箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

「ふでDEまんねん」を試した結果、スケッチドローイングに適したペンの結論が出た。

先日、このブログでも少し話題に挙げた「ふでDEまんねん」という万年筆について、早速試し描きをしてみたので、そのレビューをやっていく。

 

なお、今回をもって、スケッチ・ドローイング用のペンとインクについては、自分の中で色々と決着したので、「スケッチドローイングに適したペンはこれだ!」っていうものも紹介したいと思う。

 

 

では、話を「ふでDEまんねん」に戻そう。

 

こちらは、本来は筆文字を書くための万年筆なんだけど、実はイラスト界隈でも根強い人気を誇っている。

 

その秘密は、ニブ先がグニャっと曲がっている先端部分にある。

 

 

こうやって他の万年筆と比較して見れば一目瞭然。「ふでDEまんねん」のニブは上を向いている。

 

この特殊なニブのおかげで、ペン先を立たせて書けば細い線が出せるし、寝かせて書けば太い線を出すこともできる。

要するに、Gペンのように線に強弱を出せるので、漫画やイラストの線を描くのに向いている・・・というわけだ。

 

商品パッケージの用途欄にも、ちゃんと「イラスト描き」と記載されている。

 

 

というわけで、早速Amazonで注文して、試してみることにした。

 

ちなみに使用するインクは、プラチナのカーボンインク。水性顔料インクなので耐水性があり、水性のカラーペンなどで着色しても滲まないという特徴がある。線画の上に着色する人は、顔料インクが必須なので、何か用意しておく必要がある。

 

 

んでもって、早速描いてみた感想を述べると、すごーく微妙。それ以外に言葉が出てこない。

 

確かに、立たせれば線が細くなるし、寝かせれば線が太くなる。この万年筆だけで、こんなに幅広い線幅を表現できるのは凄いと思う。

 

 

だけど、これがそんなに凄いかと言われると、ぶっちゃけよく分からない。

 

顔料インクとの相性もあるんだろうけど、ニブの向きによっては全くインクが出なかったりするし、太さを変えようにもペンの走らせ方にコツがいるのか、変な線になってしまう。

普段こんな風にペン先を立たせたり、寝かせたりして描かないので、全くドローイングの感覚が違うのだ。

 

 

結局のところ、安定した線を描くためには、ニブの向きと角度をある程度固定しなければならず、そういう風に万年筆を使うと、ほとんど線の強弱なんてつかない。よーく見れば、少し線幅に強弱がついているかな・・・というぐらいの感覚。

 

確かに、この万年筆を使いこなせるようになれば、かなり味のある線が描けるようになるのは間違いないと思う。実際、この万年筆でスケッチを描いている人の動画を見ていると、線に強弱がついた魅力的な絵に映る。

ただ、普通のアイデアスケッチが描きたいだけなら、ここまでする必要はない。物凄く味のあるイラストが描きたいというなら、クリスタで強弱を付けやすいブラシを探して、それで描けばいい。敢えて、この万年筆に頼る理由がないと感じる。

 

また、この万年筆に慣れてしまったら、変な描き方のクセが身についてしまうのではないかという恐怖もある。

もし、この万年筆を使ってスケッチを描くのであれば、この万年筆の描き方を研究し、時間をかけて自分の手に馴染ませていくしかないんだけど、そうすると、もはや普通の描き方が出来なくなるのではないかと思ってしまう。「ふでDEまんねん」の専門画家になりたいなら別だけども。

 

ただし、文字を書くペンとしては超優秀。

 

普通の万年筆よりも太い線が出せるので、凄く味のある文字になる。普段の筆記には使いづらいけど、これでタイトルを書いたり、ちょっとベタを塗ったりするのにはめちゃくちゃ便利だと感じた

 

ちなみに、プラチナのカーボンインクは、速乾性こそ無いものの、乾いたときに黒から灰色っぽく変化するのが良い。耐水性にも問題はないし、例えば、水性マーカーなどで文字装飾をしたいときに、このカーボンインクを入れた「ふでDEまんねん」でタイトルを書くとか、そういう使い分けができると感じた。

 

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まあ、そんなこんなで、スケッチ・ドローイングに関しては、結局のところ「ミリペンが最強」という結論に達した。

 

 

僕がメインで使っているピグマはクセがなく、描き心地も最高に良い。

価格も安くて多色展開しているのも嬉しいポイント。

 

「線幅が均一になってしまう」という難点についても、本格的・写実的な絵柄を目指している人ならネックに感じるかもしれないが、ちょっとしたスケッチをしたり、デザイン的な絵(デフォルメの絵)を描くのであれば、むしろミリペンのように線幅が均一のペンの方が合っている。

 

それに、線幅については、1本のペンだけで自由に変えるのは無理だとしても、いくつかサイズを持っていれば済む。

個人的には、基本の線画で使いやすいのは「0.03」「0.05」「0.1」「0.3」であり、コマ枠・タイトルで使いやすいのは「0.5」「0.8」「1.0」あたりだと思う。ここらへんのサイズを数本持っていれば困ることはほぼない。

(ちなみに、太い線については、上述の「ふでDEまんねん」だけで解決すると思うので、個人的には不要だと感じる。最悪「0.3」とかで塗ればいい)

 

というわけで、今後スケッチ・ドローイングに関してはミリペンで統一しようという話でした。

 

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むすびに。

 

本当はプラチナのカーボンインクがとっても良い黒色なので、これをメインで使いたいんだけど、これを使って良い感じに描ける万年筆がどうしても見つからない。

 

僕は、PILOTの「LIGHTIVE」を持っているものの、同じPILOTの「強色」しか使えないという制約があるし、プラチナの「プレピー」は正直描き味が微妙だと思ってしまった。やっぱり顔料インクは扱いがとっても難しい。

ひとまずは、「ふでDEまんねん」を使っていくけど、ゆくゆくは、細字で描ける良い感じの万年筆を見つけて、そっちでカーボンインクを使いたい。

 

次回は、ついに筆記用のペンとインクに終止符を打ちます。乞うご期待。