箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

無事に脱稿できたのでこの4ヶ月間を総括していく。

昨日、無事に脱稿した。

 

いや、正確に言うと「無事に」ではなく、久しぶりの原稿書き出しだったため、色んなトラブルが発生し、若干てんやわんやだった。

 

まず、Macのプレビューがおかしいのか、あるいはMacのモニター設定が影響しているのかよく分からんのだけど、書き出した原稿(jpeg)をプレビューで確認すると、液タブで表示されている線・トーンよりも薄く表示されてしまい、自分のイメージとのギャップが発生してしまっていた(以前から同様の現象は起こっていた)。

ちなみに、iPadで画像を表示させるか、あるいはプレビュー方法を変更すると、普通に表示されるので(液タブの表示と同じなので)、どのソフトを使ってjpegをプレビューするかによって、原稿の見え方は変わってしまうんだと思われる。

 

というわけで、この点に関しては、「Macの画像プレビューがおかしい(jpegの表示方法が他のソフトとは違う)」ということで無理やり納得することにした。というか、そうするしかない。

 

次に、実際に書き出した原稿を確認してみたところ、なぜか文字フォントが崩れている箇所がいくつかあることに気づく。どうやら、iPadで文字入れしたセリフについては、Macにインストールしているフォントと同じわけではなく、互換性もなかったため、文字表記がおかしなことになっていたらしい。

また、iPadで文字入れしたものについては、そもそもMacで使用しているクリスタとバージョンが違うので、それが影響して文字崩れを起こしているみたいだった。

 

僕は原稿ファイルを投稿してからこのエラーに気づいたため、慌てて原稿の文字を打ち直し、再度原稿を書き出して再送した。

いやいや、文字表記が崩れてるなんて知りませんやん。ちなみに、この事実に気づいたため、たぶん今後の文字入れはパソコンで一本化すると思う。

 

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はぁ、というわけで、原稿作業がやっと終わった。

 

あとは、この4ヶ月間の原稿作業を振り返りつつ、僕が感じたこと、学んだこと、反省したこと・・・などを書き綴り、最後に今後の方針を書いていきたいと思う。

 

総合感想

まず最初に、今回の原稿についての総合的な感想を言うと、「100%納得しているわけではないが、少なくとも現時点における自分のベストは尽くせたと思うし、次に繋がる作品が描けた」と感じている。

 

というか、原稿の修正作業をやりながら僕が思ったこととしては、満足する瞬間なんて永遠に来ないということだ。いつまで経っても満足せず、「もっと良い絵が描ける!」「もっと改良できる!」と、ずーっと自分と戦い続けている感じ(自問自答している感じ)がする。そうやって、ちょっとずつ自分の限界を突破しながら、作品のクオリティを高めていくしかなかった。

しかし、それを続けても永久に「終わり」なんて来ない。そのため、どこかのタイミングで、「今回の作品はここまで」と無理やり線引きするしかない。なので、今回は4月30日を締め切り期限に設定したわけだけど、今回の作品については、今までに描いたどの作品よりも納得感は強いし、間違いなく自分史上最高だと思う。

 

今までは「本当にこれで良いのかなぁ・・・」「まだやれることがあるんじゃないのかなぁ・・・」という不安が常にあったけど、今回についてはそれがない。それだけでも成長したなーと思っている。

あとは、勝手に他人が評価してくれればいい。箸にも棒にもかからないのであれば、別にそれでも良いし、今回の作品で得た経験や反省を糧にして、また次の作品を描けば良いだけのことだ。そうやって少しずつ成長していけば良い。今はそんな風に思う。

 

ネームについて

あとは、各フェーズごとに僕が気づいたことを順番に整理していこう。

 

まず、ネーム(コマ割り)については、おそらく一番収穫があった部分であり、僕が今回気付いたポイントを整理すると以下のとおりになる。

 

  • 読み切り漫画については「起承転結」や「構成」を考えてはいけない(ストーリー思考を捨てる)。
  • 印象的で面白い絵になる展開を考える。
  • 基本的にキャラ(表情・ポーズ)は大きく描く。
  • 顔マンガを描かない。主人公の意志で局面を動かす。
  • 展開がありきたりだと思ったら少しズラす。

 

極論を言えば、漫画というのは「印象的で面白い絵」が描かれていればそれで良いと僕は思っており、読者が見たいと思っているのは、そういうキャラの魅力を伝える絵や展開であって、ストーリーなんてオマケでしかないと考えている。

一方で、起承転結などのストーリー思考で漫画を描こうとすると、どうしても説明が多くなってしまい、結果的にキャラがずーっと状況説明をしているとか、セリフを喋っているだけの顔マンガになってしまう。今までの僕の漫画は全部それだった。

 

つまり、最初と終わりのシーンで、主人公がどう変化するのかだけを考えて、あとは、主人公の魅力を伝えるためのシーン(印象的で面白い絵)を逆算しながら埋めていく。読み切り漫画は基本的にこれだけ考えていれば良い。最終的にキャラの魅力さえ伝われば、ストーリー展開なんて多少辻褄が合ってなくても全然構わない。

