箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

堀越耕平先生の絵から学んだこと

もう一度初心に立ち返って、自分の絵をイチから鍛え直そうと決意したので、このブログでは絵の練習記録をつけていこうと思う。練習記録自体は不定期更新になると思うけど、自分の思考を整理するためになるべく継続していきたい。

 

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今日は、現在模写に取り組んでいる堀越耕平先生の絵について。

 

 

堀越先生は「緻密で綺麗な線」を描く一方で、少年バトル漫画らしい「大胆で迫力のある線」も表現することができ、その両方を奇跡的なバランスで両立させることのできる天才漫画家である。絵に関しては、歴代ジャンプ作家陣の中でもトップクラスの画力だと思う。

 

特に僕が凄いと思っているのは、等身バランスがデフォルメであるにもかかわらず、「カッコいい」という印象を与える点であり、これは本当に画力のある人にしか出来ない芸当だと思う(普通は5〜6等身ぐらいのバランスで描こうとすると「可愛い」という印象の絵になる)。真似したくても真似できない先生の筆頭じゃないだろうか。

 

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さてさて、こっから先は練習して思ったことなど。

 

僕がふと思ったのは、堀越先生の絵には主線という概念があまり無いな―という気がしていて。いや、もちろん主線はあるんだけど、主線を描いて、ベタやトーンを塗って、ちょこちょこっと描き込みをしたらそれで終わりってわけではなく、主線も含めて全てが「描き込み」という位置づけになっているような感じがする。

そう感じるのは、ベタとカケアミの割合が多いこともたぶん関係している。特にカケアミ…かな。堀越先生はカケアミを使って濃淡・グラデーションを表現することが多いので、余計に主線との領域差が曖昧になっているような印象を受ける。全てが「描き込み」と感じるのもそれが理由かもしれない。

 

そして、適当に描いている線がひとつもない。これは本当に凄い。

これだけ描き込みの量が多いと、普通はちょっと適当に描いてしまう箇所があったりするもんだけど、細部に至るまで一切手を抜かず、スピード線なども全て定規を使って描いていらっしゃるのが分かる。僕はクリスタで描く時に、定規を設定するのが面倒くさくなって、ついついフリーハンドでシャッシャッと描いちゃうんだけど、それが雑な印象に繋がってしまっているんだろうなと思う。わざとラフな線を描く場合もあるけどね。

 

あと、これは画力が高い先生全員に共通することとして、やっぱり立体的に表現するのがべらぼうに上手い。単に立体感覚に優れているというだけでなくて、キャラが立体的に見える構図を熟知しているというか、どうやったら立体を感じられる絵になるかがよく分かっていらっしゃる。

よー清水さんも、ご自身の著書の中で「立体的に表現すること」を絵が上手い人の条件として挙げられており、そういう立体感覚を持っているかどうかがプロとアマチュアの決定的な差なんだろうなーと思う。

 

何ていうか、立体的なキャラのイメージが頭の中にあって、それを頭の中でグルグルと動かしているんじゃないだろうか。そういうイメージを頭の中に作り上げるまで、ひたすら描き続けたんだろうな。その努力量が分かるぐらいに堀越先生の絵は凄い。

 

というわけで、今後も堀越先生の絵の模写を継続していこう。