箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

デジタルでモノクロ漫画を描くときに気をつけたいこと。

こないだマンションの駐車場に停めていたバイクに乗ろうとしたら、蜂みたいな見た目の蚊が急に寄ってきて、思わずその場に尻餅をついてしまった。その時に、手のひらをズルズルに擦り剥いてしまい、めっちゃ痛い。あの蚊が憎いぜ・・・。

 

調べてみたら、たぶん「ガガンボ」か「ユスリカ」だと思われる。こんな禍々しい見た目をしていて、毒針を刺すわけでもなければ、人の血を吸うこともないらしい。いや、なんでやねん。刺せよ。そして俺の感情を返せ。

buna.info

 

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まあ、そんな虫のことはどうでも良い。

今日は、「グレスケ漫画(カラー漫画も含む)」か「モノクロ漫画」か、どっちの漫画を主軸にしていくべきなのか・・・って話をしながら、今後の方向性を自分語りしていきたい。

 

僕は、デジタルで描くモノクロ2階調の漫画が超ムズいと感じており、「どう頑張っても、自分のイメージ通りの線やトーンにはならない」という結論に達している。特に、紙に印刷することを想定した解像度600dpiのモノクロ漫画は、そもそもパソコンのモニターで等倍のピクセル表示をすることができず、どうしても液タブで描いている時との印象の違いが発生してしまう。

また、モノクロ設定にすると、アンチエイリアスがオフになり、線がギザギザになってしまうので、ここらへんの気持ち悪さも言葉では言い尽くし難いものがある。普段、カラーイラストを描いている人が、商業用のモノクロ漫画を描いたときに、「キモチワルッ!」って思うのは、こういうところからきている。

 

これは完全にデジタル特有の話であり、たとえば、アナログで描いた原稿をデータとして取り込む場合、元のアナログ原稿には当然ながら中間色(インクのムラ)が存在している。そのため、アンチエイリアスをオフにして、完全に白と黒の2色だけで表現すること自体が非現実的だし、本来紙に印刷するものは、ちゃんと紙に描くべきなのだ。デジタルで描いたモノクロ原稿と、紙で描いたモノクロ原稿が同じ印象になるはずがない。

 

なので、本音を言うなら、僕はweb用のグレスケ漫画(またはカラー漫画)が描きたい。デジタルのモノクロ漫画がほんとに嫌だ・・・。

 

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まあそんな不満を言いつつ、とりあえず、次回作も解像度600dpiのモノクロ漫画を描く予定でいるけど、僕の中で以下の4つのルールを決めている。

 

  1. キャンバスの表示倍率を縮小または拡大し過ぎないように注意し、なるべく表示倍率を印刷サイズ(等倍)にして描く。
  2. 線やベタのコントラストがハッキリしている絵を目指す。
  3. なるべくトーン(中間色)を使わない。
  4. ベタやトーンの削りはほぼやらない。

 

ひとつずつ理由を説明する。

(なお、ここで書いていることは完全に僕の好みの問題なので、これ以外のやり方が間違っているとか、そういうことではない)

 

まず、表示倍率に関しては、「拡大し過ぎると、細かいところが気になって作画が進まない」とか、「印刷されないような細かい描き込みをしてしまうのを避ける」とか、そういう理由により、表示倍率を拡大し過ぎないように注意する風潮があるけども、僕の場合は逆に縮小しすぎてしまう傾向にあり、拡大して見たときに線が雑になってることが多かった。今回の作品も然り。

グレスケやカラー原稿だと、縮小して描いても、別に印象の違いは生じないし、アンチエイリアスがかかるので、自然な感じに仕上がるんだけど、残念ながら、モノクロ原稿はアンチエイリアスがかからずに、しっかりと線の境界線が見えてしまうので、そういうちょっとした雑な線がめちゃくちゃ目立ってしまう。デジタルで紙印刷を前提としたモノクロ原稿を描く場合、印刷サイズで描くのが唯一正しい表示倍率になるので、この倍率で見たときに線がちゃんと綺麗に引けているか・・・という基準で描き進めていく必要があると感じている。

