箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

ブロガーが絶対に知っておくべき著作権トロールのこと。

copyright_troll

 まず、「著作権トロールってなに?」という方のために。

 著作権トロール(コピーライト・トロール)とは、ざっくり言いますと、自らの著作物を無断で使用した者に対し、法外な使用料・賠償金を請求するなどして、ロイヤリティーを<搾取>している業者などのことを言います。

 これらの著作権トロールは、初めから著作物を商業利用する意思がなく、著作権侵害者からロイヤリティーを徴収することを目的としているために、著作権法を濫用していると批判される存在です。特許トロールパテント・トロール)の著作権版ですね。ちなみに、JASRACのように、営利目的で著作権を管理し、使用料を徴収している組織は、著作権トロールとは異質です。

 

 著作権トロールの歴史は古く、1990年代には、既にSCOがUNIXのロイヤリティーを要求する事件が起こっており、2000年代以降の著作権トロールとしては、Righthaven が有名ですね。少し前の記事ですが、Getty Imageも著作権トロールと批判されています。

Getty Images has a bit of a reputation for being a ridiculous copyright troll at times -- sending out threatening letters demanding large sums to "settle" for people who use an image from Getty's database.

(出典:Getty Images Goes Copyright Trolling After A Meme Penguin | Techdirt

 

著作権トロールにご注意を!

 こういう著作権トロールの哨戒網に引っかかってしまったら悲惨です。

tocana.jp

 こちらの記事の中に、Googleで画像検索した画像を無断で使用した人に対し、数十万円単位の損害賠償を請求されたといった記載がありますが、実際のところ、ほんとにありますよ。下記引用文のように、著作権トロールは、損害賠償を目当てとして、わざと高額の使用料を設定しています。

たとえば、画像の利用料金が1回あたり1万円が相場だとすれば、問題の業者は1回あたりの利用料金を10万円と高額に設定している。相場の10倍という高額な利用料を支払って、正規に画像を使用する人がいるとは思えず、和田弁護士は「損害賠償を目当てに、あえて高い価格に設定している可能性がある」と話している。

 

 ブロガーの皆さん、ブログに画像を掲載する際、Googleで画像検索して拾ってきた出典元不明の画像を絶対に使ってはいけません

 かといって、著作権フリー素材も実のところ微妙です。当初は無料だったけど、その無料素材サイトが、画像の著作権をごっそり他社に譲渡し、途中から「有料で配布しまーす。使用するなら使用料払って下さいねー」っていうケースも十分あり得るからです。もし、無料素材サイトを利用する場合は、そのサイトがどこまで信頼できるか、見極めが大切になってきます。

(怖いのであれば、インターネット上の素材は使用せず、自分で撮影・作成した画像等を使うしかないです)

 

著作権トロールの主戦場は移るのでは?

 さて、本日の本題は実はここから。

 私の認識では、以前まで、著作権トロールの主役は法人でした。著作物を無断使用するように仕向けるためには、ある一定の母数とクオリティが必要となってきます。SEO対策なんかも必要です。一個人が、高品質の著作物を大量に保有することなんて普通はできません。

 

 しかし、InstagramFlickr、Pixivなどの投稿・共有型SNSが流行るようになった現在においては、一個人であっても、強い影響力と拡散力を持つことが可能となりました。Instagramを見ていても、綺麗な写真がたくさんありますね。「お、アイキャッチ画像に丁度いいじゃん」とか思っちゃうかもしれないですね。

 実際、SNS上にアップロードされた画像やイラストについて、無断で使用されている例がたくさんあります。それぐらい高いクオリティの作品が増えてきたからです。もちろん、著作権者に無断で使用することは問答無用でダメですよ。それが前提です。その上で、こんな風に想像したことはありませんか?

 

もし、SNS上にアップロードしたユーザーが著作権トロールだったら?

 

 私は、十分にあり得ると思っているんです(現に起こっている?)。今のネットユーザーの認識として、「サイトコンテンツを使用するのは著作権的に恐い。でも、SNSにアップロードされた個人のコンテンツだったら大丈夫だろう」という部分が少なからずあると思っていまして、個人がSNSにアップロードしたコンテンツを使用する心理的ハードルって低いんじゃないかと。

 もちろん、そのような無断使用に対して、著作権侵害を主張するのは真っ当なことです。大半は真っ当な権利行使だと思います。でも、無断使用されることを見越したうえで、わざと高い使用料を設定し、画像・イラストが拡散され、無断使用されることを虎視眈々と待っているという人も中にはいるんじゃないの?ということが言いたいのです。

 それこそ、1回の使用料を10万円とかに設定して、「そんなん誰が買うねんw」みたいなね。

 

さいごに

 仮に、このような個人レベルの著作権トロールが当たり前となった場合、インターネット上の著作物利用は、もっとアーキテクチャ的制限の下に置かれるようになると思います。出典元が分からない画像は表示がブロッキングされるとか。

 これは、著作権法が権利制限規定を設けて、一定の著作物利用の効率化を図った趣旨を無視することを意味します。だって、著作権トロールからしたら、「法が許容する範囲内で著作物を使用してね」ではなくて、「どうぞ著作権を侵害してね」だもの。「法が与えた自由」とか言ってられないでしょうね。