「けど」という意味であり、前後の文が矛盾していたり、非両立の場合にのみだけ使われるわけではなく、一定の条件や例外を示している但書きにおいて、「but」を使用することは必ずしも適切ではないのです。

※ 実際、「但し」を「but」と表現している契約書は見たことがありません。

 

 「but」と似たようなワードとして、「however」があります。日常会話ではあまり使われないようですが、2つの異なる事柄を対比する場合に用いられるらしく、討論の場ではよく使用されています。んで、やはりと言いますか、英文契約書において、「however」も見かけることがあります。

 例えば、「The Company acknowledges that Client is entitled to terminate this agreement in the event Client has good cause to believe that the Company do not comply with guidelines of service. However, Client must promptly inform and provide a written notification to the Company about such termination together with specific reasons of the termination.」

(当該会社がサービスガイドラインを遵守していないとクライアントが信じる正当な理由のある場合、当該会社は、クライアントが本契約を解除することができることを認識する。但し、クライアントは、解除理由を明記したうえで、直ちに契約を解除する旨を当該会社に通知しなければならない。)

 

 といった感じです。

 

もっと契約書っぽい言い方

 上記「however」も使われていますが、もっと使われているのは、「provided that」とか「provided, however, that」といった表現です。that以下が前提条件や例外となっており、「但し、~の場合は例外とする。」「但し、~を前提とする。」という意味になります(※)。例外であることを強調したい場合は、「however」を入れることが多いようですね。

(なお、「provided」は、ifの強調形であり、英文契約に限らず、日常会話でも用いられています)

 

 例えば、「Any rights and obligations hereunder shall not be assigned without the prior written approval of the other party; provided, however, that either party may assign this agreement to an acquirer of all or substantially all of such party’s assets, whether by merger, operation of law or otherwise, without the other party’s prior written approval. 」

(本契約の下での一切の権利及び義務は、他方当事者の書面による事前の同意なくして譲渡してはならない。但し、いずれの当事者も、他方当事者の書面による事前の同意なくして、本契約を当該当事者の資産の全部又は実質的に全部を合併、法律の運用等の手段で取得した者に対して譲渡することができる。)

 

 といった感じでしょうか。

 

(※)ただし、条件節として「provided that」を使用する場合、接続節は現在形となり、will、must、shallなどの助動詞を入れなければならない純粋な意味での「但書き」とは異なるという指摘もあります。

参考:ネイティブも誤るproviso(ただし書き) - 冨田敬士の翻訳ノート