 

次に、線やベタの話なんだけど、このブログでも再三にわたって説明してきたとおり、デジタルでは自分が思っているよりも線が細く書き出されてしまう傾向にあるため、しっかりとした線とベタで、ハッキリとした印象の絵を目指すべきだと僕は考えている。

僕はこの意識が弱く、「しげペン改」のようなアナログ感のあるカスレた線で細かく描き込んでいく描き方をしていたため、実際に書き出したときにそういう細い線が潰れてしまい、絵の印象がボンヤリしてしまっていた。それを防ぐためにも、とにかく「太めの線でしっかりとした線を描く」という意識を持ちたい。この意識が一番重要と言っても過言ではない。

 

また、トーンについては、個人的に「極力使うべきではない」という結論に達している。なんでかと言うと、線と同じように実際に書き出した時に細く(薄く)感じてしまうという問題もあるんだけど、中間色としてベタベタと画面にトーンを貼ってしまうと、どんよりと暗い雰囲気になってしまって、逆効果になってしまうことが多いからだ。所詮、トーンは黒色の点でしかないことを忘れてはならない。

それだけじゃなく、トーン素材の中には、アンチエイリアスがかかったカラーハーフトーンと呼ばれるものがあったり、トーン素材を回転させたときに、網点の形が潰れてしまうものがあって、これまた実際に書き出したときに印象が変わってしまったり、最悪の場合はモアレを起こすことがある。トーンはこういう細かい調整が本当に難しいので、極力使わないようにするのが一番良い。あくまでも大事なのは白と黒のコントラストなのだ。

 

最後に、モノクロ漫画でよくある「削り」についても、デジタルではやらない方が良いと僕は思っている。これも印象の違いの話になるんだけど、削りブラシをどういうサイズに設定するかによって、削り方にも違いが生じてしまうし、自分が思い描いているような綺麗な削りになっていないこともたくさんある(今回も書き出してみたら、「アレ?」と思うことがちょくちょくあった)。

これについては、ちゃんと綺麗に削れるブラシを選定し、それしか使わないようにするとか、あるいは、パキッとした絵柄を目指すのであれば、中間色やグラデーションを無理に表現せず、敢えて削らないという選択肢もアリだと思っている。キャラの造形を記号化するなら、むしろ削っていない絵の方が良かったりする。

 

・・・こんな感じだろうか。

 

僕個人としては、「デジタルのモノクロ漫画」と「リアリティを追求する描き方」の相性がそんなに良くないと思っていて、細かい線を描き込んだり、トーンを削ったりしながら、中間的な色合いを表現していくと、どうしても印象の違いが出てしまうと感じている。極端なことを言うと、普通のグラデーショントーンですら、見え方に違和感を感じることもある。僕が下手なだけかもしれんけど。というか、そうだけど。

 

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こういう方針で次のモノクロ漫画を描いてみて、しっくりとした感覚があるとか、自分の中で改良できる見通しが立ってるとか、あるいは、ちゃんと第三者の評価が伴うのであれば、モノクロ漫画を継続していこうと思うんだけど、そうではなく、やっぱりモノクロ漫画が上手く描けないと感じてしまったり、それ以上の改良方法も分からないのであれば、もういっそのことグレスケ漫画に移行しようかなと考えている。

 

モノクロ漫画を描くたびに、うまく描けなかったり、印象の違いが出てしまうことに本当にウンザリしてて、せっかく時間をかけて何度もリテイクを重ねながら描いたのに、表示倍率とかトーンのモアレとか、絵の本質ではない部分で印象が変わってしまうのがめちゃくちゃ嫌だ。この印象のギャップをどうにかしてくれ。

 

こうやって失敗を重ねながら、少しずつ改良していくしかないんだろうね。難しいなぁ。