箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

【漫画】作風のミスマッチ問題を考える。

本日は創作活動に関する雑談を。

 

ここ1〜2ヶ月ぐらい自分の作風に悩みまくっていて、WEB持ち込みをした作品も大撃沈してしまい酷く気分が落ち込んでいたのだけど、よくよく自分の作風を見つめ直し、今後漫画を投稿するのは某青年誌だけに絞ることにした。現在は賞への応募を検討しており、その準備中だ。もし自分に合った雑誌があるとすれば、その青年誌だけだろうと今は考えている。

なんでその青年誌だけに絞ったのかと言われても明確な答えはなく、強いて言えば、掲載されている作品が自分の感性に近いと思ったから。何と言うか、商業感があまり強くなく、どちらかと言えばエンタメよりも文学的な要素が強い。美大の卒業制作のようなノリを感じていて僕はとても良いと感じた。

まあ、雑誌に投稿する理由なんてそんなもので、自分に合っていようが合っていまいが、ジャンプが好きだからジャンプに投稿する・・・みたいなノリだし、ジャンプ・サンデー以外の雑誌にいまいちピンと来ていなかった僕が唯一ピンときたのだから、その直感を信じてみても良いのではないかと思う。

 

この「自分に合う・合わない」…というのはなかなか感覚的なもので、どこまでいっても自分の主観でしかないのだけど、だからこそ難しい。

 

昔、テレビのファッションチェック企画で、IKKOさんが「その人が好きだと思っている服は、大抵の場合その人に似合っていない」という話をされていて、その当時、ファッションが激ダサだった僕は妙に納得してしまったんだけど、要するにそういうことである。漫画でも自分が面白いと思っている話は、大抵の場合その人に合っておらず、とどのつまり面白くないのだ。

だから、他人の客観的意見が必要になるわけだけど、B系ファッションをしている人のところに、キレイ系ファッションを見せに行っても仕方ないわけで、ある程度、ファッションの方向性は合っていなくてはならない。これが人によってはめちゃくちゃ難しいし、サッパリ分からないのだ。本来はスラッとした細身の服を着るべきなのに、学生時代にダボダボのカーゴパンツとかを履いていた僕が言うのだから間違いない。

 

例えば、僕はSF・ファンタジーが描きたいと思って漫画を描き始めた。だから自然と少年誌を目指し、その結果少年誌の担当が付いてくださり、新人賞にて入賞もさせて頂いた。しかし、その後は描けども描けども良い反応が返ってこないし、現在の少年誌とはどうにもズレているような気がして、作風に迷いが生じてしまった。そしてようやく「少年誌は自分に合っていない」と悟ったのだけど、この結論に至るまでに漫画を描き始めてから2年ぐらいの歳月を要することになった。

もちろん投稿先を間違えてしまった自己責任なんだけど、「合っていない」ということをもっと早い段階で言ってくれるシステムがあっても良いのではないかと感じている。例えて言うのであれば、B系ファッションをしている人から、キレイ系ファッションを「ダサい」と酷評されているようなもので、「こういう服を着ろ」と差し出された服を1ミリもカッコいいと思えないミスマッチ状態がずーっと続くことになる。自分たちのファッションの方向性と違うのだから「ダサい」と言うのは何も間違っていないのだけど、「君のファッションの方向性からすると、他所に行った方が良い」と言ってくれる人が必要だと思うのだ。

 

現在、持ち込み・投稿作品の講評は編集部単位で行われていて、「自分たちの雑誌に合っているかどうか」という基準でしか作品を見てくれない。「私の作風に合っている雑誌はどこだと思いますか?」と聞けば答えてくれるかもしれないが、編集部からすればそんなの知ったこっちゃないし、仮に答えてくれたとしても、それがどこまで的を得ているか不明である。というか、よっぽどベテランの編集者でも無い限り、自分が担当していない編集部の方向性なんて知らないし、想像で答えることになるだろう。

だからこそ、公平中立の立場から、作品を講評してくれる存在は貴重だと思う。漫画の専門学校とか、そういうところであれば「君は◯◯の雑誌を目指しなさい」とアドバイスしてくれる先生もいるだろうけども、世間一般の漫画描きにはそういう人的繋がりはない。だから、もし自分の作風についてアドバイスをくれる外部サービスがあれば、僕は有料でも利用するし、絶対に世の中の需要もあると思うのだけど、一体どうなんだろう。

 

そんなことを考えていた週末でした。

 

5年ほど前に旅行したタイの町並み