箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

僕が抱えている線画の悩みの原因が分かった気がする。

僕は自分の描く絵について、「線が弱い」「余白が多い」と感じることが多くて、ペンの入れ方や線画の考え方に問題があるんじゃないかと長年思ってきた。それこそ線画に関する動画をどれだけ漁ったか分からない。

 

そして最近、「ああ、やっぱりそうだよな」と思ったのが、こちらのさいとうなおき先生の動画だ。

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さいとうなおき先生は、線が下手に見えてしまう理由は、線の入れ方に問題があるのではなく、下書きに原因があるとしている。つまり、完成度の高い下書きを描けているのであれば、どのように線を入れたとしても、その絵は上手く見えるものであり、最後の清書なんてオマケでしかないと主張している(かなり大袈裟に言えば・・・ということだろうけども)。

 

この理論が正しいとすると、「線が弱い」「余白が気になる」といった線画に関する僕の悩みも、全ては下書きに原因があるということになる。

(ちなみに、僕が抱えている悩みは、『筆圧が弱くて線が細くなってしまう』とか『描き込みが少なくて余白が多くなってしまう』という一般的な問題とも少し違う。線を太く描いたり、描き込み線を増やしてみても「コレじゃない感」が拭えないのだ)

 

絵柄による線の違い

下書きに原因があるということは、下書き段階におけるデッサン、全体のバランス、キャラクターデザインといった点に問題があるということになる。そして僕は、キャラクターデザイン、すなわち絵柄に問題があるんじゃないかと思っている。

 

と言うのも、「良い線画が描けたな」と思う時は、大抵の場合、デフォルメの効いた絵であることが多く、逆にリアル寄りの絵を描く時は「何かが足りない」と感じることが多い。

「そういうもんでしょ」と言われればそれまでだが、絵柄によって線画の良し悪しがかなり変わってくると感じているのだ。

 

たぶん、これは僕の美的感覚というか、線の入れ方の傾向や描き込みの量の問題だと思うんだけど、僕は太めの線で大味に描くタイプであり、絵を引き算で考えている節がある。

要するに、いかに線を省略して見栄えの良い絵を作るか・・という思考タイプの人間であり、まさにデフォルメ絵向きの考え方をしているのだ。

 

じゃあ、こういう思考経路を持っている奴がリアル寄りの絵を描くとどうなるかと言うと、「線が足りない」ということになってしまう。

言わずもがな、リアル絵を描くためには、描き込みやベタの量を増やして、陰影や凹凸をリアルに再現しなければならないんだけど、絵を引き算で考えている僕は、描き込み量を増やすことができず、結果として「余白が多い」という印象を受ける絵になってしまう。いわゆる「絵がスカスカ」というやつだ。

しかも、僕は筆圧が弱いため、リアル絵に適した繊細なタッチで描こうとすると、必然的にヘナヘナの線になってしまう。あとで見返した時に「線が弱い」と感じる原因はそこにあると思われる。

 

つまり、線の捉え方がデフォルメ絵向きなのにもかかわらず、リアル寄りの絵柄で描こうとしているがゆえに、「線が弱い」「余白が多い」という印象に繋がってしまっていると言える。

 

リアル寄りの絵になってしまう原因と対策

問題は、「デフォルメ絵の思考タイプなのにもかかわらず、なぜ下書き段階でリアル寄りの絵になってしまうのか」という点だ。これは考えてみれば少し不思議な話で、キャラクターイラストを描く時はデフォルメ絵を描くのに、何故か漫画を描くとなった途端にリアル寄りの絵柄になってしまうのだ。この原因を探る必要がある。

 

ただ、この問題に関しては、僕の漫画に対する考え方というか、物語の捉え方に大きな原因があるんじゃないかということは薄々察しが付いている。

 

pochitto.hatenablog.com

 

と言うのも、こちらの記事でも書いたとおり、僕は映画が好きであり、物語を想起する時に、映画っぽい構図をイメージすることが多い。映画のワンシーンを切り取ったものが、漫画のコマに相当すると考えていて、だから、下書きをする時に映画に近いリアル寄りの絵になってしまうのだ。

 

このように、絵のタイプはデフォルメ向きなのに、物語の捉え方はリアルっぽい考え方をしていて、両者の間にギャップがあることが僕の悩みの根源であるといえる。

つまり、この問題を解決するためには、単純に絵柄をデフォルメすればいいという話ではなく、物語の見せ方もしっかり漫画向けにデフォルメしなければならないということになるんだろう。

 

おわりに

僕のように、自分に合っている絵柄と描きたい物語の間にギャップがある人はそれなりにいると思っていて、例えば、Twitterなんかを見ていると、普段その人が描いているキャラクターイラストと絵柄が異なる漫画を見かけることはたまにある。「あれ?こんな絵柄だったっけ」みたいな。

 

この問題は、普段デフォルメ絵を描いている人が日常系のギャグ漫画を描いたり、リアル絵を描いている人がシリアスな物語を描いたりする場合には生じない。絵柄と物語の間にギャップがないからだ。大抵の場合、その人の描きたい絵柄と物語の傾向は合致していることが多いと思う。

ところが、中には僕みたいな変わり種がいるわけで、逆に言うと、これは強みというか、自分にしかない個性や作家性に繋がる可能性も感じている。つくしあきひと先生のメイドインアビスのように、「絵柄は可愛いのに、中身はめちゃくちゃグロい話」みたいなギャップを作れる可能性があるからだ。

 

そういうギャップを意識的に作る・・・みたいな方向性を考えつつ、今日はこのへんで。