とある法務部員の備忘録。

某IT企業に務めるお気楽法務部員が、法律、ゲーム、生活、その他諸々を書き綴っております。

MENU

企業法務に就職してからも使える基本書

法務として就職してからも使える基本書紹介

f:id:pochi-kohchou:20170306191442j:plain

 どうも~(^ω^)

 今回は、司法試験の受験生時代に使用していた基本書のうち、法務として就職してからも「使える」と思ったものを少し紹介したいと思います(あくまでも主観です)。

 

 もし、ここで紹介した基本書をご使用になられている方は、企業法務に就いてからも使えるのでご安心ください(?)

 

① プラクティス民法 債権総論(潮見佳男)

プラクティス民法 債権総論〔第4版〕 (プラクティスシリーズ)

プラクティス民法 債権総論〔第4版〕 (プラクティスシリーズ)

 

  債権法の大家・潮見先生による著書。受験生なら誰でも知っている本だと思います。

 法務担当者であれば、「民法(債権関係)改正法案の概要」などの改正法案関連の本にも目を通していると思いますが、何といっても、潮見先生は、司法試験考査委員を務められたほか、法制審議会民法(債権関係)部会の幹事。債権法については、日本法学界のトップランナーです。

 その潮見先生が執筆された本著は、契約書審査のありとあらゆる場面で役に立ちます(潮見先生がおっしゃっていることだから…という安心感もある)。とりあえず、法務担当者のデスクに一冊!というぐらいの位置づけだと思います。

 

民法講義Ⅳ-1 契約(山本敬三)

民法講義〈4‐1〉契約

民法講義〈4‐1〉契約

 

  債権各論(契約法)については、前述潮見先生のいわゆるイエロー本も秀逸ですが、要件事実論を交えた債権各論の著書としては、本著は「最強」です。じっくり読むというより、契約類型ごとに要件事実を確認したいときに、辞書代わりに使うという位置づけでしょう(おそらく、大半の受験生もそういう位置づけで使用していると思います)。

 ただし、条文や判例の趣旨といった理論的な部分を深く突っ込んで勉強したいのであれば、別の本の方がいいと思います。

 

③ 完全講義 民事裁判実務の基礎<上巻> (大島眞一)

完全講義 民事裁判実務の基礎〈上巻〉

完全講義 民事裁判実務の基礎〈上巻〉

 

 要件事実論の入門書といえば、紛争類型別や新問研も有名ですが、自分はこちらの大島先生の本が好きでした。知る人ぞ知る名著です。何といっても分かりやすい。法務担当者として、要件事実論を勉強したいという方は、ぜひこちらの著書をご一読されることをオススメします。

 また、(あくまでも自分は)要件事実論を忘れがちなので、デスクに置いておくと結構便利です。

 

④ リーガルクエスト会社法伊藤靖史ほか)

会社法 第3版 (LEGAL QUEST)

会社法 第3版 (LEGAL QUEST)

 

 こちらも受験生にはおなじみのリークエ会社法

 「辞書代わりとしてデスクに置くなら江頭先生の本が良いのでは?」という意見もあると思いますし、たぶんそれ正解です。

 ただ、個人的に会社法絡みの問題は、理論的に深掘りするというより、簡潔な説明が欲しいと思う場面が多く、リークエが合ってますし、こちらで十分です。

 

著作権法(岡村久道)

著作権法

著作権法

 

 自分は知財法選択でしたので、著作権法の基本書を買う必要があったのですが、こちらの岡村先生の本を使っていました。「著作権法なら、中山先生の方が有名なのでは?」という意見も分かりますし、実際使ってました。しかも、岡村先生といえば、情報セキュリティや個人情報保護法が専門のイメージ(但し、岡村先生は、DeNAのキュレーション事業問題の第三者委員会の構成委員を務められています)。

 ただ、ぜひ一度読んで欲しいのですが、図表を交えながら、判例や通説の見解に触れつつ、自説を展開されているため、非常に「読みやすい」です。知財を扱う機会が多い方でしたら、複数の基本書に目を通す必要があるかもしれませんが、とりあえず、自分は岡村先生の著書に一票。

 

 

 とりあえず今回はこんなもんでしょうか。

 受験生時代に使用していた基本書でも未だに現役で活躍している本が多く、文字通り「一生のお付き合い」になります。受験生の皆さまも、是非そういう気持ちを持って、基本書を大事にしてください!(*´ω`*)

