箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

関西最後の鉄砦が崩れ去る日。

神戸製鋼_不祥事

 神戸製鋼の一連の不祥事について、国内のみならず、国外にも余波が広がっており、DoJ(アメリカ司法省)が、データ改ざん等を行っていた製品の関連書類を提出するよう要求するなど、経営陣は、リコールも視野に入れた断腸の舵取りを迫られています。

 また、時価総額の約40%を喪失するなど、株主に与えた損失も多大です。アメリカでは、損失を被った投資家たちによるクラスアクションの動きもありそうな気配。3期ぶりの黒字が遠ざかり、ただでさえ、競争が激しい鉄鋼業界において、企業再編以外に生き残る道はないとさえ思えます。急成長中の中国企業は「自滅してくれてありがとう」って感じでしょうか。

 

神戸製鋼は関西が誇る名門企業

 神戸製鋼所といえば、もちろん全国的に有名な企業ですが、鉄鋼業界では、住友金属工業と並んで、関西では知らぬ者はいない超名門企業です。「神戸製鋼に就職決まった」と言えば、「おお、すごいやん!今度飯おごってな!」と100人中100人が答えます。

 

 住金は新日鐵に吸収合併されたため、神戸製鋼は文字通り関西最後の鉄砦。だからこそ、関西出身者としては、今回の不祥事は残念でなりません。もし、業界最大手の新日鐵住金に吸収合併されることにでもなれば、神戸製鋼ラグビー部(コベルコスティーラーズ)のファンの方も悲しむことでしょう。。

 

信頼のブランドは砂上の楼閣だったのか。

 神戸製鋼は、間違いなく安心・安全・高品質の日本ブランドの価値向上に寄与した1社です。しかし、最近、日産自動車で無資格従業員が完成車の検査を行っていたことが発覚するなど、世界的にも「日本ブランドの信頼」は失墜しつつあります。しかも、神戸製鋼の不正は、ここ数年の話ではなく、数十年も前から行われていたという話も。

 

 「このような大企業による不祥事は氷山の一角」。そのような声も聞こえる中、もし、このようなデータ改ざんや品質偽装が、他の大企業においても日常茶飯事に行われていたのだとすれば、「安心・安全・高品質」の日本製品のブランドとは、一体何だったのでしょうか。目先の利潤追求しか見えていない経営者たちが見せた蜃気楼のようなもの?

 

繰り返される企業不祥事の中でなぜ自浄作用は機能しない?

 今回の一件が露見した契機は、ほぼ間違いなくデータ不正を問題視した従業員による内部告発かと思います。ここ数年でコンプライアンスの意識が高まり、従来であれば「このぐらいなら別にいいだろう」と見過ごされてきた部分が、許されない世の中になってきたということが如実に現れています。

 

 問題は、過去に何度も不祥事を起こしながら、全く機能しない内部統制システム。

 たぶん、神戸製鋼は、コンプライアンスにも力を入れてきたと思いますよ。あれだけの大企業ですから、コンプライアンスを管轄する部署が定期的に研修もやっていたと思います。何か問題があれば、取締役会にも報告されていたはずです。それでも、不正を防げなかったのは、「コンプライアンスを知らない旧時代の英雄たちが作った企業風土」が原因としか思えません。1ヶ月以内に報告書がまとめられるそうなので、その報告書を読んで、また感想を書いてみたいと思います。