箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

「昔に描いた作品」よりも「次に描く作品」の方が絶対に良いものが描ける。

昨日、再度原稿を確認し、修正するポイントを12個ぐらいに絞ったんだけど、今日1日で大体の修正は完了してしまった。

 

「してしまった」と言うと、何だか不満げに聞こえるが、そうではなく、こういう原稿修正というのは、Aを直すと次はBが気になって、Bを直すと次はCが気になって、Cを直すと次は・・・という永久ループなんだなと感じた。

 

そのため、期限である30日までは、ボーッと原稿を眺めつつ、「ここを直してみようかな」と気付いた点にちょくちょく手を加えていく感じにしようと思う。とりあえず、マストで修正しなければいけない点は全て修正できたので、あとは自分の中での満足度をどれだけ小刻みに上げていけるか・・・という勝負だと思う。

 

ちなみに、これは僕の持論だけど、作品の方向性というのは、初期段階のイメージでほぼ決まっており、あとから大きく変えることの出来ないものだと考えている。

 

漫画界隈では、「昔に描いた作品を今の画力で描き直したい」という人が一定数いるんだけど、僕は、たとえ画力が上がったとしても、作品のイメージ自体を最初から練り直さない限り、もう一度描き直したところで、そんなに大きな違いは生じないと思ってるし、作品のイメージ自体を最初から練り直すぐらいだったら、全く別の新しい作品を描いた方が良いと思っている。僕が過去作品に一切手を付けないのはそれが理由である。

 

今取り掛かっている作品も、初期段階で練り上げたイメージに基づいて、キャラのデザインやストーリー、コマ割りを考えているので、その基本路線を大きく変えるということができず、もし仮に、「もっとこうした方が良いかも」とアイデアが思い浮かんだとしても、それが作品のイメージや基本路線からズレているなら、もちろん採用することは出来ないし、「それは次の作品に取っておこう」という話になる。

 

自分の実力なんてまだまだだし、毎回が練習だ。出来なかったことをひとつずつ出来るようになっていくしかない。そうやって、作品を描くたびに「自分史上最高」を更新していこう。

 

*****

 

あと、漫画界隈では、「昔の自分の方が上手かった」という人も一定数いるんだけど、これに関しては、その人が一切練習していないとか、絵柄を途中から大幅に変えたとか、何か特別な理由がない限り、100%勘違いだと思っている。

 

僕も過去の作品を見返したときに、「よくこんな絵が描けたな」と部分的に驚くことはあるし、「昔の自分も上手いじゃん」と思わないわけでもない。

 

しかし、総じて言えば、昔の自分の方が圧倒的に下手である。

 

顔や身体のバランスもむちゃくちゃだし、線も汚いし、動きや立体感もないし、コマ割りも単調だし、デザインも平凡だし、全然描き込みも出来ていないし、何もかもが未熟だなーと感じる。

 

例えば、2年前に初めて新人賞に応募した時の作品があって、「もしかすると掲載デビューまでいけるんじゃないか」と担当者からも言われており、僕自身もめちゃくちゃ自信があったんだけど、結果的にこの作品は掲載無しの努力賞止まりだった。

正直に言うと、その時は何がダメだったのか全く分からなかった。でも、今見返してみたらとんでもない。めちゃくちゃ下手で、この作品が掲載されるなんてあり得ないと思ってしまった。

 

「おっ」と驚く絵が無いわけじゃないが、線の強弱が全くないうえに、陰影や立体感を出すための描き込みもほとんど無いので、なんだかのっぺりとした平面的な絵に見えてしまうし、線が弱いので、肝心のバトルシーンに全然迫力がない。少なくともバトル漫画の絵柄じゃないよなーと思ってしまった。

また、デッサン感覚もまだまだ未熟であり、顔や身体のバランスの間違いにも全然気づけていない。一番見せ場となるクライマックスシーンの横顔なんて、目のバランスがむちゃくちゃ過ぎて笑ってしまうレベルだった。その時の僕はこれで良いと思っていたらしい。キャラのデザインもなんだか古臭い印象を受けてしまう。

 