 

 

司法試験に失敗した後のキャリア論(3) -再挑戦 or 就職のどちら?-

はじめに

 すみません。同タイトルの記事を以前アップしたんですが、内容が気に入らなかったので、記事を削除したうえで、再度あげることにしました。

 

 以前、「司法試験に失敗した後のキャリア論」シリーズとして、以下のような記事を書きました。


 これらの記事は、いずれも司法試験に落ちたあと、就職することを前提とした精神論・キャリア論であり、「司法試験に再挑戦すべきかどうか」という点に主眼を置いたものではありませんでした。

 んで、最近アクセス分析をしていますと、当ブログにお越しになられる方の中には、「司法試験 浪人」「司法試験 再挑戦」といったワードを検索されている方が一定数いらっしゃることが分かり、「司法試験に再挑戦すべきかどうか」という点を検討されている方が多いのではないかと勝手に想像しました。

 

 私も司法浪人をしていたことがあり、「司法浪人を続けようか、それとも就職しようか」と逡巡した経験もあります。自分なりに考えて、司法試験の受験をストップし、就職の道を選んだわけなんですが、個人的には、「司法試験に再挑戦すべき人」と「そうでない人」がおり、前者に属する方は、司法試験に再挑戦し、是が非でも合格を勝ち取って欲しいと思っています。

 しかし、そうではなく、後者に属する方のうち、社会人経験がない or 乏しい方につきましては、いったん司法試験から離れ、就職するなりして、自らの知見や社会人としてのスキルを磨いた方がいいと思っています。

 

司法試験に再挑戦すべき人とは

f:id:pochi-kohchou:20160926160108j:plain

 以下に記すことは、あくまでも個人的な意見です。

 私が思うに、司法試験に再挑戦すべき人とは、①自分が不合格となった原因を的確に分析できている、②合格のために必要となる知識、ノウハウ、テクニック等を、合格者の体験談などを通して知得している、③①・②を踏まえて、中長期的な勉強計画を立てている(立てられる)、④当該計画を1年間にわたって遂行しうる継続性と高いモチベーションを持っている、⑤司法浪人を継続するにあたって障害となりうるような経済的・家庭的事情がない人です。

 

 私の場合は、自分がやると決めた勉強を貫いたものの、合格するために自分に足りないものがわからず(①)、もう一度司法浪人を続けるにあたって、具体的に何を勉強すべきか分かりませんでした(②・③)。また仮に、中長期的な計画を立てたところで、それを1年間継続するモチベーションも自信もなく(④)、経済的にも困窮していたために、司法浪人を続けることが困難であると判断し(⑤)、司法試験の受験をストップして就職の道を選びました。

 上記基準に当てはめて考えた場合、まさに私は「司法試験に再挑戦すべきでない人」だったと思います。

 

 このうち、不合格となった原因の分析や情報収集も重要だと思いますが、特に重要になるのは、④かなと思います。

 モチベーションの低い人は、相対的に勉強量が少なく、集中力も低い傾向にあり、いたずらに合格までの期間が長期化するおそれがあります。「勉強年数を重ねていけば、そのうち合格水準に達するだろう」と思っているのであれば、大きな間違いです。

 大学時代に司法試験に最短合格するような超人もいますが、そのような存在は、必ずしも勉強年数と合格が関係していないことの証左といえるのではないでしょうか。

 

 最終的に、司法試験に再挑戦するかどうかは、受験生の皆さまが決めることであり、他人がとやかく言うことではありませんが、司法試験に再挑戦すべきでない人について、いったん司法試験から離れ、就職するなりして、自らの知見を広げ、社会人としてのスキルを磨いた方がいいと思っている理由を、以下述べたいと思います。

 

自らの知見を広げ、社会人スキルを磨くべき理由

 まずですね。司法試験を受験したいと思うのであれば、いつでも出来るんですよ。ロースクール修了後5年間という縛りがあり、それを過ぎてしまうと、予備試験に合格する必要があるものの、司法試験への道が完全に閉ざされてしまうわけではありません。

 社会人になって、「やはり法曹になりたい」と思うのであれば、それから再受験しても決して遅くないということを強調したいと思います。実際、失権したあと、社会人を続けながらコツコツと勉強を続け、予備試験・司法試験に合格したという人もいます。

