箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

低気圧の影響と編集者との付き合い方について

信じられないくらい寒い。僕は押入れに仕舞おうと思っていた灯油ファンヒーターのスイッチを押した。これが今春最後のストーブだと信じたい。

 

ちなみに、明日はもっと気温が低く、しかも雨だという。明後日以降は天気が回復し、気温も上がるみたいだが、これだけ寒暖差が激しいと、体調を維持するのが大変だ。

先日のVCR RUSTにて、配信者のワイワイさんが「何でも低気圧のせいにするな」と名言(?)を残していたが、僕は気圧が下がると、冗談抜きで体調が悪くなる体質(頭痛や喘息の症状が出てくる)であり、「たまには低気圧のせいにさせてくれ」と言いたくなってしまう。低気圧が憎い。うがー。

 

さて、ところかわって原稿作業について。

 

僕は原稿を描き上げると、必ず充電期間という名の反省期間を設けることにしている。なので、今回も4月30日に無事に脱稿できたら、どういうところが良かったか、もしくはダメだったかを整理し、「次はこうしよう」とプランニングをして、次の作品に向けてプロットを練ったり、イメージを膨らませるタームに移行することになると思う。

 

ただし、希望的観測として、なにかの賞を受賞するとか、それがきっかけで掲載デビューさせてもらえるとか、担当者がつくことになって、次に向けて企画を立ち上げるとか、そういう可能性もゼロなわけではない。そうなったらどうしよう・・・と、ドギマギしている気持ち悪い自分もいる。

 

*****

 

実際、僕にはかつて某少年雑誌の担当者がいた。仮にこの編集者を「Tさん」と呼ぶことにする。

 

僕が初めてWEB持ち込みをした時に、僕の作品を「面白い」と言ってくれたのもTさんだった。すぐに「担当者になりたい」という連絡をくださり、そのあと、Tさんと話し合って、新人賞に応募しようという段取りになった。

新人賞に応募するにあたって、僕が企画書を送ると、「良いアイデアですね。その企画でネームを描いてみて下さい」と一発で快諾。ネームを描いて送ると、その日のうちに電話が掛かってきて、「凄いネームです!今年読んだ新人のネームの中で一番良かったですよ!」という嬉しい言葉を言って頂けた。

 

そのため、僕は、Tさんに対してめちゃくちゃ感謝しており、「ウマが合う人」と一方的に認識していた。

(ちなみに、新人賞については、一番下の努力賞みたいなやつを受賞させてもらった)

 

しかし、その後、読み切り掲載を目指すことになってから雲行きが怪しくなる。まったく企画が通らないし、ネームを描いても反応がないのだ。

自分の中ではかなり自信のあるネームを描いてるつもりなんだけど、「うーん・・・」みたいな微妙なリアクションしか返ってこない。Tさんが「ここのシーンはもっとこうした方が良いのでは?」と指摘しても、ことごとく僕の好みとは真逆であり、「僕はそうしたくないです」と返事することが増えていった。

 

結局、その後、連絡が徐々に途絶えていって、Tさんとの関係性は、いわゆる「自然消滅状態」となっている。もちろん、今でも連絡を取ろうと思えば取れるし、「こういう企画を考えてみたんです。お時間のある時にネームを読んでもらえませんか?」と言えば、そのネームに目をとおして、何かしらの返事はくれると思う。けど、現時点でそんな気は全く起こらない。

(断っておくと、Tさんに対する感謝は今も変わっていない)

 

当たり前といえば、当たり前なんだけど、自分の価値観や好みが100%合致している人なんて、この世にはいない。Tさんも例外ではなく、たまたまTさんが最初に目にした僕の作品が、部分的に自分の好みと合致していただけだ。

しかも、Tさんはあくまでも会社員であり、会社(編集部)の意向や方針に従わざるを得ず、自分の好みを押し殺して、読者の好みに合う作品を描くように促していた可能性もある。

 

僕はTさんとのコミュニケーションを通して、商業雑誌の編集者とどう接したら良いのか、よく分からなくなっている。単純にビジネスのことだけを考えるなら、編集者の言うことに「うんうん」と頷き、相手の意見を全肯定するイエスマンになれば良いんだけど、もちろんそんなことをすれば、後に待っているのはただの「苦行」である。

しかし、かと言って、我を通せば、反発や衝突が生まれ、「扱いづらい漫画家」という烙印を押されて、仕事がやりづらくなる。このバランスが非常に難しい。

 

まあ、そんなことを今から考えても仕方ないので、このぐらいにしておくが、創作のような答えのないものを一緒にやろうとしている時点で、かなりの無理ゲーであり、それこそ音楽性の違いでグループが解散したり、メンバーが脱退するのも当たり前のことなのかもしれない。