だけど、2年経った今の僕は、この作品を下手だと認識できるし、過去に描いたどの作品よりも、今自分が描いている作品の方が上手いと思っており、そう思えるということは、成長していることに他ならない。たぶん、1年後や2年後の僕も、今描いている作品を見返して、「うわー下手だなー」と言ってると思う。

 

でも、着実に成長はしている。そうやって一歩ずつ進んでいって、いつか自分の理想に到達すればいい。今の僕はそう思っている。

 

低気圧の影響と編集者との付き合い方について

信じられないくらい寒い。僕は押入れに仕舞おうと思っていた灯油ファンヒーターのスイッチを押した。これが今春最後のストーブだと信じたい。

 

ちなみに、明日はもっと気温が低く、しかも雨だという。明後日以降は天気が回復し、気温も上がるみたいだが、これだけ寒暖差が激しいと、体調を維持するのが大変だ。

先日のVCR RUSTにて、配信者のワイワイさんが「何でも低気圧のせいにするな」と名言(?)を残していたが、僕は気圧が下がると、冗談抜きで体調が悪くなる体質(頭痛や喘息の症状が出てくる)であり、「たまには低気圧のせいにさせてくれ」と言いたくなってしまう。低気圧が憎い。うがー。

 

さて、ところかわって原稿作業について。

 

僕は原稿を描き上げると、必ず充電期間という名の反省期間を設けることにしている。なので、今回も4月30日に無事に脱稿できたら、どういうところが良かったか、もしくはダメだったかを整理し、「次はこうしよう」とプランニングをして、次の作品に向けてプロットを練ったり、イメージを膨らませるタームに移行することになると思う。

 

ただし、希望的観測として、なにかの賞を受賞するとか、それがきっかけで掲載デビューさせてもらえるとか、担当者がつくことになって、次に向けて企画を立ち上げるとか、そういう可能性もゼロなわけではない。そうなったらどうしよう・・・と、ドギマギしている気持ち悪い自分もいる。

 

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実際、僕にはかつて某少年雑誌の担当者がいた。仮にこの編集者を「Tさん」と呼ぶことにする。

 

僕が初めてWEB持ち込みをした時に、僕の作品を「面白い」と言ってくれたのもTさんだった。すぐに「担当者になりたい」という連絡をくださり、そのあと、Tさんと話し合って、新人賞に応募しようという段取りになった。

新人賞に応募するにあたって、僕が企画書を送ると、「良いアイデアですね。その企画でネームを描いてみて下さい」と一発で快諾。ネームを描いて送ると、その日のうちに電話が掛かってきて、「凄いネームです!今年読んだ新人のネームの中で一番良かったですよ!」という嬉しい言葉を言って頂けた。

 

そのため、僕は、Tさんに対してめちゃくちゃ感謝しており、「ウマが合う人」と一方的に認識していた。

(ちなみに、新人賞については、一番下の努力賞みたいなやつを受賞させてもらった)

 

しかし、その後、読み切り掲載を目指すことになってから雲行きが怪しくなる。まったく企画が通らないし、ネームを描いても反応がないのだ。

自分の中ではかなり自信のあるネームを描いてるつもりなんだけど、「うーん・・・」みたいな微妙なリアクションしか返ってこない。Tさんが「ここのシーンはもっとこうした方が良いのでは?」と指摘しても、ことごとく僕の好みとは真逆であり、「僕はそうしたくないです」と返事することが増えていった。

 

結局、その後、連絡が徐々に途絶えていって、Tさんとの関係性は、いわゆる「自然消滅状態」となっている。もちろん、今でも連絡を取ろうと思えば取れるし、「こういう企画を考えてみたんです。お時間のある時にネームを読んでもらえませんか?」と言えば、そのネームに目をとおして、何かしらの返事はくれると思う。けど、現時点でそんな気は全く起こらない。

(断っておくと、Tさんに対する感謝は今も変わっていない)

 

当たり前といえば、当たり前なんだけど、自分の価値観や好みが100%合致している人なんて、この世にはいない。Tさんも例外ではなく、たまたまTさんが最初に目にした僕の作品が、部分的に自分の好みと合致していただけだ。

しかも、Tさんはあくまでも会社員であり、会社(編集部)の意向や方針に従わざるを得ず、自分の好みを押し殺して、読者の好みに合う作品を描くように促していた可能性もある。

