箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

ペン入れはオマケって話と今後の練習方針について。

少し前に、さいとうなおき先生が Youtube動画で「絵の出来栄えは下書きで決まる。最後のペン入れはオマケに過ぎない」と仰っていて、その時は「なるほど」と思ったものの、心のどこかで「本当にそうなのか?」という疑いの心も若干あった。

 

だけど、最近もう一度模写に取り組むようになって、これはマジでそうだなと思う。

当たり前だけど、プロのイラストレーター・漫画家の絵はデッサン的な狂いもほぼないし、デザインも研ぎ澄まされているし、立体感も凄いし、細部の描き込みもエゲつない。つまり、さいとうなおき理論によれば、完璧な下書きが用意されているということになる。そして、この下書きに対して、鉛筆で清書しようが、Gペンで清書しようが、ほんのちょっと印象が変わるというだけで、それが「良い絵」であることには変わりない。やっぱりペン入れはどこまでいってもオマケなのだ。

 

あと、今までの僕の感覚的に、最後のペン入れ作業は「輪郭線をなぞる」という感覚がどこかにあって。カラーイラストだったらその感覚は必ずしも間違いじゃないんだけど、漫画絵の場合は、輪郭線も情報の一つに過ぎないんだなーということが徐々に分かってきた。プロの漫画家は当たり前だけど、輪郭線にさらに色々な情報を足していく。陰影とか、服のシワ・質感とか、スピード線とか。もっと言うなら、輪郭線にも様々な情報をもたせていて、弱く描いてみたり、思い切り太く描いてみたり、色々な工夫が施されている。要するに、絵が持っている情報量が段違いに多い。

 

今日僕が思ったのはそんな感じかなー。なんというか、情報量を整合性を損なうことなく、どうやって増やしていくかということが問われている気がする。うん。

 

あと、今後の練習メニューとしては、ひたすら模写ばっかりやっていくわけにもいかないので、さいとうなおき流の3ヶ月上達法にあやかっていこうと思う。もっとも、これまでの経験から、何となく自分の課題は見つかっていて、その課題と対策をざっくりと書いてみる。

 

1. ポーズや表情が単調で魅力的じゃない。

まずこれ。ポーズだけではなく構図やカメラアングルも練り切れていない。

たぶん、僕の頭の中にあるポーズや表情のイメージって、冨樫先生の絵がベースにあるんじゃないかと感じていて。何かポーズを考えろと言われたら、ソシャゲの立ち絵みたいなカッコいいポーズがパッと頭に思い浮かぶ。今だったら芥見先生の呪術廻戦がイメージとして近いかな。そういったところから得られるインスピレーションを絵に昇華出来ていないというか。自分が描ける範囲の絵を描いてしまっているというか。。

その解決策は次項に譲りたい。

 

2. テーマがあやふやで伝わらない。

その問題の原因は「テーマが定まっていないこと」ではないかと僕は考えていて。

例えば、少し前に描いていた漫画はコメディっぽいものだったんだけど、読む人に笑って欲しいのか、ほっこり優しい気持ちになって欲しいのか、それともキャラを可愛いと思って欲しいのか、いまいち自分でも定まっていなかった。色んなものを詰め込んでいるせいで、テーマがあちこちに散らかってしまい、結果として共感しづらい作品になっていたと思う。

なので、絵を描く前にちゃんとテーマを絞り、そのテーマに沿った絵を描くことを徹底したい。テーマが決まらなければ、ポーズや構図も決まらないしね。

 

3. 絵に立体感がなくのっぺりとした印象を受ける。

次がこれ。僕はキャラを真正面から描いたような構図ばかり描きがちであり、そのうえキャラ自体も立体情報が少ないせいでのっぺりとした平面的な絵に見えてしまっていた。ちゃんと構図やポーズを考えないとダメだなーと痛感している。

プロの先生は、絵が立体的に見える構図、ポーズ、デザインをちゃんと意図的に選んでいると思うので、自分も真似していきたい。

 

4. 資料ありきで描いてしまうため絵が硬くなってしまう。

最近、僕が感じている課題がこれ。僕はどうしても正確に描きたいという気持ちが強くなってしまって、最初から資料を見て描こうとするクセがある。資料を見るのは悪いことではないんだけど、最初から資料を見ているせいで、絵に自由度がなく硬い印象に繋がってしまっている気がする。

 

ちなみに最近読んでハッとしたのがこちらの記事。

md.midori-japan.co.jp

 

漫画家のウルバノヴィチ香苗さんは、次のように述べて自分の頭の中にあるイメージを優先されているという。これは是非とも参考にしたい。

私にとってはラフが最も重要です。まずは何も見ずに、頭の中と相談をしながらイメージや構図を決めていきます。何かを見ながらだとディテールに偏り、余計な部分にこだわってしまい、どうしても硬くなるので、柔らかな頭の状態からポージングや動き、表情などをもっていきたいんです。

 

5. 絵の情報量が少なく、細かいところが雑になっている。

要約すると、面倒くさがりの性格が出てしまっているなー…ということ。

面倒臭いから色んなことを省略してしまうし、本当はこだわらないといけない細部についても手を抜いてしまうので、全体としてスカスカで雑な絵になってしまう。また、最近思ったのは、手を抜いたところは確実に目立つということ。例えば、靴のデザインとか、装飾品の描き込みとか、そういうところを面倒臭いからと言って適当に描くと、本当に雑に見える。絵全体で見るとほんの小さな箇所なのに、手を抜いたことが如実に出てしまうから不思議だ。

前回も言ったけど、「手を抜くな」「面倒臭がるな」「怠けるな」と自分に言い聞かせるしかない。1本1本の線を丁寧に。

 

とりあえず、こんなところだろうか。これらの課題をひとつひとつクリアにしていきたいな。頑張ろう。