 

もしも、顔マンガになってしまった場合は、展開がストーリーに偏ってしまっている証拠であり、もう一度「主人公が自分の意志で局面を動かしているか」を考え直す。主人公が自分の意志で局面を動かしているのであれば、自然と主人公の魅力を伝えるエピソードになっているはずだし、主人公の魅力が伝わる絵になっているはずである。

 

あと、基本的にキャラの絵は大きく描く。これは序盤だろうと、中盤だろうと、クライマックスだろうと関係がなく、作品全体を通して常に大きく描くことが必要だと思う。小さい絵を描いたって主人公の魅力はなかなか伝わらない。

(正確に言えば、大きく描くべき絵は大きく描き、小さくても構わない絵は小さく描く・・・というメリハリが大事だと思う)

 

・・・ネームについてはこんな感じだろうか。

今回の作品でなんとなくコマ割りについては掴んだものがあるので、この感覚をより磨くために、次の作品にも活かしていきたい。

 

ペン入れについて

次に、ペン入れについては、かなり反省点が多いんだけど、僕なりに2つの点に絞って話をさせてもらいたい。

 

  • アナログ感を出すために線に強弱やニュアンスを持たせることよりも、丁寧にハッキリとした線を描くことの方が100倍重要である。
  • 絵の印象は最初のイメージでほぼ決まっている。細かい部分も含めて、最初にもっとイメージを膨らませる。

 

僕は、今回の作品を仕上げていく中で、わざとラフに描いてみたり、「しげペン改」のようなブラシを使ってわざとカスレた線を描いてみたり、とにかくアナログ感を重視して描いてみたんだけど、僕の画力では「味のある線」というより、ただの「汚い線」になってしまっており、逆に「ちゃんと丁寧・綺麗に描こう」という意識で描かれた絵は、それなりのクオリティに仕上がっているように感じた。

 

例えば、賀来ゆうじ先生のような絵柄で描くのであれば、わざとラフに描くのもアリなんだけど、僕の絵柄はどっちかと言うとデフォルメ寄りであり、こういう絵柄をラフに描いてしまうと、汚さだけが目立ってしまい、あんまり上手く見えないということに気づくことができた。

本当は、裏那先生のようなラフな描き方が理想なんだけど、僕はもっと綺麗で丁寧な線を描けるようになった方が良いんだろうな。そこは本当に反省。雑に描いたところは、そのまま雑に見えてしまっているし、もっと一本一本の線に神経を行き届かせたい。

 

あと、最終的な絵の印象は、質感や立体感をどれだけ描き込めるか(どこまで絵のクオリティにこだわれるか)に左右されると思うんだけど、このクオリティは、ほぼ最初のイメージで決まっているように思う。

要するに、最初のラフ段階で、すでに構図やポーズが具体的にイメージできている絵については、ペン入れの段階で迷うことがないし、自然と描き込み量も増えていく。そうすると、自分が思ったとおりの良い絵になることが多い。しかし、その一方で、具体的なイメージが出来ていない状態で絵を描き進めても、途中で迷ってしまい、細かいところの描き込みがおろそかになって、微妙な印象の絵になってしまう。

 

つまり、今以上に絵のクオリティを上げて、作品をさらにブラッシュアップしていくためには、最初の段階でもっと魅力的な絵をイメージ出来ていなければならない

僕の場合は、ボンヤリとしたイメージのまま、見切り発車でラフを描き始めて、あとからそれを描き直すことが非常に多かったので、次の作品ではもっとイメージを膨らませることを意識したい。

 

ペン入れについてはそんな感じだろうか。

個人的には「よく描けた」と思う絵もあったし、総じて言えば、別に悪い絵ではないと思うんだけど、まだまだ自分には足りないものが多いという印象を受ける。もっと練習しないと。

 

今後の方針について

昨年末に掲げた「自分自身が納得できる作品を描く」という目標に照らし合わせて、今回の作品は、ある意味でその目標を達成できたと感じる。

ただし、上述のとおり、まだまだ足りない部分も多く、もっと改良できるポイントもあると思うので、この反省を糧にして次の作品にも取り組んでいきたい。

 

んでもって、具体的なスケジュールとして、5月は充電期間(次の作品に向けてイメージを練る期間)とし、模写などをしながら再度自分の絵の方向性を見直すタームにしたい。この期間中に、次の作品で使うブラシを見直したり、漫画やアニメを見て勉強し直そうと思う。

そして、6月頃から再び始動し、8月末までに作品を完成させることを次なる目標とする。今回の作品はトータルで4ヶ月掛かったけど、ネーム作業に約2ヶ月も掛かっているため、ネーム作業をもっと効率化すれば、制作期間はもっと短縮できると思っている。

 

さて、4ヶ月間に及ぶ旅が終わった。この作品ともお別れだ。僕は少し休憩したら、次の旅に出るよ。しばらくしたらまた会おう。