箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

最後のペン入れ・仕上げ工程で意識することを整理する。

iPad版クリスタを使って、ネーム・下書き作業をずっと続けてきたが、ひとまず作業が一段落ついたので、いよいよ最後のペン入れ・仕上げ作業へと移っていこうかと思う。

 

結局、ネーム作業で1ヶ月、下書き作業で1ヶ月かかってしまった。途中でPCがぶっ壊れるなどの不運にも見舞われたが、iPadで作業できたおかげで、絵のバランスを見直すこともできたし、まあ結果的に良かったと思う。というか、今回は「自分が本当に納得できるものを描く」と決めているので、元より時間をかけるつもりだったし、個人的にはこれで全然良い。こうやって自分自身の最大出力値を上げていこう。

 

さて、最後の仕上げ工程について、例のごとく意識すべきポイントをまとめておこう。

 

①下書き線をなぞらない。

まずこれ。下書き線をなぞるだけの単純作業になってしまうと、線がのっぺりと単調になってしまうので、常に「新しい絵を描く」という意識を持っておく。あくまでも下書き線は参考でしかなく、表情を変えてもいいし、もっと良い線を探してもいい。言い換えるなら、最後のペン入れは「下書きの改良」であり、下書きの絵をもっとブラッシュアップして描く。

 

②線に強弱やニュアンスをもたせる。

ここでいう「強弱」というのは入り抜きのことではなく、線のコントラストのことである。太く描くべきところは太く描き、細く描くべきところは細く描く。そういった強弱をちゃんとつける。なお、細かい線を描き入れるときは「虫眼鏡で覗きながら描く」という意識を持っておく。

また、背景の線などは端を削るなどの工夫を凝らし、線が均一で単調なものにならないように常に意識する。

 

③細かいストロークを重ねて丁寧に描く。

僕が模写をやっていた時に編み出したペン入れの手法。デジタルで長いストロークを引くと、線が綺麗になりすぎてしまうため、短いストロークを重ねて、「やや汚い」というぐらいの感覚で描く。その方がアナログ感が出て味のある線になる。このとき、必ず線画の参考絵を見ながら描くこと。

ただし、雑になりすぎるのはNG。雑だと感じたら、スピードを落として丁寧に描く意識をもつ。ただし、大胆に豪快に描くべきところは大胆でもいい。大事なのはメリハリ。

 

④絶対に面倒臭がらない。絵の魂は細部に宿る。

途中で面倒臭がって手を抜かない。手を抜いた絵は一瞬でわかる。上手く描く必要はない。「手を抜かずに丁寧に描いた」という印象を与えられるように頑張る。よく分からないところは必ず資料を探し、ちゃんと確認してから描く。

また、トーンやベタをドバっと塗って終わりではなく、場合によってはちゃんと加工する。選択範囲を取って影線ブラシで描くとか、テクスチャを貼るとか、色々と工夫を。

 

⑤適宜iPadで確認する。

大画面の液タブで作業をしていると、どうしても絵を拡大して描くことが多くなり、全体のバランスが分からなくなる。そういうときはiPadに原稿を表示させて、引いたときにどういうふうに見えるのかを適宜確認する。こだわることも大切だが、引いてみたときの印象が一番大事。ここで線の太さなども確認しておく。

 

⑥光のコントラストもちゃんと表現する。

キャラの表情や造形にばかり意識が行きがちだが、ちゃんと「光」が感じられる絵を目指す。要するに、光と暗部のコントラストをしっかりと画面の中に作り、そういう面でも立体感を感じられる絵作りをする。

 

⑦気に入らないなら何度でも描き直す。

あとは僕の根性次第。気に入らないと思うなら何度でもその絵は描き直す。1回描いたら終わりではなく、何日か寝かせて、もっと他に良い描き方がないかを考える。今回は、自分の最大出力値を上げるための練習の意味もある。ここで頑張れば、この努力はのちのちにも活きてくる。

 

とりあえず、思いつく限り、ザーっと書き出してみた。描いているうちに他にも注意点を思いつくかもしれないが、以前から感じていたことをひとまず意識しながら、最終工程に取り掛かっていこうかな。

 

いきなり完璧なものを描かなくてもいい。少しずつ、少しずつ。一歩ずつ、一歩ずつ。