箱庭的ノスタルジー

世界の片隅で、漫画を描く。

漫画家としての相性とファンビジネスの狭間

僕は普段漫画家をやっているけど、たぶん漫画やイラストなどの創作界隈の人とはそんなに相性は良くないと思う。

 

それは「同業者(ライバル)だから仲が悪い」とか、そういうことを言ってるのではなく、単純に好みや方向性があまり合わないというか、自分はいわゆるTHE・漫画家みたいなタイプではないと思う。

例えば、僕は過去に「新人賞」と呼ばれるものを2回だけ受賞したことがあるけど、毎回編集者からのウケはすこぶる良いものの、審査員を務める漫画家・漫画原作者からのウケがめちゃくちゃ悪かった。「少し評判が悪い」というレベルではなく、ボロクソに批判されるレベルで悪い。僕の漫画はいつもそうやって評価が真っ二つに分かれてしまう。

 

そういう経験を踏まえて、僕は漫画創作界隈の人たちとは気が合わないんだろうなーと思うようになった。

思えば、最近のアニメや漫画をそんなに熱心に見ているわけではなく、推しのキャラがいるわけでもない。好みで言うならアニメや漫画よりも圧倒的に映画やドラマの方が好きだったりする。まあ、そんな奴が漫画・イラスト界隈の人たちとうまくやっていけるわけもなく、今は意識的に距離を取っている(最初から近くはないけども)。

 

んで、僕はどっちかと言うと、noteでテック系の記事を書いている人とか、文房具や革小物を語っている人の方がよっぽど趣味が合うと感じる。そういう人たちもオタクといえばオタクだけど、彼らが執着している「対象」と「方向性」が漫画界隈の人たちとはちょっと違ったりする。

 

僕が本当にリーチしたいのは、そういう界隈の人たちだ。

 

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僕が思うに、漫画家の本質はファンビジネスであり、「ファンを増やして、そのファンに対してコンテンツを売る」というファンビジネスの性質に鑑みると、「ファンを増やす方法」とか「コンテンツの売り方」は何でも良いと思う。

 

もちろん、「漫画をバズらせて、ファンになってもらう」という王道の方法でもいいし、Youtubeでノウハウ系やエンタメ系の動画を出して、ファンを増やしていっても良い。最終的に「この人のコンテンツを買いたい」と思ってもらえればそれで良いわけだ。

 

ただ、闇雲にファンを増やそうとすれば、「イオンモールで高級懐石料理屋を出店する」みたいな非効率な経営に陥ってしまう。「自分がやりたいこと」と「それを誰に対してどのくらいの規模で提供したいのか」を考えなければならず、この方向性によってはセオリー通りにやらなくてもいいと感じる。

例えば、「マニアックなアジア料理屋をほそぼそとやっていきたい」と思うのであれば、別に都会ではなく田舎に出店してもいいわけだ。その場合、ビッグビジネスにはならないかもしれないが、「知る人ぞ知る名店」みたいな独自のブランディングはできるかもしれない。

 

そんなこんなで、最近はnoteでのファン作りを考えていて、noteユーザーが好む話題に触れつつ、自分の個性や漫画作品を同時に知ってもらい、コンテンツの販売に結びつくようなやり方を絶賛模索中だったりする。

 

そして、このnote運営を漫画の持ち込み・投稿と同時並行でやっていく。

ネット上でたまたま見かけたブログの話なんだけど、そのブログ主は、「漫画連載だけで食っていく」という考え方はあまりにもギャンブル過ぎると指摘しており、漫画家としては「漫画連載を収入源のひとつ」ぐらいに思っておいた方が良い、と摘示していた。本当にそのとおりだなと思う。

 

僕が思うに、漫画連載もファンを増やすための方法のひとつにすぎず、ファンを増やす方法は他にもたくさん編み出しておいた方がいい。最終的に頼れるのは自分だけだから。

 

このブログもそうだけど、結局は小さいことの積み重ねなので、毎日毎日コツコツと続けられることを、一歩ずつ続けていくしかない。