箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

漫画のキャラデザに関する覚書

今日は珍しく漫画のキャラデザについての覚書を。

 

僕は漫画のキャラデザインの考え方はイラストとは微妙に違うと思っていて、凝ったキャラデザにしようとすればするほど、「分かりづらさ」が増していき、最終的にキャラの魅力がうまく伝わっていない感じがする。なんというか、作者が考えているキャラの魅力と、読者の印象との間にギャップが生じやすい気がする。

だけど、イラストでは、凝ったデザインにすればするほど、そのイラストを見た人の満足感は増していく感じがする。イラストを見ている人たちの属性として、そういったデザイン面を含めた「目新しさ」とか「魅力」を求めているからではないだろうか。ここが漫画とは違う点であり、言うなれば、「映画の衣装」と「パリコレの衣装」の違いみたいなものを感じる。

 

だから漫画では、基本的に「シンプルで分かりやすいデザイン」が好ましく、ゴチャゴチャした分かりづらいデザインは求められていない。

(繰り返しになるが、多くの一般大衆はパリコレのデザインを求めていない)

 

例えば、スパイファミリーに出てくるアーニャなんかが最たる例であり、アーニャの髪型や服装に凝ったデザインはひとつもない。髪型もよくあるふんわりとしたたまご型のヘアースタイルだし、服も黒一色のワンピースである。もし仮に、このデザインでイラストを描いたとすれば、「平凡なデザインのキャラクター」と認識されるだろう。

しかし、髪飾りと胸元のリボンが良いアクセントとなって、とても印象的なデザインに仕上がっており、ロイドやヨルとの差別化もできているように感じる。なんというか、「シンプルなんだけど、ちゃんと見る人の印象に残るデザイン」になっており、いうなれば、これが漫画に求められているデザインではなかろうか。

 

以上をまとめると、漫画のキャラクターデザインに必要なものとして、まずは「パッと見の分かりやすさ」が必要になってくる。

例えば、魔女の宅急便に出てくるキキは、「黒のワンピース」「箒(ほうき)」「黒猫のジジ」を携えており、ひと目で「魔女の見習い」ということがわかる。こういう風に、そのキャラクターが身につけているものやシルエットから、そのキャラクターの属性や性格が感覚的に理解できるものでなければならない。これが分かりづらいと、読者はそのキャラクターに感情移入しづらくなってしまって、途端に読むのがつらくなる。

 

もうひとつは、「そのキャラならではの特徴」だと思う。言い換えるなら「個性」だ。

例えば、先ほど例に挙げたキキで言うと、大きな赤いリボンの髪飾りがそれに当たる。二次創作界隈でも、未だにキキの絵は人気があるんだけど、すぐに「これはキキの絵だ」と認識できるのは、大きな赤いリボンのおかげである。もし、黒いワンピースや赤いリボンといった特徴がなければ、ただのショートカットの女の子でしかなく、たぶん何の印象にも残らないキャラになってしまうだろう。

そして、この特徴があるおかげで、他のキャラとの差別化も出来ており、「他とはちょっと違う魔女の見習い」にステップアップしている。主人公に求められているのは、この「他とはちょっと違う」という印象だと僕は思っている。

 

  • パッと見た瞬間にキャラの属性や性格が推認できるシンプルで分かりやすいデザインが必要。身につけているものやシルエットに工夫を。
  • そのキャラならではの特徴(他と差別化できる個性)を持たせる。