クリスタの魚眼パース定規の使い方がちょっと分かったかもしれないので、個人用の備忘録として色々と書き残しておきやす。
パース定規の使い方というか、魚眼パースの基礎概念みたいなものを整理したうえで、定規の設定方法について考える…みたいな内容かな。分かりづらいかもしれないけど、それでも良ければどうぞ。
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まず、魚眼パースってのは縦と横のパース線がグニャ〜っと湾曲しているものをいう。
縦と横のパース線にはそれぞれ消失点(VP)が2つずつ存在しているので、4点透視図のようなパース構図になっており(上図で言うところのVP①〜④)、ここに奥行きの消失点(VP⑤)を加えたものが魚眼パースと呼ばれるものになる。
なので、魚眼パースのことを「5点透視図法」と呼ぶ人もいる。
さて、これだけなら話は簡単なのだけど、残念ながら魚眼パースの説明はそれで終わらない。他の透視図法には無い特徴が4つあるので、それを順番に説明していく。
まず1つ目。
魚眼パースでは、必ず縦と横の直線(基準線)が出現し、この2つの直線が垂直に交わるという特徴がある。
どのような魚眼パース線であったとしても、必ずこの垂直に交わる直線は出現する。
ちなみに、この基準線はアイレベルと関係ないし、交点は必ずしも消失点ではない。だから余計に訳が分からんのだけど、そういうもんだと納得するしかない。
2つ目。カメラが傾けばアイレベルも湾曲する。
アイレベルがカメラ焦点の中央付近にあるときはほぼ直線なんだけど、俯瞰や煽りの構図になった途端にアイレベルは湾曲する。「なぜ?」と言われてもよく分からない。そういうもんなのだ。
続いて3つ目。奥行き消失点が中心からズレると、パース線が放射状に変化する。
これも訳の分からん特徴のひとつ。奥行き消失点がカメラの焦点中央付近にある時はパース線は直線なのに(1点透視図と同じ)、そこからズレると何故か放射状のパース線に変化する。縦と横のパース線だけでなく、奥行きのパース線もグニャ〜っと湾曲してしまう。
「なぜ?」と聞かれてもよく分からない。ちなみに、同様の説明がリクノ著「アニメーターが教える線画デザインの教科書」にも記載されているので、気になる方はこちらも是非ご参考までに。
そして、最後の4つ目。
奥行き消失点が中心から大きくズレていくと、反対側にも奥行き消失点がもうひとつ出現する。
思わず「ふぁっ!?」と言いたくなるけど、何故かそうなるのだ。
なので、魚眼パースは5点透視図から6点透視図に変化する場合もある。
ちなみに、奥行き消失点は、必ず縦か横の基準線上に出現し、2つ目の奥行き消失点も反対側の基準線上の出現すると覚えておくと便利。
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以上を踏まえた上で、クリスタに新たに追加された魚眼パース定規について考えてみよう。
この魚眼パース定規の設定方法は大きく分けると2つある。
1つ目は、メニューバーの「レイヤー」から「定規・コマ枠」→「パース定規の作成」へと進み、「魚眼パース」の項目にチェックを入れて作成するパターン。これを【パターン①】と呼ぶ。
2つ目は、定規ツールの中から「パース定規」を選択し、「魚眼を追加する」の項目にチェックを入れて、自分で消失点を追加していくパターン。これを【パターン②】と呼ぶ。
どっちのやり方がオススメかと言うと、断然【パターン②】の方がオススメ。
何でかというと、【パターン①】のやり方では、最初に「1点透視」「2点透視」「3点透視」のどれかを選んで、それを魚眼パースに変化させるという手順を踏むんだけど、既に奥行き消失点が設定されている状態のものがポンと画面に出てくるので、慣れないうちは頭が混乱してしまう。
何故なら、魚眼パースにおける「◯点透視」というのは、奥行き消失点の数のことを指すので、通常のパースと若干概念が違うし、【パターン①】で設定してみればよく分かるとおり、アイレベルの傾け方もよく分からんし、消失点のズラし方もよく分からんし、そもそも魚眼パース全体の大きさを変更するやり方もよく分からない。
つまり融通が利かない。明らかに難易度が高い。あと、「3点透視」の魚眼パースなんて一体どのタイミングで使うんだろう。誰か教えて欲しい。
他方で、【パターン②】のやり方では、魚眼パース全体の大きさから、アイレベルの傾き、消失点の追加などを全部自分でイチから設定していくので、感覚的に定規を使うことができる。
魚眼パース定規を使いたい人は、ある程度自分の中で描きたい魚眼パースの構図がイメージとしてあるだろうし、そのラフイメージに沿って消失点やアイレベルを設定していった方がたぶん上手くいくように思う。圧倒的に分かりやすい。
というわけで、魚眼パース定規の備忘録でした。
本当に設定の仕方が分からないのであれば、自分が描きたいと思う魚眼パースの絵を用意して、アイレベルの傾きと消失点の位置を確認し、そこから定規を設定していくのが良いと思う(絵をトレースしろと言ってるのではなく、あくまでもパース線を抽出するという話)。