 

僕はTさんとのコミュニケーションを通して、商業雑誌の編集者とどう接したら良いのか、よく分からなくなっている。単純にビジネスのことだけを考えるなら、編集者の言うことに「うんうん」と頷き、相手の意見を全肯定するイエスマンになれば良いんだけど、もちろんそんなことをすれば、後に待っているのはただの「苦行」である。

しかし、かと言って、我を通せば、反発や衝突が生まれ、「扱いづらい漫画家」という烙印を押されて、仕事がやりづらくなる。このバランスが非常に難しい。

 

まあ、そんなことを今から考えても仕方ないので、このぐらいにしておくが、創作のような答えのないものを一緒にやろうとしている時点で、かなりの無理ゲーであり、それこそ音楽性の違いでグループが解散したり、メンバーが脱退するのも当たり前のことなのかもしれない。

 

最終修正フェーズが完了したので4月30日まで原稿を寝かせる。

昨日言ってたとおり、今日で最終修正フェーズが完了した。

 

これで、僕の中で修正しなければならないポイントは全て修正できたことになり、一応原稿としては「完成」と見なしても良い状態になった。

ただ、以前から言ってるとおり、修正期限を4月30日に設定しているため、たとえ修正があろうとなかろうと、30日までは原稿を寝かせると決めているので、30日までの8日間は「これ以上、手直しを入れるかどうかを悩む期間」にしようと思う。

 

そこで、明日は、もう一度原稿にザッと目を通し、「手直しを入れるどうかを考える箇所」を絞ろうと思う。ここで、あれもこれも・・・となってしまうと際限がなくなってしまうので、ここで対象に挙げたものだけ修正を考えることにする。

この修正対象箇所については、もちろん修正しても良いし、他に良い案が思いつかなければ(あるいは修正したものの、「前の絵の方が良い」と判断すれば)、現状のままでも良いということにする。いずれにせよ30日までは修正するかどうかを考え続ける期間にしよう。

 

さあ、最後の1週間。粘るぞー。

軽く作業進捗だけを書く。

今日は軽く作業の進捗だけを。

 

今日9ページ進んで、45ページまで修正が完了した。残り10ページのうち、修正を必要とするのは7ページなので、よっぽどのことがない限り、明日で最終修正フェーズは終わると思う。

 

そうなると、修正期限である4月30日まで8日空くことになるので、前も言ったとおり、「改良の余地がある」と判断した絵について、もう少しブラッシュアップ出来ないかをじっくり考えようと思う。現時点で3〜4箇所といったところかな。

 

まあ、そんなこんなであと1週間。頑張っていこう。

配信者がタレント化していることについて思うこと

今日は雑談として、「配信者がタレント化している」ということについて、僕が思うことをちょっと語りたい。

 

昔は、配信者(ストリーマー)といえば、YoutubeとかTwitchといった動画配信プラットフォームでのゲーム実況だけで活動が完結していたはずなのに、今は加藤純一さん主催の「ハイパーゲーム大会」とか、ZETA主催の「リアルタルコフ」に代表されるように、配信者のオフラインイベントが増えてきて、もはやタレントのような活動をするようになってきている。つい先日も、人気配信者であるSHAKAさんが主催して、「SHAKA ONE グランプリ」というゴーカートのオフラインイベントが開催されていた。

(ただし、人気実況者のオフイベ自体は、ニコ生時代からもあったので、今に始まった話ではない)

 

そして、この「タレント化」という傾向は、配信スタイル自体にも変化をもたらしており、例えば、「ストグラ」とか、現在開催中の「VCR RUST」のように、ひとつのサーバー(仮想空間)の中に、配信者たちが集まって、他の配信者と絡むことがもはや当たり前になってきている。

これは、ビジネス視点で言うなら、「視聴者の共有」が目的であり、「◯◯さん視点での配信も見たい」と視聴者に思わせ、視聴数アップの相互作用を見込める点に最大のメリットがある。コンテンツとしても面白いので一石二鳥というわけだ。

 

つまり、僕が言っている「タレント化」というのは、「コミュニティ活動を行う」と言ってるのと、意味的にはほぼ同じである。

 

