箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

参考にする情報を必要なものに絞っていく。

僕は、自分に関係のありそうな情報を片っ端から掻き集め、結局その情報を後から見返さない…ということがよくある。

単に見返さないだけなら問題ないけど、情報過多状態に陥ってしまい、本当に自分に必要な情報までその中に埋もれてしまって、最終的に何も得られないという本末転倒な事態に陥ることが多い。

 

例えば、僕が「Vision ストーリーを伝える色、光、構図」という本を購入した時のこと。

僕はこの本をパラッと読んで、他の書籍と一緒に本棚に寝かせていたんだけど、ある時「もう読み返すことは無いな」と思ってメルカリで売却した。しかし、今年になってから、再び読み返したいと思うようになり、書店で新品を買い直す羽目になってしまったのだ。分かってる。自分でもアホだなと思う。

 

こういう事態を避けるためには、「とりあえず迷ったら買う」というような曖昧な判断基準で決定するのではなく、自分の中で明確な基準を設けるべきだなと思っていて、自分の作品のテーマに沿わないものはよっぽど特殊な理由・動機が無い限り、原則として「買わない」という判断を下した方が良い。

そして、「情報を徒に増やさない」ということ以上に重要なのは、「現在保有している情報を必要なものに絞る」ということであり、参考にすべき情報は各ジャンルにおける自分のバイブル的なものさえあればそれで十分であって、それ以外の情報は基本的に不要なので捨てて良いと考えるようになった。

 

例えば、背景の着彩について、色んな技法書を買ったり、Youtube動画を漁ったりしたものの、結局参考になるのは、マテウシュ・ウルバノヴィチさんをはじめとする一部のコンセプトアーティストだけだと結論付けるに至った。

「この人の塗り方上手いなー。いつか参考にしたいなー」と思ったとしても、自分の作風と違うのであれば、おそらく今後も参考にすることは無く、少なくとも今の僕には必要ない。

 

 

レイアウトは、宮崎駿先生のコミック版「風の谷のナウシカ」とジブリ作品の絵コンテ集、僕が目標にしている一部の漫画作品だけを参考にすることにした。イラストの構図を考えるような例外的な場面を除き、これ以外の情報は基本的に必要ない。

漫画のコマ割りの研究にと思って、自分の作風とは異なるジャンルの作品も買い漁ってみたものの、結局あまり参考にならないというのが本音である。漫画編集者は「色んな作品を読め」と言うけれど、正直僕はその意見に懐疑的であり、自分が目標としている作品に絞って、その内容を深く研究した方がよっぽど有意義だと思っている。

 

また、デザインに関するものは、僕の好きなゲームとか、イラストレーターのアートワークスを2〜3冊程度参考にするぐらいであり、よっぽどのことがない限り、それ以外のデザインを参考にすることも無いだろうなと思う。

以前は、色んなイラストレーター・アニメーターの画集を買い集めては、その絵を模写したり、デザイン参考資料として使用することもあったけれど、それが絵柄の不統一感をもたらす悪因になっていたように思う。色んなデザインを参考にするというのは、良い面よりも悪い面の方が多い気がする。

 

とまあ、こんな感じで情報の棚卸しを実施してみたところ、結構不要な情報を洗い出すことが出来たんじゃないかなと思う。ここで絞り込んだ情報をベースとして、後は情報を増やすかどうかを慎重に検討していけば、自分の身の回りの情報が徒に増えていくことはないし、必要な情報が埋もれることもない。