 

 また、現在弁護士業界はレッドオーシャンであり、司法修習生の中には、法律事務所にイソ弁として入所せず、企業の法務部に就職する人も増えていると聞きました。

 個人的には、せっかく弁護士資格を取得したのに、企業法務部に就職するのは勿体無いと思っていますが(別に弁護士資格がなくてもできるため)、もしそういった進路選択が今後増加するのであれば、「いったん社会に出て、弁護士資格の必要性や有用性を確認してから、司法試験を目指してもいいんじゃない?」と思います。

 

 もうひとつは、社会に出て、法律とは関係のない職業に就いてみた結果、それが自分にとって天職という可能性もあるということです。司法浪人を続ける限り、そのような天職を見つけることはできず、いたずらに年齢を重ねれば、自分の可能性を狭めることにもなりかねません。

 

 そして、仮に将来において、司法試験に再挑戦し、見事合格した場合、社会に出て培ったきた知見やスキルは、全て活かすことができます。きっと、法曹としての仕事を普通の人以上に楽しいと思うはずですよ(自分はその立場にないですが、想像しただけでもワクワクします)。

 

まとめ

 以上をまとめますと、以下のとおりです。

 

  • 司法試験に再挑戦すべき人とそうでない人がおり、そうでないなら社会に出るべき。
  • 司法試験を再受験したいならいつでもできる。そんなに焦らなくてもまずは社会に出て知見を広げてもいいんじゃない?
  • 社会に出て培った知見・スキルは、将来法曹となったときに全部活かせる。仕事の楽しさも増えるよ。

 

 って、ところでしょうか。

 結局、今回の第3回目の記事も、就職をゴリ押しする内容となってしまいましたが(笑)、もちろん、司法試験を挑戦している皆さんのことを心より応援しています!

 

コンプラ研修会の振り返り(続き)

 

 前回からの続き(補足)です。

 今回、コンプラ研修会をやってみて、自分で気づいた点がほかにもあったので、追記したいと思います。

 

 今回強く思ったのは、「コンプライアンスの正しい知識を身につけてもらう」というような一方的な視点をもつのではなく、「これを機にコンプライアンスの問題を考えてもらう」という視点を持つことが重要なんじゃないかという点。

 短時間の研修会で出来ることは限られていますし、一度の研修会でコンプラ問題を全て理解してもらうのは無理な注文です。

 そうではなく、「日常業務にコンプラ意識をほんの少しでもいいから持ち帰ってもらう」「毛の先程度でもいいからコンプラ問題を考えてもらう」という視点から、資料やスライド、説明を組み立てる。コンプラ担当者が一方的に説明する部分は最小限度にとどめ、議論や検討の時間を増やすといった工夫が必要だと思います。

 

 あと、細かい法律論はしない。絶対にしない。

 例えば、パワハラにおける「業務の適正な範囲」という文言解釈について、法的な議論を掘り下げていけばいくらでもできる部分ですが、文言解釈に固執するのではなく、具体的な事例に即して、「どちらとも取れる微妙なラインがある」という前提を示す。

(実際、当該範囲を明確に定義付けすることは困難であり、判例の積み重ねの中で、判断を分けた分水嶺や限界点を探ることに実務的な意義があります。…が、そんな法的議論を研修会において侃々諤々と行うことに意味はないと思います)

 

 そのうえで、「答えがないからこそ、常日頃からこういった問題を意識して取り組む必要がある」と論理を展開する。

 要するに、「業務の適正な範囲」という文言解釈をめぐる数多の裁判例を理解してもらうのではなく、「裁判でも判断が分かれるような微妙な問題を含んでおり、日常業務においても常に意識しておかなければならない」という点を理解してもらう。こちらは、あくまでも問題提起だけをして、その問題を考える機会を付与する。

 

 こんなところでしょうか。

 昔、コンプライアンス研修会を実施した際、「大学の講義を受けているみたいで難しかった」「あまり理解できなかった」というご感想・ご意見を寄せて頂いたことがあります。

 正直そのときは「負けた」と思いました。完全に独りよがりの内容になっており、自分が一人で理解して、自己満足に浸っているだけだったからです。そのときから、「分かりやすかった」「理解できた」と言って頂けるような内容を目指そうと思ってやってきましたが、「今後自分でも考えてみようと思う」と言って頂けるような内容を目指そうと思います。