箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

要するに「歯車が合う感覚」を求めて練習している。

今年、日本一を達成した阪神タイガースに、彗星のごとく現れた新スターが村上頌樹投手だった。

 

村上投手は身長175センチと小柄ながら、回転数の多いストレートとキレのある真っスラを武器に、シーズンを通して10勝6敗という好成績を残し、日本シリーズでも山本由伸投手に投げ勝つなどの活躍を見せ、終わってみれば新人王とシーズンMVPをダブルで受賞するという快挙を達成している。若手選手の中では間違いなく一番ブレイクした選手と言えるだろう。

 

そんな村上投手には興味深いエピソードがある。

 

シーズンが始まる前の今年1月に、阪神タイガースのエースである青柳投手から誘われて自主トレに参加したときのこと。村上投手は、「足を着いてから投げる」という師匠・青柳投手のアドバイスが効いたのか、自分の中で「パチッ」と噛み合うものを感じたという。

 

 パチッ。迎えた青柳との自主トレ中、キャッチボールをしていると、自分だけに伝わる“衝撃”を感じた。歯車がかみ合ったような感覚。「フォームのタイミングがハマったような感じがあった」と振り返る。

 “師匠”から説かれたのは「足を着いてから投げる」ということだ。「160キロ投げても打たれるような世界。しっかり足の力を使って軽く投げても伸びるキレのある直球を求めました」。下半身の粘りを意識することで、上半身の開きを抑え「捕手の奥まで伸びる」ような直球へとたどり着いた。

ーYahoo!ニュース記事より引用。

 

news.yahoo.co.jp

 

僕はこのエピソードを聞いたとき、この「歯車が噛み合う感覚」というのは、どの世界でも、どの分野でも存在するんじゃないかと感じた。

例えば、僕は大学生の頃から法律を勉強していて、大学卒業後にロースクールへと進学したんだけど、大学在学中に法律のことを「理解した」と感じる瞬間があって、それからスラスラと司法試験の問題が解けるようになっていった。おかげで志望していたロースクールにも授業料免除の特待生で入学することができたし、今から振り返れば、あれはまさにパチっと歯車が噛み合う感覚だったと思う。

 

もちろん法律の勉強に限らず、この感覚は語学学習にもあるし、スポーツにもあるし、音楽にもあるし、芸能とか芸術の世界にもあると思う。もちろん、漫画の世界にもある。つまり、言ってみれば、「パチッ」と歯車が噛み合う感覚を得るために、僕は漫画の練習をしていると言っても過言ではない。「ああ、なるほど。漫画というのはこう描けば良いのか」というハマる感覚が。

 

ただ、そうは言っても、この感覚が自分に訪れるのはいつになるのかはさっぱり分からない。明日かもしれないし、10年後かもしれないし、いつまで経ってもその感覚は無いかもしれない。実際、そういう感覚を得られなかったものは過去にもたくさんある(僕で言うなら英語学習とかね)。

それでも僕はその感覚を求めて前に進み続けるしかない。だけど、何となく掴めそうな気がしているんだよな。魔族大隔世の前の浦飯幽助みたいな。言いすぎかな。