箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

プロットを完成させるまでの流れとネームで意識すること。

昨年の11月頃から練ってきた作品のイメージをブラッシュアップしつつ、なんとかプロットが完成した。プロットというか、箱書きみたいなものかな。あとは、この箱の中身(具体的なシーン)を考える作業をネームと並行してやっていこうと思う。

 

ここまでプロットを練ってきた感想としては、キャラを複雑に考えすぎても上手く行かないので、見せたいポイントを1つか2つぐらいに絞り、そのポイントを誇張することで、ストーリーも分かりやすくなったんじゃないかなと思う。要するに、キャラのどの部分を見せたいかが明確になっていれば、自ずとストーリーラインの輪郭もはっきりして迷うことも少ないように感じる。

最初は、キャラの履歴書を作り込もうと思っていたけど、履歴書を作り込みすぎても、結局漫画として見せられる部分は限られているし、複雑なキャラにすればするほど、ストーリーが分かりづらくなるだけなので、履歴書作りは早々に諦めて、そのキャラの「らしさ」だけを考えるようにした。言い換えるなら、漫画のキャラは容姿だけでなく、性格もデフォルメする必要があるように思う。

 

あと、イメージ作りからスタートしたのも良かったなーと思う。僕はいつも作品を描くときに、テキストベースのプロットを先に作り、そこからイメージを描き起こしていくことが多いんだけど、先にロジック(ストーリー構成の整合性)を優先しているせいか、ビジュアルイメージが伴わず、結果として「ストーリーの意味は分かるんだけど、印象に残らない」という感想に繋がってしまっていた。

だけど、今回はビジュアルイメージからスタートし、印象に残るようなシーン(絵)を先に描き起こして、そこからキャラの設定などを練り、整合性が取れるようにストーリー構成を考えていった。まだネームが出来ていないので何とも言えないけど、自分の中で描きたい絵は既に頭の中にあるので、ストーリーの展開だけを追いかけるような単調な漫画にはならないんじゃないかと思う。

 

さて、次に取り掛かるべきはネームなんだけど、ここが最大の難関というか、僕の技量が一番足りていない部分であり、最も神経を使うパートになる。何回も描き直すつもりだし、今回はじっくりと時間をかけて完成させたい。

 

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事前にインプットした情報に基づき、ネーム作業で留意すべきポイントを自分なりに以下のとおり整理してみたい。

①デッサンに忠実に描く必要はない。イメージを優先する。

資料(モチーフ)はあくまでも補助でしかなく、資料を忠実に描き写すことに意味はない。大切なのは自分の中にあるイメージであり、「読者にこういう風に感じて欲しい」というテーマを具現化することである。「上手い絵」ではなく、「何かを感じる絵」を描く。

②キャラの魅力を伝える。

漫画に必要なのは、そのキャラの魅力を読者に分かりやすく伝えることであり、表情やポーズに「キャラの個性」が滲み出ている必要がある。もし、パッと見たときに何も感じないのであれば、それは「どこにでもいる普通の人」になってしまっているということ。そのキャラの特徴や雰囲気をやや大袈裟に描くぐらいで丁度良い。リアリティも大事だが、「わかりやすさ」や「インパクト」はもっと大事。

③ページ構成は見開き単位で考え、バランスやテンポを意識する。

見開き漫画の鉄則。必ず右ページと左ページを1セットと捉え、見開き全体のバランスを意識しながら描く。見開きの中に「アップショット」「ミドルショット」「ロングショット」をバランスよく配置し、必ず「アップショット」を入れるようにする。一番誇張したいコマは見開き全体の1/4以上の大きさになるようにし、コマの大きさにもメリハリをつける。なお、カメラは遠いところからキャラに寄っていくようなイメージで描くと上手くいきやすい。読者にページをめくらせる仕掛けを作り、最後のページまで導く。

④主人公の感情を描いて、物語を前へ前へと進める。

物語を推進していくエネルギーは主人公の「感情」や「意志」である。主人公の「感情」を動かして、「葛藤」「対立」「相克」を生み出し、主人公の「行動」「周囲の人間との関係性」「置かれている立場・状況」に変化をもたせる。もし何も変化が起きていないのであれば、そのシーンは不要ということ。

⑤読者の予想を裏切る。

常に「驚き」や「目新しさ」を意識する。キャラのリアクションや感情表現、物語の展開がありきたりだと思ったら、読者が驚くような感情表現や展開を練り直す。そのためにも、記号的な表情や動きを避ける。もしそういうイメージが思い浮かんだら、キャラの性格と紐づけつつ、他にもあるんじゃないかと考えてみる。

⑥「立体感」や「演出」を意識する。

僕は気を抜いていると、すぐに「のっぺりとした平面的な絵」になってしまうし、視線誘導を特に考えていない無演出の絵になりがちなので、「立体感」と「演出」という部分は死ぬほど意識する。アイレベルの傾き、三分割法に基づくキャラの配置、コントラスト、パース…等々、読者のイメージや感情に訴えかける構図を。

 

・・・意識すべきことが多いけど、僕はどうしても独り善がりのネームになってしまうので、とにかく今回は「キャラの魅力やテーマが伝わるネーム」を意識したい。さて、頑張っていくぞー。