箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

今回の作品の反省部分を整理しておく。

賞に応募した作品については、まだ何も結果は分かっていないし、講評が返ってきたわけでもないんだけど、もし仮に落選だった場合、自分の中で明確に「ここはダメだ」と分かっている部分があり、そのあたりを整理しておこうと思う。

 

まず最初に、作業環境の問題について。

 

 

これまでの僕は、デジタルで描く絵は全てピクセル表示されると誤解しており、4K解像度の液タブで描いているのだから、縮小した状態でも緻密な絵が描けると考えていた。

もちろん、ピクセル指定の絵だったら、モニターの画面解像度(総画素数)に依存するため、その理解でも間違いではないんだが、最終的に紙に印刷することを前提とした商業誌用の漫画原稿の場合、ピクセル表示はどうでもよく、印刷サイズだけが唯一正しい等倍サイズになる。

 

しかし、僕の液タブのディスプレイ解像度によると、印刷サイズはキャンバス表示倍率48%ぐらいであるにもかかわらず、常に2〜30%ぐらいの倍率でキャンバス全体を表示しながら描いていたため、実際の印刷サイズに引き伸ばしてみると、小さく見えてしまっていた・・・というわけだ。

 

このように、ずっと間違った認識のまま、漫画原稿を描いてきたため、たぶん、僕の作品を読んできた今までの編集者や審査員も「線が細いなー」とか「線が汚いなー」と思っていたと思う。まあ、そりゃ当たり前だ。引きで見ている絵を、本来の印刷サイズに拡大して見たら、雑な部分や粗さが目立つに決まっている。嗚呼、、勿体ない・・・。

 

これが分かったので、今後の原稿作業については、印刷サイズ(等倍サイズ)で表示した時に、ちゃんと綺麗に見えるかどうかを基準にして描こうと思っている。

(これまでに使ってきたブラシは、全て2〜30%にキャンバスを縮小したときを基準にして設定しているため、ブラシ選びからやり直すことにする)

 

次に絵柄について。

 

僕は、今回の作品では、細かい線を描き込んでいくリアル系の絵柄を目指していたんだけど、そもそも作風に合っていなかったと感じている。

しかも、変に「アナログ感」にこだわっている部分があり、わざと線をカスれさせたり、微妙なニュアンスをつけて描くことが多く、倍率表示が間違っていたという問題と併せて、余計に「汚い」「ハッキリとしない」という印象の絵になってしまっていた。

 

これからは、もっとハッキリとした絵柄を目指すとともに、「アナログっぽい線」よりも「綺麗な線」を目指そうと決意した。少なくとも今の自分の描き方ではダメだ。

 

最後に、コマ割りというか、作品の方向性について。

 

今回の作品は、自分なりに色々と工夫してみたものの、ストーリー展開に引っ張られている部分が多く、キャラの魅力を伝える絵が少ないと感じる。もっとキャラにフォーカスしなくちゃいけないし、もっと構図、ポーズ、表情も工夫できると思う。

というか、キャラの魅力を伝える面白い絵が描けているのであれば、ぶっちゃけストーリー展開なんて半分以上どうでもよく、基本的にはずーっと "面白い何か" が起こっていなければならない。そのため、バトルやコメディ要素をもっと増やし、そういう魅力的で面白い絵をもっと描けるように工夫したい。

 

あと、コマ割りの反省も多い。堀越先生のヒロアカとかを読んでいて思うのは、とにかくキャラの絵が大きいということであり、基本的にキャラの絵はコマ枠や断ち切り線から見切れるぐらいのサイズで描いているし、フキダシも断ち切り線で見切れていたりする(実は、じっくり読んでみると、セリフも断ち切り線で見切れており、何と書いているのか分からないテキストもあったりする)。

しかし、自分は「基本枠線の中に収めなければならない」という意識が強すぎるあまり、どうしてもキャラの絵が小さくなりがちであり、断ち切り線で見切れないように、コマ割りも窮屈になりすぎていた。

 

もちろん、ここは漫画家さんの好みであり、断ち切り線まで絵を描かない人もいるが、そういう漫画家さんでもキャラやセリフはちゃんと大きく描いている。僕はまだまだこの意識が弱い。構図やポーズも平凡だし、絵も小さい。もっと絵に驚きが要る。

 

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とまあ、今回の反省のまとめでした。

 

講評で何と言われるかわからないし、実は自分が思っているよりも悪くなかったり、自分が意識していなかった部分とは全然違う部分を指摘されるかもしれない。まあ、その時にまた改めて答え合わせをするということで。