箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

自己流6ヶ月上達法の進捗とこれからについて

少し前に「自己流の6ヶ月上達法」を実践すると言ってたけど、色々あってこのとおりには実践出来ていない。

 

 

ただ、自分の生活を途中から軌道修正し、ネームに取り掛かることが出来るようになったので、改めてこの上達法を履践している最中である。

(もっとも、目標を下方修正し、3月頃までに1作品を完成させる方針でやっている)

 

んで、一応ネームまでは完成したので、ここまでの取り組みの小括と、今後の流れを再度確認してみたい。

 

***

 

まず、ネームについては、実は今回からやり方を大幅に変えており、以下のポイントを意識しながら、少しずつ進めていった。

 

  1. 必ず見開き単位で「出来事」「主人公の感情」「意志」「行動」を考える。
  2. 見開きのどこかに必ず「見せ場(大ゴマ)」を作り、見せたいポイント(読者にどういう感情になって欲しいか)を明確にする。
  3. キャラクターに意志の演技をさせ、極限までセリフを削る。
  4. 単に情報を羅列するのではなく、「演出」を意識する。

 

以下、それぞれ詳細に見ていく。

 

これまでの僕のネームのやり方は、とにかく勢いでババーっと出来るところまで描き進めるやり方をしていて、見開きをあまり意識しない描き方をしていたんだけど、これだと、必ずどこかに「冗長な見開き」が出来てしまい、これが作品全体の足を引っ張る原因となっていた。

しかも、この方法だと見開き単位でコマ割りを考えていないため、後から修正するのが難しく、「うまくいかないから、いったん全部ボツにしよう」ということもたまにあった。

 

しかし、今回のネームは、基本的に「1日・1見開き」と決めて、毎日見開きのコマ割りを入念に考えるというやり方にシフト。その見開きごとに「出来事」「感情」「意志・行動」を考えて、それをコマ割りに落とし込んでいった結果、これがめちゃくちゃ自分にハマった。

このやり方だと、見開きごとに必ず「見せ場」を考えるので、テンポの良いコマ割りになるし、仮に後から気に入らない点が見つかっても、その見開きの内容だけ変えれば良いため、ネーム修正も圧倒的にラクになった。

 

また、「見開き単位で考える」ということは、「右ページと左ページの中に必要な情報を過不足なく描く練習」にもなり、「これは余計な情報だから削ろう」とか、「見せたいのはここだから、もっとここを強調しよう」というメリハリ意識にも繋がった。

それと同時に、今までの自分がいかに無駄コマばっかり描いて、内容の薄い漫画になっていたかがよくわかる。今までの僕は普通に何の意識もせずにコマ割りをすると、40ページを超えることがデフォだったんだけど、今回は40ページ未満に収まった。無駄が省かれた証拠だ。

 

そして、もうひとつ意識したことは「キャラの演技」と「演出」だ。

 

以前、鴻上尚史氏の「演技と演出のレッスン」に書かれていた「動機ではなく、目的を演じろ」「状態を行動に変換しろ」という指摘が僕の頭にぶっ刺さっており、これを特に意識した。

 

 

すなわち、これまでの僕は「感情」や「状態」を描くことが多く、「いまいちキャラが分からない」というケースが多かった。そうではなく、そのキャラの「意志」や「行動」にフォーカスを当てて、「意志の演技をさせる」ということをとにかく徹底した。

 

例えば、単に「悲しい」という心理状態を描くのではなく、「悲しさを振り払うために大声で歌う」という意志・行動を描くというように。ここまで描かないとそのキャラのことが分からないのだ。

 

そして、もうひとつ重視したのが「演出」だ。

 

単に事実を羅列するのではなく、その「見せ方」を考える。読者にどういう感情になって欲しいのか。「しんみりさせたい」のか、それとも「ホッコリして欲しい」のか。「しんみりさせたい」のであれば、どういう絵があれば「しんみり」してもらえるのか。ここを自分の中で納得いくまで何度も考える。

逆に言えば、納得できない演出については、妥協せずにそれをボツにして何度も考え直した。「大ゴマはこれでいいのか」「引きが足りないのではないか」「もっと表情を描いた方がいいか」・・・等々。それをセリフではなく絵で見せる。

 

そうやって何度も何度も考え直した結果、1ヶ月半ぐらいでひとまずネームが完成した。

 

***

 

というわけで、次は「下書き」のフェーズなんだけど、このフェーズで意識することも確認しておく。

 

  1. 自分が目標とする絵柄・デザインを決める。
  2. ページごとにラフイメージ案をいくつか出す。
  3. 自分の中でしっくり来るイメージが出てきたら清書する。

 

まず、自分が目標とする絵柄については、何となく自分の中でイメージはあるものの、実はあまり明確に定まっておらず、練習を重ねながら、今回の作品に合う絵柄を探して行こうかなと考えている。

今までの僕の絵柄はデフォルメ色が強かったけれど、等身や顔のバランスはなるべくリアル寄りにしつつ、線やベタの描き方をデフォルメしようかなと思う。

 

んでもって、ページごとにラフイメージ案をいくつか出していく。この作業はクロッキーノートやスケッチブックに描き出していこうと思っており、最初からデザインや描き方を決め打ちするのではなく、色んな可能性を模索していきたいと考えている。

(デザインとラフイメージを同時に練る)

 

自分の中で、ある程度デザインやイメージの方向性が決まってきたら、プロクリエイトで下書きを描き、それをクリスタ原稿にコピペする。ここで納得いかなければ再度描き直し。

(なんで最初からクリスタに描かないかというと、個人的にプロクリエイトの方が絵を描くことに集中できるからである)

 

これを1月中旬までに完了させる。

正直、悠長にダラダラとイメージを練る作業だけやっていたら、あっという間に時間が過ぎてしまうので、「1日1ページは必ず下書き案を出す」というルールを自分に課す。

 

***

 

さいとうなおき流の上達法というのは、要するに掻い摘んで言うと、「本番と練習を同時にやる」ということに尽きる。漫画も全く同じであり、本番に勝る練習はなく、本番と練習は同時にやるしかない。これ以外に漫画技術を上達させる方法はないと思う。

 

というわけで頑張っていこう。