最近、年間の生活コストを再計算していて、美容室にどれだけのコストをかけるべきかめちゃくちゃ悩んでいる。僕は基本的にカットオンリー民なんだけど、少しパーマをかけたいと思っており、仮に2回に1回のペースでパーマをかけたとすると、たぶん5〜6万ぐらいの年間コストになると思う。
うーん、それってどうなんだろう、高いなぁーと唸っていたときに、ふと昔吸っていたタバコのことを思い出した。僕が吸ってたときは1箱500円の時代であり、毎日1箱のペースで吸ってたので、年間コストは500円×30日×12月=180,000円になる。僕が試算した美容室代の約3倍だ。
人間というのは、毎日500円ずつ財布から出ていくのは平気なのに、いきなりトータルで5〜6万円と言われると「高い」と感じる不思議な生き物である。自分の快楽のためであれば、単純な掛け算すら出来なくなってしまうらしい。
そう考えていくと、5,000円のプロテインを毎月買うのも大変だなーとか考えている自分が心底馬鹿らしくなってくる。健康を害するタバコ代はホイホイと20万円近く出せるのに、なぜ健康のための費用は出せないのか。プロテインを毎月買ったとしても年間6万円(5,000円×12月)で済む。タバコ代の3分の1である。
・・・いやいや、安いだろ。
その他、スキンケア化粧品、整腸剤、医療費(持病のための通院)等をもろもろ足していくと、美容・健康コストはだいたい18万円ぐらいになることが判明した。要するに、タバコ代がそのまま美容・健康コストにすり替わったと考えれば良い。そう考えれば、むしろ安い。マイナスがプラスに変わったとも言えるのだから。
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僕が思うに、人間関係というのは、じっくりコミュニケーションを取っていけば、相手のことが徐々に理解できるようになり、そのうち外見なんてどうでもよくなってくるものだと認識している。人生のパートナーである配偶者がその最たる例であり、最初は見た目しか興味がなかったのに、相手の内面を知るにつれて、むしろそっちが好きになっていき、最終的には内面以外はどうでもよくなる・・・というのと同じだ。
なので、極論を言えば、見た目なんて本当にどうでもいいし、自分の内面を好きになってくれる人とだけ親密に付き合っていけばいい。その人こそが本当に付き合うべき大切な人だからだ。つまり、本来的にいえば、美容コストなんてゼロにするのが一番理想だ。
しかし、日常生活や仕事を遂行するうえで、いちいち関わる人全員の内面を知ろうなどとは思わないし、時間をかけてコミュニケーションを取ろうとも思わない。そんなことをしたって得られるものが少なく、コスパ・タイパがすこぶる悪いからだ。
じゃあ、どうやって相手との距離感や接し方を測るかと言ったら、「見た目」である。時間がないので、何となく見た目から相手のことを推測し、自分の態度・対応を決めているのだ。頭では「人を外見で判断してはいけない」と分かっていても、人間は無意識のうちにその人の外見を判断材料に含めている。僕も無意識のうちにそうしている。
例えば、高校生・大学生のコンビニ店員に対して、偉そうな態度を取る人もいるけど、あれは店員の見た目が若くて、大人しそうだからである。もし仮に、店員の見た目が蝶野正洋さんとか清原和博さんのような強面の筋肉ムキムキだったら、おそらく同じ態度は取れないだろう。借りてきた猫みたいになると思う(もちろんそんな人はごく一部だけだが)。
逆に言えば、ちゃんと見た目さえ気をつけていれば、いちいちコミュニケーションを取って自分のことを理解してもらわなくても、相手が自然と態度を改めてくれる(自分の見た目に合わせて態度を変えてくれる)。
要するに、面倒くさいコミュニケーションの手間を省けるし、対人ストレスも緩和される。現代人が抱えるストレスの大半は対人関係において生じるものであることを考えれば、見た目に投資することに優るストレス対策はないのかもしれない。つまり美容コストというのは、「自分のことを理解してもらうためのコミュニケーションの手間を省き、最低限の対応してもらうことによって対人ストレスを回避するためのコスト」といえる。
年間18万円でその対価を得られるのであれば、むしろ安い。これを安いと思えないから、ストレスで悩まされる人が後を絶たないのではないかとさえ思う。タバコをやめれば美容に投資できてストレスはある程度緩和されるのに、なぜかストレス解消のためにタバコを吸って余計にストレスを溜め込んでいる。つくづく人間とは不思議な生き物である。