箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

ワコム液タブで漫画を描きたいならM2 Mac miniはオススメしない。

僕は、M2 Mac minに液タブを繋いで漫画原稿を描いているんだけど、現在取り掛かっている原稿作業が4月30日に終わる予定であり、それが終わればM2 Mac miniは売り払おうと思っている。

 

つまり、このPCで漫画原稿を描くのはこれが最後なので、M2 Mac miniを使用してきた2ヶ月間を振り返りながら、このPCの総括をしておこうと思う。

 

ちなみに、僕の作業環境は以下のとおり。ご参考までに。

  • PC:M2 Mac mini(ユニファイドメモリ16GB、ストレージ256GB)
  • PC使用期間:約2ヶ月
  • 液タブ:Wacom Cintiq Pro 24
  • 使用ソフト:CLIP STUDIO PAINT EX
  • 主な作業内容:商業用の漫画制作(B4サイズ、600dpi、平均レイヤー数2〜30個)

 

 

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まず最初に結論から言う。

 

簡易的なイラストやWEB漫画しか描かないなら大丈夫だと思うけど、4K液タブで本格的な漫画を描きたいと思っているなら、M2 Mac miniは全くオススメできない。

 

僕がそう思う理由を順番に説明していく。

 

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まずそもそも、ProとかMaxのような上位モデルは別だとしても、無印のMシリーズチップはそこまで高性能ではない(完全に僕個人の所見だけど)。

 

M1チップが初めて世に出た時は、「すげえCPUが出てきたぞ!」と世間は騒然とした。これまでの常識として、「メモリは8GBだと足りない可能性があるから、16GBに増設しとけ」っていう風潮があったけど、「M1チップなら8GBでもイケるぞ!」という意見が飛び出してくるぐらい、M1チップの凄さがこれでもかと強調された。

 

僕は、こういうPR宣伝を大々的にやっていたYoutuberたちの罪は深いと思っている。

 

実際にM2 Mac miniを使ってみると、ネーム(ラフ絵)を描くぐらいなら特に問題は起きないけど、線画レイヤー、コマ枠レイヤー、セリフレイヤー、トーンレイヤーというように、レイヤー数が増えるにつれて、どんどん動作は怪しくなっていく

作業が長時間に及ぶと、ブラシ描写にも遅延が発生して、動きがカクカクになり、場合によってはほとんど作業にならなかったりする。この2ヶ月間で起こった処理落ちの回数は数え切れない。僕はずっとこのストレスと戦っていた。

 

つまり、M2 Mac miniのメモリ16GB程度のスペックだと、4K液タブで漫画を描くのは相当厳しいというのが僕の結論になる。

 

なので、「4K動画もサクサク編集できるよ!」というYoutuberたちの言葉に惑わされてはいけない。今どき4K動画の編集なんてiPad Proでも出来る。液タブを繋いでクリスタやフォトショで絵を描く方が圧倒的に作業負荷は重いのだ。

 

ちなみに、セルシスがクリスタを動かすためのパソコンの推奨スペックとして、「メモリ8GB以上」と挙げているけど、これも絶対に真に受けない方が良い。

www.clipstudio.net

 

これはあくまでも「簡易的なイラストを描くぐらいだったらメモリ8GBでも大丈夫だよ」と言ってるに過ぎない。

 

ちなみに、ネット情報を色々と調べていると、ファンレスのMac Book Airに液タブを繋いで絵を描いている人もいるんだけど、そういう人は、それほど作業負荷が大きくないイラストやWEB漫画を描いてらっしゃる方なんじゃないかと勝手に想像している。

 

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また、MacOSとワコム液タブの相性が非常に悪い

 

例えば、ワコム液タブを繋いで作業をしていると、キーボード入力がおかしくなり、「かな入力」になっているはずなのに、「英数字入力」しか出来なくなることがよくある(この不具合は、以前iMacを使っていた時代から発生していた)。

 

調べてみると、僕と同じ現象が起きている人が他にもいるらしい。

www.clip-studio.com

 

ちなみに、僕の場合は、手動で「英数字入力」に切り替えたあとに、もう一度手動で「かな入力」に戻すと直るが、面倒臭いことに変わりはない。

 

他にも、ブラシ表示を「ブラシサイズ」に設定しているのに、なぜかマウスカーソルが重なって表示されたりする。

 

これもなぜそうなるのかよく分からないし、この不具合に至っては、直し方がいまいち分からない。適当にマウスでポチポチとクリックしていれば直ったりするけど、一向に直らずに再起動を余儀なくされる場合もある。

 

まだある。

 

これは最近起こった不具合なんだけど、「上書き保存」しているはずなのに、なぜか「別名で保存」をしている扱いになってしまい、同じファイルが2つ作成される現象が何度か発生した。

 

これも原因が分からない。しかも、どのタイミングでファイルが複製されたのかが分からず、中身を開いてみないと、どっちが新しいファイルで、どっちが古いファイルなのかが判然とせず、間違って新しいファイルを消してしまったらどうしようとヒヤヒヤさせられた。

 

要するに、Macでは、こういった不具合が次から次に起こる。しかも、ネットで調べても全然情報が出てこない。圧倒的にWindowsユーザーが多いからだ。ワコムのカスタマーサポートに問い合わせても、「ドライバーを再インストールしてください」としか言われないし、再インストールしたところで直らない。

 

あともうひとつ言っておくと、Mac miniのBluetooth接続は超弱い

 

僕はヘッドフォンをBluetooth接続して音楽を聞いたりしているんだけど、ブツッとBluetooth接続が切れて、その瞬間に音楽が大音量で響き渡るということが何度かあったため、今はパソコンではなく、iPad Proに繋いで聞くようにしている。マウスやキーボードの接続が切れていることもめちゃくちゃ多く、これも地味にイライラさせられた。

 

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ここまでの話を総括すると、そもそもM2 Mac mini自体がそこまでスペックの高いパソコンではないし、かと言って、Macのスペックを上げようにも、MacOSとワコム液タブとの相性が悪すぎる。

つまり、少なくともワコム液タブで漫画を描こうと思っているなら、Macを選んだ時点で「そりゃ悪手だろ、蟻んコ」とネテロにたしなめられてしまう蛮行なんだと思う。

 

ちなみにひとつ言っておくと、僕はかれこれ10年以上にわたってMacを愛用してきたApple信者であり、本当ならMacを使い続けたいという願望がある。しかし、ここまで不具合が多いともう我慢の限界である。

M2 Mac miniを売り払ったあとは、もう少しスペックの高いWindowsPCに乗り換える予定だし、今後おそらく据え置きのPCに関しては、Macを買うことは無いだろうなと思う。

 

というわけで、M2 Mac miniの総括でした。