箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

持ち込み作品の講評を噛み砕いてみる。

前回持ち込みをした作品の講評が返ってきて、色んな感情が複雑に入り混じっているうちに、このほとばしる熱き感情を書き殴っておこうかなと思う。

 

まあ、一言で言うなら、「絵はよく描けているけど、キャラの目的に感情移入できない」という総評だった。もっと細かく言うなら、色んな意見があったんだけど、総じて言うなら、その感想に尽きると思う。毎回同じだ。

 

うーむ。めちゃくちゃ厳しいねぇ。今回は、今までで一番キャラの魅力を掘り下げて、キャラ主導で物語を動かしてきたつもりなんだけど、それでも読者の興味の引き方が足りないと苦言を呈された。何回も何回もネームを修正したにもかかわらず・・・だ。

「もっとこうした方が良い」という改善意見も頂戴していて、その内容はごもっともなんだけど、ぶっちゃけ50ページ程度の読み切り漫画で、その改善案を活かそうと思ったら、どれもこれも全部同じような内容にならないかい?・・・と捻くれている自分もいる。だからこそ、僕みたいな漫画があっても良いんじゃないかと挑戦したわけなんだけどさ。

 

ただ、ポジ要素として、「絵が上手い」「画力が高い」と言われたのは素直に嬉しかったし、去年からめちゃくちゃ練習してきて良かったなと感じる部分だった。そこは成長できたと思う。

 

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あとは、やっぱりキャラの見せ方か。そこになっちゃうよね。うん。

 

僕はたぶんここが一番よく分かってない部分であり、「その言葉を言わないと、この感情が伝わらない」というのが本当に分かっていない。「これを事前に伝えておかないと、キャラのこの部分がちゃんと見えてこない」というのも分からない。世間一般人と感覚がズレて生きてきた弊害というか、逆に「なんでこの描写だけで分からんの?」と思ってしまうし、セリフで補完しまくっている作品を読むと、「説明しなくてもそれは分かるよ」と突っ込んでしまう。

 

だから、何となく、他の人と共感しているポイントも違うし、疑問に感じるポイントも違うと感じる。理解出来ている部分と、理解出来ていない部分も違う。他の人が「よく分からん」と疑問に感じている部分について、何とも思っていなかったり、逆に、他の人が「共感できる」と言ってる部分について、納得できなかったり、そもそもピンと来ていなかったりする。

 

さらに言うと、もし仮に、編集部・審査員全員が「キャラの感情や目的がよく分からなかった」「面白くなかった」と酷評したのであれば、僕としても諦めがつく。まあ、誰にも刺さらない出来栄えだったんだろうと。

だけど、酷評している人がいる一方で、「良かった」「面白かった」と評価してくれている人もいるという事実が僕を混乱に陥れる。さあ、果たしてどちらの意見に耳を傾けるべきなのだろうか。いや、というか、結局「面白さの基準なんて人それぞれ違うよね」って話で終わりじゃなかろうか。

 

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僕の作品は、どうやら賛否両論が分かれてしまうらしい。

 

初めて新人賞に応募した時も、僕の担当編集者は絶賛してくれたが、審査員(某漫画原作者)からは酷評だった。今回も、編集部員からの印象は別に悪くなかったみたいだが、審査員(某漫画家)からはまたしても酷評だった。毎回このようにして、意見が真っ二つに割れて、しかも同業者からの評価が悪い。

何と言うか、漫画のセオリーを重じんて、ヒット作を生み出してきたクリエイター目線で言うと、僕の作品は「本来遵守しなければならないセオリーを無視した作品」という風に映ってしまい、引いては「自分たちの作品を否定している」という風に感じてしまうんじゃないかと想像している。勝手な被害妄想かもしれないが。

 

少し前に、商業誌に順応できる可能性を否定したくないから、一度は思い切りそっちの方向に振り切ったものを描こうと考えていたこともあったが、若干少し疲れを感じている。僕の提示した可能性が悉く否定されて、結局自分には打算的なものしか残らない気がしているからだ。

世の中には、セオリーを無視したものを描いて、それが編集部・漫画家・読者から絶賛されているものも一部存在する。そういう人が素直に羨ましいなと思うと同時に、自分にはそういう才能は無いんだろうなと感じる。「その感性良いね!」と言われることもなく、キャラの造形以外で、キャラのことを褒められたこともない。ただ「絵が上手いね」と言われるだけだ(そんなの練習すれば誰でも上手くなる)。

 

まあ、世の中の大半の漫画家が、商業誌ではなく、Web媒体とか、SNSとか、同人活動をするのがよく分かる。やっぱしんどいもん。大手コンビニチェーンにFC加盟して、FC本部にコンビニ経営の大部分を牛耳られているような感じ。赤字を出しても自己責任。日々売上の数字に追われて疲労困憊。お客からもギャンギャン文句言われて、ロイヤリティもごっそり持ってかれる。そりゃ、田舎でひっそりと個人経営のお店をやりたくなるって。そっちの方が100%楽しいに決まってる。

 

そういう感じで、メンタルとモチベは激下がり状態。こっからどうやって立て直すか。うーむ。