例えば、テレビタレントが一番分かりやすいけども、どうやってテレビという世界で人気や知名度を得るかというと、明石家さんまさんのような人気タレントがMCを務める番組にゲストとして呼ばれて、そこで他のタレント(俳優やお笑い芸人)と面白い絡みをすることで、テレビ視聴者にその存在を知ってもらい、徐々に人気を得ていって、いずれは番組のレギュラーやMCのポジションを貰う・・・という流れになっている。

 

これは、「人気タレントたちのコミュニティに入れてもらい、そのコミュニティの中で活動を行う」ということに他ならない。今、配信者たちがやっていることも本質的には同じである。画面の向こうに映っている演者が、明石家さんまさんからゲーム実況者やVtuberに変わっただけだ。

 

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そして、おそらくだけど、この傾向が今後続いていくとすれば、配信者は二極化していくと思われる。

 

つまり、人気配信者のコミュニティに入ることを許されて、相乗効果でどんどん人気者になっていくか、そのコミュニティに入ることができずに、細々とソロ活動を続けていくか・・・の二択である。

(ちなみに、僕が言っている「人気配信者コミュニティ」というのは、「にじさんじ」とか「ホロライブ」のような大手のVtuber事務所も含む)

 

実際、最近大きくなった配信者は、他の人気配信者と絡むことでその存在が認知されたケースが多く、ファン太さんなんかはまさにそのパターンである。ファン太さんは、「VCR RUST」や「VCR GTA」での下ネタやモノマネがウケまくり、「ストグラ」で一気にその人気が爆発した。ひとえに「VCR」という人気配信者コミュニティに入れたことが大きな要因になったと言えるだろう(もちろんファン太さん自身の実力も高かったけども)。

 

だけど、ファン太さんのようなケースは超レアであり、ほとんど大半の配信者は、人気配信者コミュニティから声が掛かることもないし、仮に人気配信者コミュニティに入れたとしても、全員がそのチャンスをモノに出来るわけではない。

実際、ストグラでは、他の配信者とうまく絡むことができずにすぐにやめてしまう人もたくさんいるし、僕の好きな某配信者さんは、以前はそういう配信者コミュニティでの活動もやっていたのに、最近はほとんどやらなくなってしまった。おそらく相性が悪いと判断したんだろう。今はソロ配信をずっとやっている。

 

まあ、ここについては、その配信者の考え方次第であり、「配信をバズらせて人気者になりたい」と思うか、「自分が心地良いと思うコミュニティを作っていきたい」と思うかによって違うんだろうなーと思う。

 

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さて、作業進捗については、今日は8ページ進んで、36ページまで修正が完了した。

 

最終修正フェーズに入ってからまだ4日目だけど、このままのペースでいけば、たぶんあと2日で修正は終わると思う。明日はちょい面倒臭い修正があるため、もしかすると3日かかるかもしれないけど、いずれにせよそんなに時間はかからないはずである。

 

んでもって、現時点で、「まだ修正の余地があるかもしれない」と思っている箇所が、ほんの数か所だけ残っており、最終修正が終わったら、その部分について、もっと他に良い構図が見つからないか検討してみようかなーと考えている。最終修正期限である4月30日まで1週間ぐらい残る計算なので、じっくり時間をかけて。

 

まあ、というか、厳密に言えば、それ以外の絵に関しても、改良しようと思えば改良できるんだろうと思う。だけど、それを言い出すと、「コマ割りを最初から考え直そう」とか、「キャラのデザインを変え直そう」とか、修正作業が果てしなく続いていくことになるため、もし仮にそういう思いが芽生えたとしても、「その思いは次の作品で爆発させよう」と自分を納得させるしかない。じゃないと本当に終わらなくなる。

 

つまり、何と言うか、確かにじっくり時間をかければもっと良い絵に出来るのかもしれないけど、その絵がすんなり出せないということは、まだ自分の実力が足りていないということであり、「現時点で自分が出せるベストが出せてるんだったらそれでOK」という気持ちを持つしかない。要するに、「これ以上の絵を描きたいなら、もっと練習して、もっと実力を伸ばしてから描け」ということだ。

 

4月30日に脱稿したタイミングで、今回の作品の総括を書こうと思っているので、詳しいことはまたその時に。