箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

ネームはiPadで描いた方が良いことに気づいた。

昨日パソコンがぶっ壊れてしまい、ネーム・下書き作業をiPad Proで引き継ぐことにしたんだけど、これぞ怪我の功名と言うべきか、iPad Proで作業してみて色んなことに気づくことができた。

 

まず、すごく初歩的なこととして、クリスタの編集データの共有・同期方法の最適解が見つかった。

 

以前までの僕は、クリスタの編集データを異なるデバイス間で共有するためには、クリスタのクラウドにいったんアップロードしたあと、その編集データを端末ごとにダウンロードする必要があると認識しており、いちいちアップロードとダウンロードをする煩わしさから、クリスタのクラウドを利用することはほぼなかった。

つまり、デバイスごとにローカル保存をしていたため、例えば、iPadで作業したものをパソコンで引き継いで行うということをしなかったわけだ。せいぜい、iPadのProcreateで作成したラフ絵をPSDで出力し、AirDropでiMacに送るぐらいだろうか。

 

ただ、今回iPadで作業を行うにあたって、事前にクリスタ編集データをiCloudに保存していたんだけど、そのおかげで僕は重大な事実に気づいた。

iCloud上のデータを編集する場合、保存するたびに勝手にデータが同期されるので、いちいちクラウド上にデータをアップロードする必要がないし、ファイルを開くたびにダウンロードする必要もない。つまり、アップロードとダウンロードの煩わしさがゼロなのだ。

 

しかも、この方法だと常にデータのバックアップが取れるので、今回のようにローカル保存していたパソコンがぶっ壊れたとしても、データが消えてしまう心配もない。極論を言えば、もはやローカル保存しておく必要はなく、常にiCloud上にデータを置いとけば、パソコンでやってた作業をiPadで引き継ぎ、外出先で作業することもできるし、その逆に、iPadでやっていた作業をパソコンで引き継ぐことも簡単に出来てしまう。

あとは、一応念のため、パソコンにローカル保存しておくとか、外部ストレージにバックアップを取っておけば、万が一iCloudにエラーが発生したとしても何とかなる。ていうか、最初からそうしとけば良かった。

 

そして、もう一つ。

iCloud上にあるクリスタ編集データをiPadで開いたときに、なんだか随分と絵が小さくて細かいなーということに気づき、思わずハッとさせられた。

 

僕はパソコンで作業するときは、Cintiq Pro 24を使って作業するんだけど、このような大画面の液タブで絵を描くと、どうしても拡大して描くことが多く、ひたすら細部を描き込んでしまう傾向がある。

解像度が高すぎるので、細かいところをこだわろうと思えば出来ちゃうからだ。結果として、24インチの4K解像度モニターに絵を拡大して表示することが多くなるので、その絵を「大きい」と錯覚してしまう現象が起きてしまう。

 

しかし、実際、その絵をiPadで見てみると、自分が思っているよりも「小さい」と感じる。僕のiPad Proは11インチであり、液タブの半分以下の液晶サイズで冷静に全体像を眺めた結果、正味のバランスがちゃんと把握できるというわけだ。

これはたとえるならば、漫画にめちゃくちゃ目を近づけて読むか、目を離して読むかの違いである。液タブで描いているときは残念ながらこれに気づけない。

 

そして、iPadは、絵を拡大して細かく描き込むことに向いていないため、常にキャンバス全体が見えるような縮尺で絵を描くことになり、いやでも全体のバランスを意識することになる。

液タブで使っていたような細かいところを描き込む繊細なブラシではなく、ボンヤリとしたボケ足の強めのブラシを使って、全体像を掴みながら描くので、全体のシルエットとか、キャラの大きなパーツに意識を集中させることができ、服のシワとか毛先の細かい流れとか、細部は全部無視できるようになる。つまり、全体のバランスを整えなければならないネームや下書きを描くのにめちゃくちゃ適していると言える。

 

絵のおおよその印象は、この全体像をどう描くかでほぼ決まると僕は思っており、下書き作業を駆け足で終わらせる前に、iPadで確認出来て良かったなと思う。全体をボンヤリと眺めたときに初めて気づくことも多かったし、「あれ?自分が思っていたより、絵の印象が弱いなー」とか、「キャラの造形が微妙だなー」とか、そういうことも確認することができた。さすがに最後のペン入れや仕上げ作業は液タブじゃないと出来ないけど、役割分担として、ネーム・下書きはiPadでやった方が良いな。うん。

 

ちなみに、iPadでネームを描いた方が良い理由をさらに詳しく書いているので、こちらも合わせてどうぞ。

pochitto.hatenablog.com

 

というわけで、iPadでのネーム・下書きのお話でした。