箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

法律系

マリカー訴訟の判決文を読んでみました。

任天堂株式会社が、株式会社マリカー(現商号・株式会社MARIモビリティ開発)及び同社の代表者に対し、著作権法・不正競争防止法違反などを理由として、「マリカー」等の標章の使用の差止めや損害賠償を求めていた訴訟について、昨日、その判決文が公開され…

海賊版サイトのブロッキング議論におけるユーザーのハブられ方

いわゆる海賊版サイトのブロッキングをめぐって繰り広げられている議論を見ていますと、何と言いますか、「ユーザーのハブられ方、半端ないって!」と言いたくなります(すみません、思い切り乗っかりました)。 この種の議論は、思い返せば、児童ポルノサイ…

【CoinHiveマイニング】不正指令電磁的記録供用罪の成否をめぐる議論について

「CoinHive」の仮想通貨マイニングプログラムを自身のサイトに設置し、閲覧者のPCに指示を送り、閲覧者がこの事実に気づかないまま、強制的にCPUを使用してマイニングをさせた行為(以下、本記事において「本件行為」といいます。)につき、不正指令電磁的記…

関学大と日大のアメフトの試合に関する刑法上の視点など。

先般、話題となっている関学大と日大とのアメフトの試合で起こった危険なラフプレーについて、関学大が、日大に公式謝罪を求め、指導者による指示によるものかどうか、原因の究明を求めるのは当然すぎるほどに当然です。 報道によりますと、問題となるラフプ…

厳格な自主的ルールを定めることの弊害

先日、当ブログでも書かせて頂いた神戸製鋼所の報告書の中に、「厳しすぎる社内規格」と題して、次のような記載があります。 真岡製造所等、一部の工場では、顧客規格よりさらに厳しい社内規格を設けていた。これは、そもそもより厳しい社内規格を設ければ、…

神戸製鋼所「原因究明と再発防止策に関する報告書」について

少し遅れましたが、神戸製鋼の報告書を読んだ感想を書き留めておこうと思います。 なお、報告書は こちら から閲覧できます。 神鋼は不適切行為の原因をどう分析したか。 収益評価に偏った経営と閉鎖的な組織風土 契約に定められた仕様の遵守に対する意識の…

インターネット上のダフ屋行為の規制について

ヤフオクが、転売目的で入手されたチケットを出品禁止とするガイドライン改訂を行いましたが、ネット界隈では、様々な反応がありますね。「転売目的かどうかなんて、どうやって判断するんだ?」など。 当該ガイドラインには、「転売する目的で入手したと当社…

リーチサイト運営者逮捕に見るリンク行為の違法性について

「ONE PIECE」などの漫画が違法にアップロードされているウェブサイトへのリンク先を紹介するリーチサイト「はるか夢の址」を運営している元大学院生らが逮捕されるという報道がありました。 www.huffingtonpost.jp このサイト、めちゃくちゃ有名でして、私…

<判例>司法修習生給費制廃止違憲訴訟判決について(東京地判H29.9.27)

裁判所法の改正により、司法修習生の給費制を廃止したことが違憲であると主張して提起されていた一連の訴訟について、9月27日、東京地裁は原告らの請求を棄却する判決を下しました。同様の判決は、広島地裁、大分地裁でも下されています。 本日は、司法修習…

無罪判決がなぜ凄いのかを解説する【宇都宮市 教師わいせつ事件】

宇都宮市内の路上で女性の体を触ったとして、強制わいせつ罪に問われていた中学教諭の男性に対し、宇都宮地裁は18日、「女性の証言の信用性に疑いの余地がある」として無罪判決を言い渡しました。 www.sankei.com 中学校の教師が、強制わいせつの罪で有罪判…

関西最後の鉄砦が崩れ去る日。

神戸製鋼の一連の不祥事について、国内のみならず、国外にも余波が広がっており、DoJ(アメリカ司法省)が、データ改ざん等を行っていた製品の関連書類を提出するよう要求するなど、経営陣は、リコールも視野に入れた断腸の舵取りを迫られています。 また、…

高齢ドライバーの限定条件付き免許と居住・移転の自由

高齢ドライバーの限定条件付き免許に関する居住・移転の自由の問題について

ロースクール制度の破綻と日本の法教育の今後について

日本国内において、法曹人口の増加に伴う法律業界の競争過多や就職難等が問題視されるようになって久しいですが、日本の法教育は一体どこに向かうのでしょうか?今日はそんな話をしてみたいと思います。 米ロースクールの模倣制度を推進した有識者たちの罪 …

ブロガーが絶対に知っておくべき著作権トロールのこと。

まず、「著作権トロールってなに?」という方のために。 著作権トロール(コピーライト・トロール)とは、ざっくり言いますと、自らの著作物を無断で使用した者に対し、法外な使用料・賠償金を請求するなどして、ロイヤリティーを<搾取>している業者などの…

IT法務がブログに記載すべきプライバシーポリシー雛形を考えてみた【アドセンス対策】

(2017年10月1日公開 同年10月7日更新) ブログを運営されている方の中には、Googleアドセンスへの申請準備等として、プライバシーポリシーの記載を検討されている方もいらっしゃるかと思います。 そこで、今回は、ブログに記載すべきプライバシーポリシーに…

<判例>肖像写真をめぐる著作権・肖像権の問題

ブログの運営をされる中で、無料写真素材をご使用されている方もいらっしゃると思いますが、その中でも、今回は「肖像写真」、すなわち「特定の人物の容ぼうを撮影した写真」にまつわる著作権・肖像権の問題を取扱います。 当ブログでも写真素材を使用させて…

<判例>弁護士費用の請求

この「判例シリーズ」では、毎回何かしらテーマを設定し、判例をベースとしながら、問題の分析・検討を行っていきたいと思います。第1回目のテーマは「弁護士費用の請求」についてです。 契約法務に携わっていますと、損害賠償に関する記述として、「一切の…

DeNAの第三者委員会調査報告書を読んだ感想

DeNAのキュレーション事業に関する第三者委員会調査報告書をやっと読み終わったので、その感想的なものを書き留めておきたいと思う。 なお、本報告書の第12章「本報告書のまとめとして」にも記載のあるとおり、第三者委員会は、DeNAや個々の役職員を糾弾する…

コンプラ研修会の振り返り(続き)

前回からの続き(補足)です。 今回、コンプラ研修会をやってみて、自分で気づいた点がほかにもあったので、追記したいと思います。 今回強く思ったのは、「コンプライアンスの正しい知識を身につけてもらう」というような一方的な視点をもつのではなく、「…

コンプラ研修会の振り返り。

すみません、独り言になってしまうかもしれませんが、今回社内で実施したコンプラ研修会の振り返りを。 うーん。やっぱりコンプラ研修会って難しいですね。 扱っている内容が内容だけに、くだけ過ぎるのは良くない。でも堅苦しい研修会にすると、ダラけてし…

薬機法の広告規制について

薬事法が、平成25年に改正され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」又は「法」といいます。)という名称になって久しいですが、同法第66条ないし第68条に規定されている医薬品等の広告規制について、ネ…