箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

「昔に描いた作品」よりも「次に描く作品」の方が絶対に良いものが描ける。

昨日、再度原稿を確認し、修正するポイントを12個ぐらいに絞ったんだけど、今日1日で大体の修正は完了してしまった。

 

「してしまった」と言うと、何だか不満げに聞こえるが、そうではなく、こういう原稿修正というのは、Aを直すと次はBが気になって、Bを直すと次はCが気になって、Cを直すと次は・・・という永久ループなんだなと感じた。

 

そのため、期限である30日までは、ボーッと原稿を眺めつつ、「ここを直してみようかな」と気付いた点にちょくちょく手を加えていく感じにしようと思う。とりあえず、マストで修正しなければいけない点は全て修正できたので、あとは自分の中での満足度をどれだけ小刻みに上げていけるか・・・という勝負だと思う。

 

ちなみに、これは僕の持論だけど、作品の方向性というのは、初期段階のイメージでほぼ決まっており、あとから大きく変えることの出来ないものだと考えている。

 

漫画界隈では、「昔に描いた作品を今の画力で描き直したい」という人が一定数いるんだけど、僕は、たとえ画力が上がったとしても、作品のイメージ自体を最初から練り直さない限り、もう一度描き直したところで、そんなに大きな違いは生じないと思ってるし、作品のイメージ自体を最初から練り直すぐらいだったら、全く別の新しい作品を描いた方が良いと思っている。僕が過去作品に一切手を付けないのはそれが理由である。

 

今取り掛かっている作品も、初期段階で練り上げたイメージに基づいて、キャラのデザインやストーリー、コマ割りを考えているので、その基本路線を大きく変えるということができず、もし仮に、「もっとこうした方が良いかも」とアイデアが思い浮かんだとしても、それが作品のイメージや基本路線からズレているなら、もちろん採用することは出来ないし、「それは次の作品に取っておこう」という話になる。

 

自分の実力なんてまだまだだし、毎回が練習だ。出来なかったことをひとつずつ出来るようになっていくしかない。そうやって、作品を描くたびに「自分史上最高」を更新していこう。

 

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あと、漫画界隈では、「昔の自分の方が上手かった」という人も一定数いるんだけど、これに関しては、その人が一切練習していないとか、絵柄を途中から大幅に変えたとか、何か特別な理由がない限り、100%勘違いだと思っている。

 

僕も過去の作品を見返したときに、「よくこんな絵が描けたな」と部分的に驚くことはあるし、「昔の自分も上手いじゃん」と思わないわけでもない。

 

しかし、総じて言えば、昔の自分の方が圧倒的に下手である。

 

顔や身体のバランスもむちゃくちゃだし、線も汚いし、動きや立体感もないし、コマ割りも単調だし、デザインも平凡だし、全然描き込みも出来ていないし、何もかもが未熟だなーと感じる。

 

例えば、2年前に初めて新人賞に応募した時の作品があって、「もしかすると掲載デビューまでいけるんじゃないか」と担当者からも言われており、僕自身もめちゃくちゃ自信があったんだけど、結果的にこの作品は掲載無しの努力賞止まりだった。

正直に言うと、その時は何がダメだったのか全く分からなかった。でも、今見返してみたらとんでもない。めちゃくちゃ下手で、この作品が掲載されるなんてあり得ないと思ってしまった。

 

「おっ」と驚く絵が無いわけじゃないが、線の強弱が全くないうえに、陰影や立体感を出すための描き込みもほとんど無いので、なんだかのっぺりとした平面的な絵に見えてしまうし、線が弱いので、肝心のバトルシーンに全然迫力がない。少なくともバトル漫画の絵柄じゃないよなーと思ってしまった。

また、デッサン感覚もまだまだ未熟であり、顔や身体のバランスの間違いにも全然気づけていない。一番見せ場となるクライマックスシーンの横顔なんて、目のバランスがむちゃくちゃ過ぎて笑ってしまうレベルだった。その時の僕はこれで良いと思っていたらしい。キャラのデザインもなんだか古臭い印象を受けてしまう。

 

だけど、2年経った今の僕は、この作品を下手だと認識できるし、過去に描いたどの作品よりも、今自分が描いている作品の方が上手いと思っており、そう思えるということは、成長していることに他ならない。たぶん、1年後や2年後の僕も、今描いている作品を見返して、「うわー下手だなー」と言ってると思う。

 

でも、着実に成長はしている。そうやって一歩ずつ進んでいって、いつか自分の理想に到達すればいい。今の僕はそう思っている。