箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

「イメージを練る」ということとネーム作業との関係性について

少し前に、「イメージを描き出す作業」を優先してやっているという話をしたばかりなんだけど、ラフスケッチも含めて現在26枚ぐらい描き出すところまできた。

 

最近は、iPadのProcreateを使ってラフスケッチを描くようにしていて、Pinterestとか写真資料集を眺めながら、ぼやーっと頭に浮かんできたイメージを描き殴るようにしている(めっちゃ汚いけど)。

 

 

一応、ここでは「構図」や「レイアウト」を意識しており、三分割法に当てはめて人物を配置したりだとか、「Vision」におけるラインやシェイプの考え方に基づき、人物・背景の造形をイジったりだとか、僕なりに考えてラフ案を練っている。

まあ、そんなに難しい話ではなく、画面を三分割してその交点に目立たせたい物を置くとか、落ち着いた雰囲気のシーンなら横のライン、シリアスな雰囲気のシーンなら縦や斜めのラインを多めにするとか(アイレベルを傾けるとかね)、誰でも思いつく範囲のことを淡々とやってる感じだ。

 

現時点では、明暗差(コントラスト)や光の演出まで考えておらず、これからこのイメージ群をどんどんブラッシュアップしていきたい。

 

****

 

んで、最近ちょっと思っていることを書く。

 

僕は、このイメージを100枚描くことが出来たら、その時点で漫画の原型のようなものは既に出来上がっているんじゃないかと思っていて、出来上がったイメージを組み合わせることにより、その次のネームもそれなりに描けるんじゃないかと考えている。

もちろん、ネーム段階で考えなければならないことは他にもあるんだけど、ネームというのは、言わば映像制作で言うところの「編集・演出」であり、既に完成している映像(イメージ)をカットしたり、繋げたりしながら、物語を演出していく。つまり、既にイメージが完成していれば、ネーム段階で「イメージを練る」ということに頭を使う必要はなく、「演出」に100%集中できるので、ネーム作業も捗るのではないか…という算段である。

 

僕はいつもネームを描くときに、「イメージを膨らませること」と、「イメージを組み合わせること」を同時にやるのが難しいと感じていて、この作業工程は分けてやった方が良いと考えていた。そういう意味ではある種の実験といえる。

 

ちなみに、「100枚」という数字に何か根拠があるのかと言われると、特に理由はなく、現在取り組んでいる「本気絵100枚企画」のことを念頭に置いてるだけであり、ぶっちゃけ本人の中で「イメージが固まった」と思うのであれば、50枚でも10枚でも良いと思う。

ただ、強いて言うなら、例えば30ページの作品を描く場合、総コマ数は90〜120コマぐらいであり(1ページ当たり平均3〜4コマ程度で計算)、100枚ぐらい描いておけば、とりあえず30ページぐらいの作品を描くにあたって、大体のイメージは出来上がる計算になる。

 

まあ、というわけで、僕はとりあえず100枚を目指すけども、1枚の絵の中で複数のイメージを描いている場合もあるので、最終的には60〜70枚ぐらいになりそうかな。とりまそんな感じで。

 

****

 

ここまでの作業をやってきて、僕が率直に思うことは、プロの漫画家の凄さだ。

 

僕はヒーヒー言いながらイメージを捻り出し、そのイメージを必死にブラッシュアップして、それでもまだイメージが完成していないのに、プロの漫画家はネーム作業と同時にそれをスラスラとやってしまう。純粋に絵を描いてきた量が違うんだろうなーと思う。既にイメージが完成しているというか。

 

めちゃくちゃペースが遅く、イメージを仕上げる量も少ないので、年末から来年に向けてどんどん描いていこう。